もちもち。むぎゅむぎゅ。
ベーグルの理想の食感を作りたいあなたへ。
ベーグル作りは実は奥が深い。
あなた好みの食感のベーグルを作るには?
注目するのは発酵時間と材料選びです。
このブログでは、ベーグルを好みの食感にするための考え方をまとめました。
・強力粉と準強力粉の違い
・小麦粉の種類で食感がかわる!
・一次発酵はとるべき?
・水分量と固さの関係性
特に、ベーグルを作る時の小麦粉の選び方に迷う方には参考になると思います!
【ベーグルの配合の秘密】小麦粉選びが重要なわけ
ベーグルは油脂を使わないのでヘルシー。
そんな言葉をよく聞きます。
ヘルシーかどうかは置いておいて、、
ベーグルの配合はとてもシンプルです。
基本の材料は、小麦粉・イースト・塩・水。
そして、砂糖を少し加える場合が多いと思います。
砂糖を加える理由は色々とありますが、きれいな焼き色がつきやすくなります。
モルトを加えても同じように、美しい焼き色になりやすいです。
ベーグルの配合はどのレシピもほぼ同じです。
私はパン教室をしていますので、
日々パンのレシピを作っていますが、
ベーグルの配合で変化させるとしたら、水分量です。
水分量の違いで、ベーグルはまったくの別物になります。
あとの材料は微調整。
もともと、小麦粉・イースト・塩・水というシンプルな材料でできているベーグル。
だからこそ、理想の食感にするために大切なのはこの3つ↓
①小麦粉の選び方
②水分量の調整
③発酵の見極め
酵母を何にするのか?
イーストの量はどうするか?
これらも、ベーグルのおいしさに大きく関わります。
ですが、そもそもベーグルは発酵を控えます。
今回はベーグルの食感に注目しているため、
酵母のお話は奥が深すぎると考えてやめることにしました。
これからのお話は、
『インスタントドライイーストでのベーグル作り』としてお読みいただければと思います。
では、材料選びからお話していきますね!
【ベーグル作りの小麦粉の選び方】強力粉と準強力粉とは?
まずは、教科書的なお話から。
キホン的な事ですが、とても大切です。
【*1】小麦粉はタンパク質の含有量(%)で分類されています。
強力粉:11.5~13.0%
準強力粉:10.5~12.0%
【*1】科学でわかるパンの「なぜ?」p.27を参考
一般的にはこんな風にいわれますね。
・強力粉→弾力があるのでよく膨らむ!
・準強力粉→タンパク質量が少ないので、強力粉みたいに膨らまない。主にハードパンに使う。
確かにそうです。
ただ、実際にパン作りをしていると、
単純にタンパク質の量だけでは、パンの食感や膨らみ方はわからない。
と感じます。
準強力粉の代用にしようと、
強力粉と薄力粉を混ぜて使ったことはありますか?
これ↑
本当のところは代用になりません。
やっぱり出来上がりのパンは、準強力粉とは違うものなのです。
薄力粉を入れるとタンパク質量は減るはずなのに…
そんなに単純なものではないことがよーくわかりますよね。
大切なのは、グルテンの性質です。
ここからが面白い内容に入ります。
『グルテン』とは何か知っていますか?
グルテンはタンパク質で、網目状にパン生地の中に広がっています。
パンの骨格となるので、パン作りでは特に大切です。
図1のように、グルテンは小麦粉の2つのタンパク質に水が混ざってできます。
そのふたつのタンパク質が、グルテニンとグリアジン。
・グルテニン→弾力が強い。
・グリアジン→伸びが良い。
ふたつのタンパク質(グルテニンとグリアジン)が絡みあうグルテン。
グルテンの最大の特徴である『弾力』と『伸び』。
その理由は、おおもとのグルテニンとグリアジンの性質であることがわかりますね。
さて、準強力粉と強力粉の違いです。
一般的に、強力粉の方が弾力があるといわれます。
ひとつ忘れていませんか?
グルテンの『伸び』の性質。
強力粉と準強力粉は『伸び』具合が全く違います。
実際にパン生地を捏ねているとよくわかりますよ。
準強力粉はとても『伸びが良い』です。
というか、弾力<<<伸びの性質が強い感じです。
私は下記のようにイメージして、小麦粉を使っています。
・強力粉→弾力も伸びも強い。プリっとして風船みたいにしなやかに伸びるパン生地になる。
・準強力粉→弾力が弱く伸びが良い。放置するとすぐダレる。
小麦粉の種類によっても、伸びと弾力の強さは変わります。
私の経験上でも伸びと弾力のバランスの良い小麦粉は、とても膨らみ良い。
そんな風に思います。
タンパク質量の数字の違いだけで、強力粉と準強力粉を選んでも、
想像したパンの食感にならないことが多いです。
ちょっと難しい話でしたが。
強力粉か準強力粉を選ぶか?
