捏ねたパン生地を冷蔵庫で一次発酵させて、翌日焼くはずだったのに、、
翌日、冷蔵庫の中のパン生地を見たら『まったく発酵してない。。』
この後、どうしますか?
結論から言いますね。
ここから、パン生地を美味しく焼き上げることはできます。
なので、失敗した、、と焦らなくて大丈夫です。
冷蔵発酵は長時間低温発酵やオーバーナイト法とも言われます。
レシピもたくさんありますが、なかなかレシピ通りにいかないのも確かです。
そのため悩む人も多いはずです。
このブログでは、冷蔵発酵法(低温長時間発酵・オーバーナイト法)のパン作りについて、
下記の疑問に分かりやすくお答えしていきたいと思います。
◎レシピ通りの時間を冷蔵庫で発酵させたのに全く発酵しないのはなぜ?
◎冷蔵庫から出したパン生地が発酵していない時の対処法
レシピ通りにいかない!?冷蔵発酵の注意点
『冷蔵発酵 レシピ』と、たった今検索しました。
大手製菓材料店や、レシピサイト、ブログなど、膨大なレシピが表示されます。
それ位に、冷蔵発酵は家庭でのパン作りでも浸透しています。
いくつかのレシピを見てみると、工程がみんな違うのです。
◎冷蔵庫にいれる?野菜室にいれる?
◎冷蔵庫にいれる前に室温に出しておく?
◎何時間発酵させる?
◎翌日、冷蔵庫からだしたらすぐに分割して良い?
もう、、どれが正解かわからない。
そんな状況です。
『この困った』を解決する方法はひとつです。
『レシピの時間だけでパン作りをしないこと。』これが最大のポイントです。
大切なのは、パン生地の状態がどうなっているか?です。
レシピの時間は参考程度です。
特に冷蔵発酵法のレシピでは、『レシピの時間』通りに作るのは難しいと考えて良いと思います。
なぜなら、冷蔵庫の温度は各家庭によって違うからです。
季節によってもかなり温度の幅があります。
例えば、発酵器やレンジの発酵機能の30℃で発酵させるレシピは、
どの家庭でも発酵器を使えば約30℃で一次発酵を行うことができます。
一方で、冷蔵庫で発酵させる場合はどうでしょうか?
メーカーで参考値として紹介されていた冷蔵庫の温度を下記に示します(各メーカーでも差があります)。
◎冷蔵庫⇒約0~6℃
◎野菜室⇒約3~9℃
冷蔵庫内が0℃近い家もありますし、庫内の棚の位置によっては5℃以上も高くなることもあると思います。
逆に室温も低い冬場は、野菜室でも4℃位になることもあります。
冷蔵庫の扉の開け閉めの多さでも違いますよね。
皆さんのお家の冷蔵庫の温度は?
あまり意識していない事が多いはずです。私もそうでしたよ。
シンプルに考えると、発酵時間が長くなるか短くなるかに影響するのは2つです。
パン作りで無意識に使っているものです。なんでしょう?(クイズ形式、、(笑))
すぐに答えを言ってしまいますが、
①発酵温度 ②イーストの量 の2つになります。
②のイーストの量は、正確に計量すればレシピ通りになります。これはOK。
一方で、①の発酵温度を考えてみます。
レシピの作者さんが使う冷蔵庫の温度と、自分自身の家の冷蔵庫の温度が同じである事はほとんどありません。
レシピの作者さんは春夏秋冬のいつ作っているのかもわかりません。
レシピによっては夏場はこうする、冬場はこうすると書いている場合もありますが、
なかなかその通りにはいかないことも多いのが現実だと思います。
発酵温度が違うとすれば、発酵時間はかなり違ってきます。
そうなると、レシピ通りの時間で発酵が完了するはずがないのも納得できると思います。
【対処法①】冷蔵発酵で発酵が止まってしまう温度がある事を知っていますか?
