冷蔵発酵のパンがイースト臭!?原因と対策を解説します

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冷蔵発酵に思い切ってチャレンジ、、たった今手作りしたパンが美味しくないと感じた方へ。

『パンからイースト臭がする』という経験をしたことがあるでしょうか?

自慢になりませんが、私は数々の失敗を繰り返してきました(^_^;)

失敗した直後は、凹みました。。

だって、時間かけて作ったパンですよ。
ワクワクしながらオーブンの扉をあけたのに。撃沈。。

悲しい気持ちになりますよね(;_;)当然のごとく、家族は食べてくれないですし。

冷蔵発酵(低温長時間発酵、オーバーナイト法)を始めたばかりの頃、
今までのパン作りの経験とは一癖ちがう方法に苦戦する事がよくあります。

冷蔵発酵のパン作りでよくある失敗のひとつが『イースト臭』です。
原因とその対策について、分かりやすく解説していきたいと思います。

『イースト臭』ってどんな臭い?

そもそもイースト臭とはどんなものなのでしょうか?

一般的に家庭で用いるイーストは、顆粒状になっている『インスタントドライイースト』です。

『生イースト』という主にパン屋さんで使われるイーストがあるのですが、
これをさらに乾燥させたのがインスタントドライイーストです。

生イースト1g中には100億以上の酵母がいます。
インスタントドライイーストで考えると、、?想像するだけでも、すごい量の酵母が存在していることがわかりますね。

インスタントドライイーストを水(湯)に溶かした時のツンとしたあの臭い。
それこそが、『イースト臭』です。

私は少量のイーストで行うパン作りをモットーとしていますが、
ほんの少しのイーストだとしても、
水に溶かした時に『イースト臭』を感じます。

正直なところ、それ単独では決して良い臭いではありません。

この香りが、焼けたときのパン生地にも強く残っていたとしたら、、、、
『美味しくない』と感じても不思議ではないと思います。

【イースト臭の原因①】イーストの量が多い

今回は冷蔵発酵法(低温長時間発酵)のパン作りに焦点を当てて、
『イースト臭』の原因についてお話していますが、
パン作りの基本はどんな製法でもすべて同じです。

冷蔵発酵法だから、イースト臭がしているのではありません。

冷蔵発酵法でも、約30℃の発酵器で発酵させる方法でも、イースト臭がしてしまう原因は同じなのです。
ただ、対策のポイントは違ってきますね。
では、詳しく考えていきましょう!

イースト臭の原因として考えられるのは、ひとつ目にイーストの量が多すぎる事です。

先ほどもお話しましたが、生イースト1gの中には100億個の酵母がいます。
さらに乾燥しているインスタントドライイーストに置き換えると、
0.1g中でも相当な酵母数になるはずですよね。

冷蔵発酵では、冷蔵庫内の低い温度で長時間発酵をとります。
そもそも、イースト量が多いレシピを冷蔵発酵法で行うことは難しいのです。

なぜなら、イーストが多ければどんどん炭酸ガスを発生するため、発酵時間は短くなります。
長時間の発酵を行うことが目的の製法で、必要以上にイースト量を増やす事はできないのです。

『冷蔵発酵では通常のイースト量の2分の1から3分の1にする』という説明を見ることがありますが、、
もとのレシピのイースト量が多ければ、半量にしてもイースト量が多いのは変わりません。


これは私の経験上、野菜室ではなくより低い温度帯の冷蔵庫で発酵させるという条件で、イーストの量は1g以下(小麦粉100gに対して)が上限ではないかと思います。

ベーカーズパーセントで考えると、イースト量は1%以下です。

単純に、イースト配合が多いレシピは、焼きあがったパンにもイーストの香りが残ります。

バター、卵、他の乳製品などの副材料が多いとイースト臭は感じにくくなりますが、
シンプルな配合のパンほど、『イースト臭』を強く感じる事になります。

私自身、今は冷蔵発酵法でのイースト量の基準を持っていますが、
何年も様々な方法を試してきました。

0.1g単位で様々なイースト量のパンを焼いてみたこともあります。
イースト量が少なくなるほど、イーストで作るパンの独特の香りが少なくなります。
そのパンは小麦粉の自然の甘みが引き立つものになるのも、経験として感じています。

【イースト臭の原因②】発酵が上手くできていない

【イースト臭】と並んで、パン作りの失敗として有名なのが【アルコール臭】です。

アルコール臭がするという失敗も多いですよ。。
そして、焼きあがったパンの味もかなり印象的、、、(笑)

アルコール臭といっても、単純に酒臭いというものでもないような気がします。
酸っぱいような色々混ざっているような臭いです。

『うわー、すごいイヤな臭い』と言ってしまうくらいに、アルコール臭のするパンは美味しくないですよ。

イヤな臭いという関連で、『アルコール臭』のことを『イースト臭』と感じてしまっている方も多いのではないかと感じます。
私もパン作り初心者の頃は、違いをよくわかっていませんでした。

