必ずといっていい程、議題となる代表的なお菓子作りの疑問です!!
お菓子の砂糖の量を減らして良いのか問題
◎甘さ控えめが良い
◎カロリーが気になる
様々な理由で、レシピのお菓子の砂糖の量を減らしたい。
そう思う方は多いを思います。
しかし!!お菓子作りにおける砂糖は単純に甘さだけの役割ではありません!
今回はスポンジ生地に注目して、
実際に検証した結果をもとに、砂糖の役割について解説したいと思います。
![](https://atelier-epice.net/wp-content/uploads/2022/06/b757e9d12ed1ab338d56bb895858f3a7.png)
【検証①】スポンジ生地の砂糖の量を半分にするとどうなるのか?
まず結果からいいますね。
![](https://atelier-epice.net/wp-content/uploads/2022/06/31114b917729ec2f6cc22a3e967377b1-1080x720.jpg)
この通りです。
右側の『砂糖30%』の方が、砂糖の量が半分にして焼いたスポンジ生地です。
◎膨らまない
◎焼き色がつかない
見た目の違いとして、このような結果になりました。
スポンジ生地の配合は、以下のものを基本配合としました。
【配合A】
卵 60g
砂糖 36g(卵の60%)
薄力粉 36g(卵の60%)
この配合の砂糖の部分だけを半分にします。
【配合B】
卵 60g
砂糖 18g(卵の30%)
薄力粉 3g(卵の60%)
卵と砂糖を合わせた後の温度は35度に調整しています。
ミキサーを使い高速4分、その後低速で3分泡立てました。
薄力粉を加えた後に混ぜる回数も同じにしています。
【製菓理論】スポンジ生地を作るときの卵の泡立てと砂糖の関係
スポンジ生地における砂糖の役割を考えていきたいと思います。
卵を泡立てる時、砂糖の2つの効果を考える事ができます。
①砂糖は卵の気泡を壊れにくくする
②砂糖は卵の気泡ができるのを抑える
あれ?卵が泡立ちにくくなるけど、泡立った気泡は壊れにくくなる。
結局どういう事?
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①の『砂糖は卵の気泡を壊れにくくする』という点について説明しますね。
全卵を泡立てる時、卵黄と卵白のうちで泡立っているのは、ほとんどが卵白です。
メレンゲを作っている時の事をイメージしましょう!
卵白を泡立て続けていると、、、
もろもろになって水分が分離してきた!!
このような経験がある方は多いのではないでしょうか。
この水分を吸って分離しにくくするのが砂糖なのです。
結果として、砂糖が入ると卵の気泡が安定して壊れにくくなります。
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一方、②『卵は気泡ができるのを抑える』はどういう事なのでしょうか?
こちらも、メレンゲを作る時のイメージで説明しますね。
卵白を泡立て器で泡立てると空気が入ります。
↓
すると、卵白の中のタンパク質が薄い膜となって空気を取り囲んで固まります。
(タンパク質の空気変性)
↓
安定した気泡となって卵白全体にボリュームがでます。
卵白が泡立つのは、卵白に含まれるタンパク質が関係しているのですね!
砂糖は、このタンパク質の空気変性を抑える働きがあります。
そのため、砂糖が入ると卵が泡立ちにくくなるのです。
【検証②】砂糖を減らすと泡立てた卵の状態はどうなるのか?
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卵の量に対して60%の量の砂糖を加えて泡立てたものを基本としました。
その砂糖の量のみを半分の30%にします。
配合A
卵 60g
砂糖 36g
配合B
卵 60g
砂糖 18g
泡立てにはミキサーを使いました。
卵と砂糖を混ぜ、温度を35度に調整しています。
高速4分。
砂糖の量以外の条件は同じにしています。
泡立てたものを40g分、同じ計量カップに入れて体積を比べてみました!