ここからは、冷蔵発酵(低温長時間発酵、オーバーナイト法)で、発酵をスムーズに進めるための対処法を考えていきましょう。
イーストは生きている細菌です。
イーストの発酵活動は、温かい温度の方が活発になります。
約40℃で発酵させるのが、イーストが最も元気いっぱいに活動する温度です。
夏場は家中にカビが生えやすくなるというのをイメージするとわかりやすいと思います。
これは余談ですが、『発酵』と『腐敗』は本質的には同じものです。
人間にとってメリットになるのが『発酵』で、
人間にとってデメリットになるのが『腐敗』です。
完全に人間の都合です(^_^;)
さて、話を戻しますね。
もともと、食品を腐らせず、低温で長く保管するためにあるのが冷蔵庫です。
そう考えると、イーストの発酵活動が遅くなるのは当たり前ですよね。
本題の温度を考えてみましょう。
イーストの活動は10℃以下で活性が低下します。
そして、4℃以下になると休眠状態になります。
つまり、4℃以下になるとパン生地の発酵は止まってしまうのです。
冷蔵庫内の温度をおさらいしてみますね。
冷蔵庫・・・約0~6℃
野菜室・・・約3~9℃
特に温度の低い冷蔵庫では、パン生地の発酵は次第に止まってしまうという事になります。
ただし、夏場で冷蔵庫の開け閉めが多い場合などは、冷蔵庫であっても発酵が進むこともあります。
冷蔵発酵であっても、やはり季節の温度の変化を意識する事はとても大切です。
冷蔵庫で発酵したら全く発酵が進まずに膨らまなかった時、
冷蔵庫の温度が低いからというのが、ひとつの原因です。
この時の対処法は2つです。
①温度帯の高い野菜室で発酵させる
②冷蔵庫に入れる前に、室温で発酵させる
①は、イーストが休眠状態になる4℃より高い野菜室でゆっくり発酵させる方法です。
ここまでのお話をまとめると、すぐに想像出来ると思います。
②は、ちょっと経験が必要です。
冷蔵庫内の温度が4℃以下であると、パン生地の発酵は止まります。
ただし、冷蔵庫にいれた直後にパン生地の温度が4℃になるわけではありません。
冷蔵庫内でだんだんとパン生地自体の温度が低下していくので、
4℃に達するまでの間は発酵が進みます。
この事を考えて、冷蔵庫に入れる前にパン生地を少し発酵させておきます。
どれくらいまで発酵させれば良いかというのは、各家庭の冷蔵庫によって違います。
正直なところ、これはやってみないとわかりません。
試してみて、次はこうしようと改善していくと良いです。
イーストが発酵しやすい温度がわかっていれば、数回やってみるとコツがつかめてきます。
試行錯誤が必要ですが、それも含めて楽しんでパン作りをする位に気楽に挑むと良いですよ(^^)
【対処法②】冷蔵庫にいれる前のパン生地の温度が低い時は?
前章では『冷蔵庫内の温度』に注目しました。
ここからは、『パン生地の温度』にポイントを当てていきたいと思います。
今までお話してきたように、
冷蔵庫にいれるとパン生地の温度が下がります。
パン生地の温度が下がれば、イーストの活性も低くなるので発酵活動も遅くなります。
低い温度では発酵が遅くなるのですから、
冷蔵庫にいれる前に、ある程度の発酵をスムーズに進められるような状態を作っていくことが必要です。
イメージしずらいと思うので、具体的に私の経験をお話します。
〈ケース①〉捏ねた後の温度が低い時
どうせ冷蔵庫にいれるのだから、パン生地を捏ねた時の温度(捏ね上げ温度)は低くても大丈夫だろうと思っていた私。
この場合、発酵はほとんど進みませんでした。
〈ケース②〉冷蔵庫にいれる前に室温で寝かせる時間がない時
冷蔵発酵を行う場合、ほとんどのレシピで冷蔵庫にいれる前に
室温などでしばらく寝かせる時間をとります。
別に室温に置かなくても発酵するでしょ、と思っていた私。
これも、発酵が思うように進みません。
ケース①は捏ね上げ温度が低すぎた事。
ケース②は捏ねた生地をすぐに冷やしてしまった事。
