【冷蔵発酵のコツ】パン生地を冷蔵庫に入れる前に『室温』においていますか?

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捏ねたパン生地をすぐに冷蔵庫に入れたらだめなの?

パン作りの冷蔵発酵のレシピは無限にあります。
どのレシピをみても、少しずつ工程が違う。
どれが良いの?どれが正解なの?

そう迷うのは、当たりまえだと思います。

私も冷蔵発酵に挑戦しはじめた頃は、迷ってばかりでした。
イーストの量は?
時間はどれくらい?

何回も試していくうちに、だんだんとわかってきたことがあります。

パンの発酵を順調に進めるには、冷蔵庫にいれる前のパンの温度がとっても大切。
そして、捏ねたパン生地をすぐに冷やしてはだめということです。

つまりは、『冷蔵庫で発酵させる前に室温におく』こと。
この工程が冷蔵発酵では大切なのです。

このブログでは、冷蔵発酵のパン教室の講師をしており、何年も冷蔵発酵のパン作りを研究してきた経験から、冷蔵発酵のコツをお話していきたいと思います。

冷蔵庫にいれたらパン生地が発酵しない!?

パン作りの冷蔵発酵は、発酵の工程を冷蔵庫で行なう方法です。

長時間低温発酵や、オーバーナイト法をほぼ同じ意味で使われていますね。
私は、一次発酵を冷蔵庫で行っています。

パン作りのスケジュールは下記のようなイメージです。

1日目:計量・捏ね・室温におく⇒冷蔵庫へ(一次発酵)
2日目:復温(室温に戻す)・分割・ベンチタイム・成形・最終発酵・焼成

パン作りの大変な工程を2日に分けて行うことができるので、
家事や仕事で忙しい場合も作業を分散して行うことができます。

冷蔵発酵のパン作りをしていると、超頻繁におこるのが
『冷蔵庫』の中でパン生地が発酵しなかった(゚ロ゚)ということです。

冬場など、室温や冷蔵庫の温度が低い時に特に多く起こります。

毎回毎回、自分の思い通りにパン生地が発酵することはまずありませんので
決して失敗ではありません。

ただ、冷蔵庫から出したときに全く発酵が進んでいない。
というのは、2日目の作業が長くなってしまうので大変になってしまいます(^_^;)

冷蔵発酵の発酵不足の原因については、こちらのブログでもくわしく解説しています。
【冷蔵発酵の失敗NO.1!】パンが固くなる時の解決法/発酵不足になっていませんか?

【冷蔵発酵のコツ】冷蔵庫にいれる前にパン生地を室温におく

ここからは、パン作りの冷蔵発酵のコツをくわしくお話していきますね。

パンの材料を捏ねたパン生地を丸めて容器に入れます。
そのパン生地をすぐに冷蔵庫に入れていませんか?

冷蔵庫はとても冷たいですよね。
野菜室を利用したとして、夏場でも10℃以下のことが多いかなと思います。

冷蔵庫で冷えたパン生地は発酵がゆっくりになります。

イーストの発酵活動は10℃以下になると、急激に遅くなります。
そして4℃以下では発酵はお休みの状態。

冷蔵庫はもともと、食品を日持ちさせる(微生物の繁殖を抑える)ために低い温度になっています。

イーストが働きにくくなるのも当たりまえなのです。

ただ、温度が10℃位の野菜室だったら、ゆっくりと発酵が進むはずですよね。
その通りで、野菜室を利用すると徐々に発酵して、パン生地がおおきくなります。

それでも、捏ねたパン生地をすぐに野菜室に入れてしまうと、その後の発酵が進みにくくなってしまいます。

その理由を深堀りしていきましょう。

パン生地の材料を捏ねて室温に置いておきます。
その時の室温にもよりますが、パン生地の見た目はほとんど変わりません。

じゃあ、置いておく意味ないでしょ!
とツッコミをいれたくなりますが、実はパン生地の中ではたくさんの反応が起こっています。

イーストの発酵

イーストの発酵活動の栄養源は、ショ糖(砂糖)やブドウ糖などです。
甘い糖類ですね。

これらの糖類の中には、そのままイーストの餌になるものとそうでないものがあります。
イーストの餌になるものはそのまま使えば良いのですが、
そうでない場合は、イーストが使えるように分解していく必要がでてきます。
さらに、イーストの体の中に運ぶことも大切です。