砂糖が半分の【配合B】のほうが、泡立てた卵のボリュームが出ていますね。
触った感じも配合Aに比べるとふわふわと軽いです。
前章で解説した通り、
砂糖には卵の気泡をできにくくする役割があります。
そのため、砂糖の量が半分の【配合B】の方が、同じ時間泡立てたときのボリュームがでたのだと思います。
『科学でわかるお菓子の「なぜ?」』という本でも、卵の泡立ちと砂糖の量の関係について解説されています。
この本では、砂糖の量が極端に少ない場合には、気泡が壊れやすくボリュームが小さくなるとの記載がありました。
今回の検証では、砂糖の量を卵の30%(ミキサー高速4分・温度35度)としましたが、違う条件で泡立てた場合は異なる状態になるのかもしれませんね。
【検証③】スポンジ生地の砂糖を減らすと膨らみや食感はどうなるのか?
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【検証①】の章で結果のみ記載していましたね。
スポンジ生地の砂糖の量を半分に減らすと、
◎膨らみにくくなる
◎焼き色がつかない
いやー(^_^;) 大分、残念な焼き上がりですよね。。
でもでも、砂糖が半分の方が卵を泡立てた時のボリュームがあったはずなのに。
⇒【検証②】参照
ここで、砂糖のもう一つの作用が関係してきます。
砂糖は卵の気泡を壊れにくくする!!
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実際にやってみるとよーく分かります。
【配合B】砂糖を半分に減らすと、泡立てた時のボリュームはあるのですが、、、
薄力粉を加えてまぜると、
シュワシュワシュワーーーー(゚д゚lll)気泡が消える。。。
泡立てた後のボリュームはどこへ!?
砂糖の量の半分にへらすと、
明らかに気泡の安定性が悪い!!!
オーブンへ入れた後、焼きあがったスポンジ生地は顕著に結果を表していますね。
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スポンジ生地の一番膨らんでいる所までの高さは以下の通りです。
【配合A】8cm
【配合B】6cm
砂糖の量を半分に減らした【配合B】の断面は詰まっていて、キメが粗いのが分かりますね。
食べてみると、、
◎もそもそしている
◎単純に固い食感
◎全くと言っていい程、甘くない!!!
お世辞にも美味しいとは言えないです(^_^;)はい。
【製菓理論】砂糖の保水性について
そして、3日間冷蔵庫で保管した後にも食べ比べてみました。
【配合B】の砂糖の量を半分にしたスポンジ生地は、
◎固さとぱさぱさ感がものすごく増している
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砂糖には『保水性』という、お菓子作りにおいてとても大切な役割があります。
なんだか化粧水のような響きですが、
簡単に言うと、砂糖があるとスポンジ生地がとても潤うのです( ´ ▽ ` )ノ
スポンジ生地においては
①スポンジ生地はオーブンの中で水分が蒸発して焼き上がりますが、
砂糖があると水分を保持してくれるのでしっとり焼きあがる。
②焼きあがったスポンジ生地のデンプンが老化すると固くなるが、
砂糖がデンプン中の水分を保持するので時間が立っても固くなりにくくなる。
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しっとりしたスポンジ。そして時間が経っても固くなりにくいスポンジ。
一般的に良いとされるスポンジ生地を作るためには、
砂糖は欠かせない材料である事がようわかりますね。
◎まとめ◎スポンジ生地の砂糖を減らすのはNG!!甘さだけではなく、全く違う生地になってしまう
砂糖の量を半分に減らしたスポンジ生地を実際に作って比較し、
スポンジ生地における砂糖の役割について考えました。
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スポンジ生地を作る時、砂糖を加えると以下のような役割があります。
◎卵の気泡を壊れにくくする
⇒スポンジ生地がよく膨らむ
◎保水性がある
⇒スポンジ生地がしっとり焼き上がり、時間が経っても固くなりにくい
そして、極端に砂糖を減らしてしまうと、
甘くない!!
お菓子の砂糖の量を減らしたい。
カロリーも気になるし、甘さ控えめがよい。
その思いもよく分かります。
でも、砂糖には単純に甘さだけではない大切な役割があります。
特に焼き菓子は、卵・小麦粉・バター・砂糖の配合のバランスが保たれているからこそ完成するものなのです。
配合を変えてしまえば、もう別の食べ物。
それはそれで美味しければOKではありますが、
やみくもに配合を変えてしまうと失敗する確率は高くなります。
お菓子の材料は一つ一つがとても奥が深いです。
だからこそ面白い。ひとつ学ぶと次が知りたくなりますね♪
皆さんのお菓子作りの参考になれば嬉しいです(^^)
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参考文献
科学でわかるお菓子の「なぜ?」