パン作りで、理想のパンの食感に近づけたい時には超重要です。
【強力粉】ベーグルのもちもち食感を極めるコツ
もちもち食感のベーグルを作りたい。
そんな時、私は『強力粉』を使います。
実際に強力粉で作るベーグルは、少しふっくらしてもちもち。
実際に強力粉でベーグルをつくってみると、
ふっくらもちもち。
程よい弾力がとてもおいしいです。
さて、強力粉のベーグルがもちもちする理由を考えてみます。
*実際にミクロの世界を調べる事ができないので、ここからは私の考察です。
強力粉と準強力粉の違いの部分でお話しましたが、
強力粉はグルテンが多く、弾力も伸びも良いのが特徴です。
そのため、強力粉で作るパンはふっくらとよく膨らみます。
弾力と伸びのバランスが良いと、パンを支える骨格がしっかりしますので。
ベーグルの場合も同じです。
強力粉で作るベーグルは、ふっくらと膨らみやすいわけです。
ただし、ここで要注意。
ベーグルは、パンのようにふわふわになるまで膨らみません。
ベーグルの独特のギュッとつまった生地になります。
◎ふっくら膨らむための『きめ細かいグルテン』をもつ強力粉の生地。
◎でも、ベーグルになる場合は膨らまないので、ギュッと詰まってしまう。
細かい編み目が、潰されたようなグルテンを持つ。
このイメージが強力粉のベーグルです。
そして、小麦粉にはデンプンがあります。
パン生地ではデンプンがグルテンの網の中を埋めています(図2)。
デンプンは水を吸って加熱されると、白ご飯のようにもちもち。
【強力粉のベーグルのまとめ】*私の考察
きめ細かい生地がギュッと潰されている。
その中で小麦粉のデンプンも、おもちのようにぎゅーぎゅー潰されています。
おもちは、もちもちしますよね。
それと同じで、デンプンがつぶされた強力粉ベーグルはもちもちします。
ただ、強力粉の生地はそれなりに膨らみますので、噛み切れないほど固くない。
程よいもちもち感になります。
【準強力粉】ベーグルのむぎゅむぎゅ食感を追求!
むぎゅむぎゅ。
もちもちより固い。嚙みちぎる感じの食感というイメージです。
むぎゅむぎゅ食感にした場合。
私は、準強力粉を使います。
実際に準強力粉でベーグルをつくってみると、
むぎゅむぎゅ。
噛みちぎる固さがあって、これもおいしいです。
さて、準強力粉でつくるベーグルがむぎゅむぎゅ食感になる理由を考えていきます。
*実際にミクロの世界を調べる事ができないので、ここからは私の考察です。
強力粉と準強力粉の違いの部分でお話しましたが、
準強力粉は『弾力』はほどほどに、とても『伸び』がよいグルテンを作ります。
さて、伸びが良く、弾力が弱い準強力粉で作るパン生地は、
強力粉のパンにくらべてキメが粗くなります。
極端な例ですが、このようなハード系パン↓と同じです。
伸びの良いグルテンをつくる準強力粉の生地は、
ビヨーンと伸びるガムみたいなイメージです。
薄く伸びたガムはプチっと切れますよね。
同じように、パン生地がふんわりと膨らめば、
準強力粉の生地は、キメが粗く、空気感もあって程よく軽くなります。
ここで要注意。
ベーグルは、パンのようには膨らみません。
ベーグルの独特のギュッとつまった生地になります。
準強力粉のベーグルは、
ギューっと詰まった生地の中で、ガムが何層にも重なって大きい塊になります。
これをオーブンで乾燥させるわけですから、とっても固そうですよね。
【準強力粉で作るベーグルのまとめ】*私の考察
伸びの良いグルテンをつくる準強力粉の生地は、
ビヨーンと伸びるガムみたいなイメージ。
弾力が弱いため、あまり膨らまない。
ギューっと詰まった生地の中で、
伸びるはずのガムが何層にも折りたたまれて塊になるイメージ。
生地の中の小麦デンプンも押しつぶされている。
もちもちを超えた、むぎゅむぎゅと噛み応えの強い生地になる。
過発酵に要注意!ベーグルなのに『ふかふか』にさせないポイントとは?
いくら、小麦粉の種類にこだわっても。
過発酵になったベーグルは、『もちもち』にも『むぎゅむぎゅ』にもなりません。
ベーグル独特のギュッとつまった生地。
これは、ベーグルが発酵させないパンだからこそです。
今や、色々なレシピがあるベーグルです。
一次発酵をしっかりとって、パン生地を2~3倍に膨らむまで発酵させるレシピもあります。
↑このように、発酵させた生地でベーグルをつくるとどうなると思いますか?