どちらにしても、原因としては『発酵』が適切ではないという事です。

◎イースト臭の原因⇒発酵不足
◎アルコール臭の原因⇒過発酵

一般的に上記のような原因があると言われていますし、私もそのように習ったことがあります。

私が経験してきた中では、過発酵の時のアルコール臭の方がとても強烈な失敗の記憶として残っています。
逆に、イースト量を抑えたレシピで作っている限りでは、すごく強いイースト臭のパンになったという経験はあまりないです。
そのため、イースト臭を感じた場合は、レシピの配合自体の見直しとイースト量の調整は必須ではないかと考えています。

上部にあるのは、私が一次発酵で過発酵になったパン生地を検証したときの写真です。

◎アルコール臭がする(酒臭い変な臭い)
◎膨らまない(しぼむ)
◎高温で焼いても焼き色がつかない
◎味がしない

もしイースト臭だと感じているのがアルコール臭だとしたら、改善するポイントが違ってきます。上記のような特徴のパンが焼けたら、過発酵の可能性が高いです。
もう一度、できあがったパンと行った工程を見直してみると発見があるかもしれません。

実際の検証結果やその理由についてはこちらのブログに詳しく記載しています。
【検証】一次発酵で過発酵になったパンを焼いてみると、、、/過発酵について詳しく解説!

冷蔵発酵での過発酵と発酵不足を防ぐには?

イースト臭、アルコール臭のどちらにしても、自分の期待していたパンの味と程遠いものになっているのはかわりません。
今回のブログのテーマは『イースト臭』についてですが、
きちんとパン作りの作業を改善していけば、アルコール臭もイースト臭もなくなります。

イースト臭やアルコール臭の対策で必須なのは『発酵』の見直しです。

過発酵や発酵不足のパンは、美味しく焼きあがりません。

失敗してみるとわかりますよ、、、本当に残念な気持ちになる味です(^_^;)

冷蔵発酵で発酵を上手く進ませるために考えるポイントは2つです。

◎パン生地の温度
◎冷蔵庫の温度

イーストは40℃くらいで最もよく働きます。
そして、温度が低くなり10℃以下になる活性が低下し、4℃以下では休眠状態になります。

冷蔵庫で発酵させる時のパン生地の温度が何度であるかを考えると、発酵が進み具合を予想することができるのです。

冷蔵庫内の温度が4℃以下の場合、イーストが休眠状態になります。
この場合は、冷蔵庫にいれてしばらく経つと、パン生地の膨らみはストップします。

冷蔵庫に入れても、いくら経っても膨らまないなぁと感じることがあるかもしれませんが、
イーストの働く温度を考えれば納得できるはずです。

一方で、野菜室の温度は冷蔵庫よりも高く設定されています。
また、夏場で冷蔵庫の開け閉めが多い場合や庫内の棚の位置によっては、4度よりも高くなりこともあると思います。

この場合は、少しずつイーストの発酵が進みます。
うっかりすると過発酵になる事もあるので注意が必要です。

野菜室、冷蔵庫の違いについてはこちらのブログを参考にしてくださいね。
【野菜室vs冷蔵庫どちらが良い?】パン作りの冷蔵発酵を行う場所でお悩みの方へ

ここからは、対策のお話をします。

まず、冷蔵庫にいれたら全く発酵していない時について考えていきましょう。

焦らない事!これが大切です。

イーストは温度が上がれば、必ず発酵してくれます。
パン生地を冷蔵庫から室温に出して、温度を少しずつ上げていきます。

待てば、絶対に大丈夫です。焦らずに、適正な発酵状態になるまで待ちましょう。

一方で、すでに過発酵になってしまったパンを修復するのは難しいのが本当のところです。
そのため、過発酵を防ぐことの方が大切だと思います。

冷蔵発酵で過発酵に注意が必要なのは下記の2つの条件です。
◎冷蔵庫に入れる前のパン生地の温度が高すぎる
冷蔵庫内の温度が高い

やはり注目するのは、パン生地と冷蔵庫の温度です。

冷蔵発酵でパン作りをする場合、ほとんどのレシピで冷蔵庫に入れる前に室温でパン生地を発酵させる(寝かせる)時間があります。
この時の室温が高い夏は発酵がよく進みますし、寒くなると発酵が遅くなります。

また、冷蔵庫の温度も季節によって違うのです。
特に夏場は冷蔵庫内の温度もあがります。

冷蔵庫で発酵する場合も、夏場は発酵の進み方が早くなります。
レシピ通りの時間で発酵を行うのではなく、たまにパン生地の様子を除いて確認してください。

冷蔵発酵では、もともと長時間発酵を行うためにイースト量がとても少なくなっています。
1時間くらいで急激に発酵が進んでパンが膨らむことはありません。

時々パン生地を気にしているだけでも、過発酵を防ぐことができますよ。

◎まとめ◎冷蔵発酵でイースト臭のしないパン作りをしよう

冷蔵発酵では長時間低温発酵を取ることで、
イースト量を極力抑えたパン作りをする事ができます。

『イースト臭を感じる』という場合は、レシピのイースト量を見直す事も必要です。
イースト自体の配合が少なければ、イースト臭を感じにくくなります。

冷蔵発酵のパン作りも、発酵の見極めがとても大切です。
発酵不足になっていない?過発酵になっていない?とパン生地をよく観察してください。

何回も繰り返すうちに、自分の家の冷蔵庫の温度やパン生地の変化の様子がよくわかるようになりますよ(^^)

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参考資料

科学でわかるパンの「なぜ?」