【検証】共立てスポンジ生地の卵の温度は何度が良い?

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憧れのふわふわしっとりのスポンジ生地(*´∀`*)ノ。+゜*。

レシピをみると、、、

『卵と砂糖を混ぜて、湯煎で温める』

お湯沸かすの?面倒くさいなぁ(・_・;)

この作業は何のためにあるのでしょうか?

私もお菓子作りを始めた頃には、訳も分からず言われた通りに
ただ温めていました。

で、、、何度まで?

何となく温かくなるまで(^_^;)

卵の温度は、仕上がりのスポンジ生地に影響があるのでしょうか?

実際に卵の温度別にスポンジ生地を焼いて比較をしました。

その検証の結果をもとに、卵の泡立てに温度がどのように影響するのかを解説していきたいと思います!

【検証①】卵の温度が変わるとスポンジ生地の高さはどうなるのか?

【配合】
卵 60g
砂糖 36g
薄力粉 36g

卵と砂糖を混ぜ合わせて、温度を調整し
ミキサー高速4分、
    その後低速で3分泡立てました。

卵の温度

①10℃⇒冷蔵庫からだしてすぐ

②35℃

③50℃

3つの温度に分けて、焼きあがったスポンジ生地を比較しました。

焼きあがったスポンジ生地の高さを比較してみます。

①10℃⇒7.5cm

②35℃⇒8cm

④50℃⇒8cm

見た目でも、卵の温度が最も低い10℃のものが背が低いのがわかりますね( ´ω`)

【検証②】スポンジ生地の卵の温度で、味や食感は変わる?

検証した3つのスポンジ生地。

卵の温度

①10℃
②35℃
③50℃

焼きあがったスポンジ生地の断面を並べて比較してみます。

【キメが荒い】③50℃ ←← ②35℃ ←← ③10℃ 【キメが細かい】

実際に食べてみると違いは歴然です!!

卵の温度が10℃

①卵の温度が10℃

スポンジ生地が締まっていて、最もしっとりしています。膨らみは低いですが、固いという印象はありません。

卵の温度が35℃

②卵の温度が35℃

ふんわりして軽い食感で、①には劣りますがしっとりしています。

卵の温度が50℃

③卵の温度が50℃

ぱさぱさ(゚д゚lll)

そして、、、口溶け悪い。

口の中の水分を持っていかれる感じのパサつき感です。

更に、これらのスポンジを冷蔵庫で冷やしてから食べてみます。

実際にスポンジ生地を食べるときは冷やした状態がほとんどですので、
比較検討してみました。

結果、より違いが明確に分かるようになりました。

卵の温度が①10℃と②35℃のスポンジ生地は、冷やしてもしっとりとしていますが、、

③50℃に卵を温めたスポンジ生地は、パッサパサ( ̄▽ ̄;)

これほど違うとは、、、正直驚きました。

【製菓理論】卵の温度と気泡性

卵はかき混ぜると気泡を含んで泡立ちます。

この気泡。

卵の温度が高いほど、泡立ちやすく気泡がたくさんできる。

という性質があります。

なぜ???

温度が上がると、卵の表面張力が低くなるからなのです。

という事は、

卵の温度が高い⇒表面張力が低くなる⇒泡立ちやすくなる

となりますね。

少し、科学的な話になります。あっ!ここは読み飛ばしてもOKですよ~

『液体を泡立てた時に気泡ができるかどうか』

これには【表面張力】が影響しています。

【水】は表面張力が強いものとして有名ですよね。

水をいくら泡立てても、気泡はできませんよね。すぐにイメージできると思います。

泡立つものの代表といえば、、、、やはり【石鹸】でしょうか。

石鹸には【界面活性剤】という表面張力を低くするものが含まれています。

界面活性剤は表面張力を低くする⇒泡立ちやすくなる

と考える事ができます。

だとすると、、、卵には何か表面張力を低くするものが含まれている??

おぉー!カンが良いですね!!

その通りなのです。

卵の卵白には表面張力を弱くするタンパク質が含まれています。

◎卵白のタンパク質は表面張力を低くする

⇒泡立って気泡ができる

◎卵の温度を高くする⇒表面張力を低くする

⇒より泡立ちやすくなって、気泡がたくさんできる

この2つの関係性が繋がりましたね( ´ ▽ ` )ノ

スポンジ生地を作る時の卵の温度は何度が良いの?

卵の温度が上がると泡立ちやすく、たくさんの気泡ができる。

気泡がたくさんできたほうが美味しいスポンジになるの???

この答えがYESならば、

泡立てる時の卵の温度は高くした方が良いことになりますよね。

もう一度、卵の温度を変えたときのスポンジ生地の断面を見てみましょう。

確かに、卵の温度が高い50℃のスポンジ生地は、気泡が大きくてよく膨らんでいます。

でも、食感はぱさぱさです。

多くの場合、スポンジ生地はきめ細かくしっとりしたものを作りたいと思うはずです。

きめ細かくしっとりしたスポンジ生地を作りたい時

卵の温度は40℃以下にする

私は、このように考えています。

共立てのスポンジ生地を作る時は、手混ぜで行うよりもハンドミキサーなどを使う方が多いですよね。

ハンドミキサーの高速で泡立てると、一気に気泡ができて泡立つので
卵の温度を上げすぎると、顕著にスポンジ生地のキメが粗くなります。

温度をある程度上げておいたほうが、
早く泡立ちふんわり感のあるスポンジ生地に仕上がるので、
私は30℃~40℃の範囲で卵の温度を調整します。

冷蔵庫からだ出してすぐの卵を使うと、
泡立つのに時間はかかりますがきめ細かい気泡になります。

卵の温度が低い時、手混ぜはキツイです。。

一方で、ハンドミキサーを使って十分に泡立てれば、しっとりとしたスポンジ生地が完成します。

◎まとめ◎スポンジ生地を作る時は卵の温度に要注意!

共立てスポンジ生地のレシピに書いてある

『卵と砂糖を混ぜて湯煎で温める』

この工程の本当に意味について考えてみました。

レシピによっては、温度が明記されているものもあります。
それほどに、卵の温度は重要だという事ですね(^J^)

卵の温度をどう調整するか、、
さらに深く考える一緒に泡立てる砂糖の量や室温なども考慮する必要があります。

深く考えすぎると大変(^_^;)なので、

私の経験上は35℃前後に調整すれば、
ほぼ問題なくきめ細かいスポンジ生地になると考えています。

ふわふわでしっとりしたスポンジ生地って憧れますよね。
私も何度も何度も作りました。

中には酷い仕上がりのものもありましたね(笑)

焼きあがったスポンジ生地のぱさぱさ感。
悲しい気持ちになりますよね(´;ω;`)

シンプルな生地ほど、ひとつひとつの工程がとても大切になってきます。

材料の温度もそのひとつです。

基本には忠実に。そして丁寧に。
お菓子作りで失敗したときは、原点を忘れてはダメだなぁと実感します。

皆さんのお菓子作りの手助けになれば嬉しいです♪

西東京市パン教室アトリエエピス 井手芙雪(いでふゆき)

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科学でわかるお菓子の「なぜ?」