ココア色のチョコパンを作ったのに、、あれ?あまり膨らんでいない(゚ロ゚)
これ↑↑私の長年の悩みでした。
発酵しているときから、なんだかいつもと違う???
あんまり膨らんでないような、固いような。
エイっ焼いちゃえ!とオーブンへ。
やはり、完成したパンは目が詰まっていて、重い食感です。
少しもそもそした感じ。。
本当は、ふんわり軽い食感のチョコパンが作りたかったのに。
なんで?どうして?
ココア入りのパンには苦手意識がありました。
しかし、自分自身でパン教室をやろうと決めた時。
やはり最初に作りたいと思ったのは『チョコレートのパン』です。
これを機会にココア生地のパンを研究してみよう。
打倒!ココア生地のパン。
こなったら、納得するまでやるぞ!
決心して、試作と実験をしてきました。
そして、やっと完成したココア生地のレシピ。
このブログでは、ココアをパンにいれる時に注意したい事についてお話していきます。
手作りのココアパン生地に満足できていない方へ。
ぜひお役に立てれば嬉しいです(^^)
ココアは油分!パン生地のグルテンができにくくなる
ココアパウダーに水か湯をいれたことがありますか?
全く馴染みませんよね。
水と油は混ざらない。
ココアには脂肪分が多く含まれているのです。
ピュアココアの成分を調べてみると、
粉末100gあたり21.6gの脂質を含んでいます。
ココアの21%が油分というわけです。
小麦粉の一部に置き換えてしまうと、かなりの油分がプラスされることになりますよね。
さて、パン作りでは油分を含む材料を特別扱いしますね。
それはなぜでしょう?
油脂はグルテンが作られるのを妨げる働きがあるからです。
わかりやすくするために、
パン作りの手順でバターをいれるタイミングを考えてみましょう。
多くの場合、パン生地を捏ね始めてある程度の時間がたってから、
バターを生地に練りこんでいくと思います。
これは、油脂であるバターがグルテンを作られにくくしてしまうからなのです。
手順を変えて、はじめからバターを練りこんでいくと、
同じレシピでもまったく違う食感のパンがやきあがります。
実際に検証したブログがありますので、参考にしてくださいね。
びっくりするくらい違いますよ。
・【比較/検証!】パン作りのバターは後入れ?最初から?味や膨らみに影響するのか試しました!
ココアをいれたパン生地はグルテンができにくくなります。
その結果として、パンの膨らみは悪くなります。
グルテンは、パンを支える骨格になる部分です。
ふわふわとボリュームのあるパンを焼くためには、十分な量のグルテンが必要なのです。
ココアパウダーは食物繊維が豊富!膨らまないパン生地の原因とは?
ココアの原料はカカオ豆です。
ココアの成分をみると、粉末100gあたり食物繊維を23.9g含んでいます。
パンの材料として食物繊維が多いものが入るとどんな影響があるでしょうか?
イメージしやすいのは、全粒粉のパンだと思います。
全粒粉のパンは膨らみが悪くなります。
下の図1をみてくださいね。
パン生地の中のグルテンは網目のように絡み合っています。
そこに、具材や食物繊維などの異物が入ります。
すると、ブツブツとグルテンの網目に穴を開けていきます。
穴の空いた網戸がボロボロになるように、
具材や全粒粉入りのパンのグルテン膜は弱くなります。
グルテン膜の弱いパン生地は膨らみが悪くなるのです。
食物繊維の多いココアパウダーにも同じことが言えます。
ココア入りのパン生地が膨らみにくくなる理由には、
食物繊維の存在にも原因があるのです。
全粒粉入りのパンが膨らまない原因については、こちらのブログでさらにくわしく解説しています(^^)【これって失敗!?】全粒粉のパンが膨らまない理由とは?
ココアは吸水性抜群!!パサつく食感を改善するには?
ココア・抹茶・野菜パウダー、、、、
乾燥して粉末状になった材料がパンに入ると難しくなるのが
水分量です!!!
ココアはかなりの量の水分を吸収します。
実際にココアパウダーにペーストになるまで湯を入れていくとよくわかると思いますよ。
パンのレシピの小麦粉をそのままココアパウダーに置き換えるのはもちろんNGです。
ココアパウダーを使う場合は、その量に応じた水分をプラスする必要があります。
ココアパウダーの高い吸水性は超重要ポイントです。
パン生地をどれくらいの固さにするかは、パンの膨らみに強く影響します。
そして、小麦粉とココアパウダーが材料の水分を奪いあうわけです。
小麦粉と水が合わさることでグルテンができるのですから、
ココアパウダーがいるとグルテンができにくくなるのです。
小麦粉が十分に水分を吸っていないと、しっとり感のあるパン生地にはならないのです。
ココア入りのパン生地は発酵が遅くなる!酸性・アルカリ性・緩衝作用とは?