どちらも、パン生地の温度が低いことが原因で、一次発酵で発酵が進まないという結果になっていると考えられます。
冷蔵発酵だけでははなく、どんな製法でパンを作る場合にも
『捏ね上げ温度』は超重要です。
レシピによって捏ね上げ温度は様々です。
捏ね上げ温度がずれると期待しているパンが焼けないという事を、
職人さんたちの長年の経験から導き出しているのだ思います。
補足しますと、イーストの発酵活動では様々な酵素が働いています。
これらの酵素も至適温度というものがあって、多くの酵素が活発に働くのは体温くらいの温度帯です。
酵素の働きを考えても、パン生地の捏ね上げ温度を温かい温度帯に整えることは、
パン作りをスムーズに進めるためには必須なのだと考えています。
さて、そうは言っても『捏ね上げ温度』が低くなることはよくあります。
そうなった場合は、冷蔵庫に入れる前に室温に出す時間を長めにとってください。
室温も春夏秋冬で変わりますので、どれくらいの時間が必要かは試すしかありません。
意識として、捏ね上げ温度が低い⇒冷蔵庫に入れる前の発酵時間を長くすると考えると良いと思います。
パン生地の中のイーストの準備が整う前に冷蔵庫に入れて冷やしてしまうと、発酵が上手く進まなくなる。
そのようなイメージを私はしています。
【対処法③】冷蔵発酵で冷蔵庫から出した時に発酵が足りなかったらどうする?
特に冬場はパン生地の温度も冷蔵庫内の温度も低くなります。
冷蔵発酵でもパン生地が膨らまずに発酵が進まないということがよくあります。
もし、冷蔵庫から出した時に発酵不足の状態だったらどうするか?についてお話していきますね。
冷蔵庫で一旦冷やしても、イーストは温度が上がれば発酵を再開します。
そのため、冷蔵庫の中で発酵してない!膨らんでいない!時も大丈夫です。
冷えているパン生地の温度が上がるまでには少し時間がかかりますが、
必ず膨らみます。
焦らずにじっくり待ちましょう。
ただし、『室温』も低い冬場はなかなか発酵してくれません。
そんな時は発酵器も活用します。
冷蔵庫から出してすぐに発酵器に入れるとパン生地の中心部が冷えたままになってしまいます。室温である程度パン生地の温度をあげてから、発酵器に入れるのがポイントです。
◎まとめ◎冷蔵発酵で膨らまない(発酵しない)時、冷蔵庫とパン生地の温度に注目する!
冷蔵発酵のレシピ通りの時間で発酵させても、思うように発酵しなかった時。
原因の多くは冷蔵庫内の温度かパン生地の温度が低すぎる事です。
◎野菜室を活用する。
◎捏ね上げ温度が低すぎていないか見直す。
◎冷蔵庫にいれる前の室温におく時間を長くする。
上記のような対処法を試してみると、解決への一歩を踏み出せるかもしれません。
冷蔵発酵は、レシピ通りになかなか進みません。
しかし、何回かチャレンジしてみて、自分の家の冷蔵庫の癖をしってしまえば迷いはなくなります。
むしろ、オーバーナイト法を呼ばれるように、大変は作業を2日に分けて行うことができますので、パン作りの作業はかなり楽になります。
ぜひ、もう一度チャレンジしてみてくださいね(^^)
家庭のパン作りの正解がわからない?
公式LINEに登録していただくと、先行してレッスンの情報をおとどけします
↓↓↓
登録特典に『長時間発酵パンケーキ』のレシピをプレゼントしています(^.^)ぜひ友だち登録してくださいね♪
◎『発酵の見極め』『こね具合』自信を持って判断できますか?
2日経ってもしっとり極上の熟成パン。
生徒さんひとりひとりの家庭の環境に合わせたパン作りを。
パン作りの「なぜ?」をマニアックにお伝えしています(^^)
◎あなたのおうちのパン作りを常にサポートするから上達がはやい!
究極にやわらかいパンつくりませんか?
リアルレッスンに通えない!みなさんの声にこたえました。
冷蔵発酵オンラインレッスンはこちらをクリック↓
パン教室アトリエエピスホームページはこちら
公式インスタグラム
西東京市パン教室アトリエエピス 井手芙雪(いでふゆき)
参考資料
科学でわかるパンの「なぜ?」