焼く前に茹でれば、ベーグルっぽい引きちぎるような皮になります。
でも、中の生地はふかふか。
固いパンみたいな食感です。
これはこれで、ふんわりして美味しいですよ。
最終的には好みのレシピを選べは良いと思います。
【もちもち感とかむぎゅむぎゅ感を求める場合】
発酵を抑える事で、密な食感をつくることができる。
基本的に一次発酵はとらないか、発酵させるとしても控えめにします。
材料だけでなく、発酵具合もしっかり確認してくださいね。
特に注意したいのは『準強力粉』でつくるベーグルです。
伸びの良い準強力粉は、発酵中に生地がダレるのが早いです。
過発酵にならないように、一次発酵もに二次発酵も気をつけてくださいね。
水分量に要注意!理想の食感に近づけるには?
パンの配合を決める時に、もっとも難しいのが【水分量】です。
いつも悩まされるので、声を大にして言いたい。そんな感じです。
ベーグルは、一般的なパンに比べて水分量が極端に少ないのが特徴です。
だからこそ、あの独特の固さになります。
水分量のイメージは簡単です。
パンの中の水分は、オーブンで焼かれる時に
小麦粉のデンプンに吸われていきます。
ちょうど、お米を炊く時と同じです。
◎お米に少ない量の水を入れる→固いごはん
◎お米にベストな水分をいれる→ツヤツヤごはん
◎お米に多い量の水を入れる→おかゆ?柔らかいトロトロごはん
このイメージを持って下さい。
ベーグルも、デンプンが水を吸うのでお米と同じです。
【ベーグルの水分量と食感の関係性】
◎水分量少ない→固い。噛みちぎるのも大変なくらい。
◎水分量多い→柔らかめ。パンに近くなる。
『もちもち』『むぎゅむぎゅ』をもとめるなら、水分量は少なめです。
基本的にベーグルの水分量は少ないですが、ベストな量は自分で決めましょう!
『もちもち』『むぎゅむぎゅ』ベーグル作りにおすすめの強力粉と準強力粉
まずは、強力粉です。
もちもち食感をもとめる方にとっておきの強力粉は、キタノカオリです。
私は、キタノカオリで作るベーグルの特別なもちもち感が大好きです。
日本の小麦粉のキタノカオリ。
日本人になじむのか、お米のような甘みがあります。
レッスンでも、キタノカオリのベーグルをメニューにしていますよ。
そして、よく使われる強力粉の春よ恋。
春よ恋で作るベーグルは、もう少し歯切れの良い軽さがでます。
程よいもちもち感。
小麦粉自体の味もあっさりしているので、食事にも良いと思いますよ!
次に、準強力粉ですね。
むぎゅむぎゅ感を求める方におすすめなのは、準強力粉のタイプERです。
粉の旨みも濃い濃い。
むぎゅっと噛みながら、濃い味わいを存分に楽しめます。
小麦の味が強いので、塩気の強い具材との相性もぴったりです!
パン教室では、明太子とクリームチーズを合わせてメニューにしています。
むぎゅむぎゅ感が強すぎず、もう少し噛み切りやすい食感が好みの方。
おすすめは、リスドォルという準強力粉です。
吸水率も良くてべたつきにくく、さっくりふんわり仕上がるリスドォル。
小麦粉の旨みも感じられる準強力粉をあじわいつつ、
少し軽めの食感を好む方に合うかなと思いますよ。
◎まとめ◎強力粉vs準強力粉!ベーグルが好きなら両方ともチャレンジしてほしい!
【ベーグル作りにおすすめの強力粉】
①キタノカオリ
もちもち感No1!ほんのり甘みもあってやさしいお味。
②春よ恋
程よいもちもち感。少し軽めで味もあっさり。
あまり好き嫌いの別れないオーソドックスな小麦粉。
【ベーグル作りにおすすめの準強力粉】
①タイプER
むぎゅむぎゅ。よく噛んで!
小麦の旨みも強くて、味わい深い。
②リスドォル
むぎゅむぎゅ感もありつつ、さっくり噛める。
軽めの食感が好きだけど、小麦の旨みも味わいたい方におすすめ。
ベーグルだけでなくパンの食感に大きーく関係する小麦粉。
強力粉か準強力粉か。
両方を混ぜるのもありです。
理論も学びつつ、色々と試してみると発見がたくさんありますよ!
最後に、準強力粉のベーグル作りについて
ショート動画(15秒)でまとめました。ぜひ参考にしてくださいね。
家庭のパン作りの正解がわからない?
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◎『発酵の見極め』『こね具合』自信を持って判断できますか?
2日経ってもしっとり極上の熟成パン。
生徒さんひとりひとりの家庭の環境に合わせたパン作りを。
パン作りの「なぜ?」をマニアックにお伝えしています(^^)
◎あなたのおうちのパン作りを常にサポートするから上達がはやい!
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参考資料
科学でわかるパンの「なぜ?」