ここは科学の内容になります(^^)
でも、わかりやすくお話していきますね。
おもしろいですよ~。
ココア入りのパン生地は発酵が遅い。
そのイメージは私の経験としてずっと心の中にありました。
でも根拠になるはっきりとした情報が見つからずに、もやもやしていました。
そして、ココアパウダーの成分を眺めているうちに、あることに気がつきました。
ココアは灰分が多いということに。
*この章は私自身の考察で書いていますので、ご了承頂ければ幸いです。
文部科学省の食品成分データベースを参考にさせていただきました。https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=16_16048_7
ピュアココア100g中には7.5gの灰分が含まれます。
灰分というのは、カリウムやマグネシウム、リンなどのミネラル分のことです。
灰分が多いと何が問題にあるかというと、、
『緩衝作用』というpH(ペーハー・酸性度)に関わる働きがあるのです。
緩衝作用が働くと、多少の酸を入れたとしてもpHが変わらなくなります。
つまり、パン生地のpHが中性付近から酸性に傾くのにとても時間がかかるのです。
パン作りで発酵を行うイーストは、
pHの低い酸性の条件の方がよく働いて炭酸ガスを多く発生してくれます。
しかし、灰分の多いパン生地では『緩衝作用』があるため、
パン生地が中性付近になってしまうのです。
酸性の環境が大好きなイーストにとっては、不快適な状態。
心地よく発酵を行うことができなくなってしまいます。
これは補足ですが、パン生地は発酵中に発生する乳酸や酢酸などの有機酸によって
pHがさがりだんだんと酸性になっていきます。
そして、酸性になることでグルテンが柔らかく伸びやすくなるのです。
材料の灰分が多いと
緩衝作用によって、パン生地自体も固くなることが考えられます。
そして、もうひとつ。
ココアパウダー自体のpHがアルカリ性のものがあるということです。
森永さんのホームページを参考にさせていただきました。
https://www.morinaga-shoji.co.jp/business/cocoapowder/
このホームページでは業務用のものが紹介されていますが、
ココアパウダーのpHは中性付近です。
弱酸性~弱アルカリ性になっていますね。
自分自身が使っているココアのpHを調べるのはなかなか難しいですが、
ココアパウダー自体のpHがアルカリ性ならば、
発酵は遅くなる可能性は高いと思います。
パン作りでは、パン生地を捏ねた直後の弾力の強い状態から、
発酵をとることによって柔軟性のある、よく膨らむパン生地に変化していきます。
固いままの弾力の強い状態のパン生地は仕上がりも膨らまなくなるのです。
そして、極端にココアパウダーを増やしたパンを作るというのは、
ココアパウダーの特性からいっても難しいのだろうと思います。
パンとしての膨らみも悪くなりますし、作業性も下がるはずです。
ちょっとマニアックすぎる内容でしたが、
緩衝作用が重要になるパンの材料はもう一つあります。
それは『牛乳』『スキムミルク』です。
これらも灰分が含まれていて、パン生地の固さと発酵に影響を与えます。
【パン作り】牛乳入りのパン生地が固くなるって本当?
最後に『緩衝作用』ってどういうこと?
深く知りたい方のための豆知識をお話します。
酸性というのは『H+』という水素イオンが関わってきます。
灰分もカルシウムやリンなどのミネラル分ですから、イオンの状態で存在しているのです。
イオン同士は互いに結びついたり、離れたりして反応していきます。
緩衝作用のある物質は『H+』をと結びついて、
酸性に傾くのを防いでいるのです。
しっとりふわふわのココア生地の作り方とは?
ココアパウダーの成分に注目して、
パン生地への影響を考えてきました。
どうしてもココア入りのパン生地は膨らみが悪くなります。
少し目の詰まった感じになると思います。
ただ、ココアの油分をおかげなのか、
多少膨らみが悪かったとしても口溶けはよく柔らかく仕上がります。
膨らみの悪いココアパン生地は、最大限工夫することで
口溶けがよい極上のしっとり感を引き出すことができるのです。
ココアパン生地をふわふわに仕上げるポイントは水分量。
そして、ココアパウダーを油分として扱う事です。
発酵もじっくり待ちましょう。
ココア生地の発酵は遅いのです。
あなたが間違っているわけではありません。
ココアパウダーをいれる時の下準備が重要です。
私はココアパウダーを適量の水分でペースト状にしたものを、
グルテン膜がある程度できるまで捏ねてからパン生地に練りこむことをおすすめしています。
面倒?
かもしれません。
でも、その違いは歴然です。
比べてみるとわかります。
焼く前のパン生地の状態の時から、ココアパウダーを最初から小麦粉と混ぜたものはべたついてきます。
なぜか?というと、ココアパウダーの油分がグルテン膜のつながりを弱くしていること。
そして、ココアパウダーが水分を奪ってしまうために、グルテン膜が作られにくくなってしまうからです。
つながりが弱く、弾力のないグルテン膜をもつパン生地は、ベタベタと扱いにくくなるのです。
バレンタインのプレゼントにしたい!極上しっとりショコラパン
バレンタインにチョコレートのパンを贈りませんか?
プレゼントに、そして自分へのご褒美に。
冷蔵発酵のレッスンでは2月にショコラのパンを作ります。
同じココア生地から2種類のパンを仕上げます。
◎きのこが可愛い♪ミニ食パン
ふわふわのココア生地に、オレンジピールとチョコチップがたっぷり。
王道のオランジュショコラを可愛いミニサイズの食パンで♪
私は、一個まるごとペロリです(^^)
◎極上しっとりショコラクグロフ
こちらは大人向け。赤ワイン漬けのクランベリーにアーモンドがたっぷり。
とろける甘苦のチョコレートもプラスした贅沢な味わいです。お酒飲めますよ(^^)
火通りの良いクグロフ型は、パンをふんわりしっとり焼き上げます。
極上のしっとり感を味わってみませんか?
打倒!!ココアパン生地を掲げてから、試行錯誤してきました。
やはり助けてくれるのは、科学的な視点と理論。
ひとつひとつ失敗と原因を考えていくことで見えてくるものがあります。
家庭のパン作りの正解がわからない?
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