その反応の立役者になっているのが『酵素(こうそ)』です。
酵素というのはグループの名前なので、そのグループの中で非常の多くの種類の酵素がいます。

イーストがいざ発酵を開始して、パン生地が膨らんでいくためには、
前段階としてこれらの酵素の働きが順調に進んでいることが必要です。

そして、酵素の働き方は温度で変わります。

多くの酵素は低い温度帯では、働きが悪くなります。

上記の一文がとっても大切。

ここまでの話をまとめますね。

イーストが発酵するためには、餌になる糖類が必要です。
その糖類はイーストが使えるような状態に分解して、イーストの中に運ばれます。
これらの糖類の分解などに関わるのが酵素(こうそ)です。
そして、酵素はパン生地の温度が温かいときに、よく働いてくれます。

つまり、パン生地を捏ねたときの温度(こね上げ温度)が低かったり、
すぐに冷蔵庫にいれてパン生地を冷やしてしまうと、酵素の働きが悪くなってしまいます。

結果として、イーストの発酵活動が進まずに、パン生地も膨らまないことになるのです。

冷蔵庫にいれる前に室温におく時間は?

実際のパン作りでは、冷蔵庫にいれる前にどれくらいの時間を室温におけば良いのでしょうか?

これはとても奥深い問題です(^_^;)

なぜなら、室温や冷蔵庫の温度は各ご家庭によって違うからです。
冷蔵庫の中に食品がパンパンに入っているか、空いている状態の庫内かどうかでも違います。

冷気があたる部分は、とても冷たいですしね。

そのため、絶対に何分おけば成功するというものはないのです。

皆さんには、ぜひ自分自信の力で時間をどれくらい置くかを考えていただきたいです。
なので、室温におく時間の考え方をお話していきたいと思います。

ポイント①イーストの量

イーストの量が少ない方が、発酵はゆっくりになります。
私の経験上ですが、イーストの量がベーカーズパーセントで0.5%未満(100gの小麦粉に対してイーストの量が0.5gよりも少ない)になると、
発酵の速度はゆるやかになると感じています。

逆にいえば、イーストの量が多い場合は冷蔵庫に入れる前に室温に置きすぎると、冷蔵庫で発酵が進みすぎてしまうということも考えられます。

ポイント②こね上げ温度

パン生地をこねた直後、生地の温度を測っていますか?
前章の酵素のお話でもくわしく解説いましたが、こねた後の温度が低いと発酵が順調に進まなくなります。

通常冷蔵発酵をする場合も、24℃~28℃の範囲でこね上げ温度を調整する方が良いと考えています。

とはいえ、冬場はこね上げ温度が20℃位になることもあります。
その場合は、冷蔵庫に入れる前に室温におく時間を長めにとることをオススメします。

私も、冬場は2時間くらい室温にだしておくこともあります。
出かける用事がないときは、気長に室温に出しておくのも試してみてくださいね。

ポイント③季節で違う室温

さっきから『室温、室温、、』と何回も言っていますが、室温は季節によって違います。

これは余談ですが、日本薬局方というものがありまして、
温度が具体的に定義されています。

◎室温・・・1~30℃
◎常温・・・15~25℃

上記のような定義になっていますが、普段の生活ではあまり区別なく使われていると思います。

話を戻しますね。

部屋の温度計を眺めていると、夏場は冷房をつけても28℃くらいになります。
冬場は暖房を効かせて18℃くらいでしょうか。(東京)

寒い地方の方は、もっともっと室温が低いと思います。

ざっと考えても、1年間で10℃も差があるわけです。
そりゃあ、発酵のスピードも変わりますよ。

夏場は、発酵するのが早いです。
うっかり室温に出しすぎて、数十分で発酵してしまったということがありますので注意しましょう。

ポイント④冷蔵庫の温度

ポイント③の室温とほぼ同じ考え方です。
夏場の冷蔵庫は温度が上がっており、思ったよりも冷蔵庫内で発酵が進んでいたということもよくあります。

特に野菜室を利用して発酵する時は、庫内の温度がどうか?というところまで考えると良いと思います。

こちらのブログも参考にしてくださいね(^^)
【野菜室vs冷蔵庫どちらが良い?】パン作りの冷蔵発酵を行う場所でお悩みの方へ

◎まとめ◎冷蔵発酵で捏ねたパン生地を室温におくのが重要が訳

パン作りの冷蔵発酵では、冷蔵庫にパン生地をいれる前に注意してほしい重要ポイントがあります。

それが、パン生地を室温におくこと。

捏ねた直後はパン生地が発酵の準備をしている段階です。
ここで温度を下げてしまうと、発酵のスタートに立つことができなくなって(遅くなって)しまいます。

イーストに元気よく発酵してもらう時間。
そう思って、パン生地を扱ってみるとおもしろい結果になると思いますよ(^^)

みなさんのパン作りの手助けになれば嬉しいです♪

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