ライ麦パンはどっしり。
ふわふわのライ麦パンをつくるにはどうすれば良い?
ライ麦粉でふんわり食感の角食パンを作りたい。
そのために試作を繰り返しました。
ライ麦粉の割合が増えるほど、パンの膨らみは悪くなります。
では、どれくらいのライ麦粉の割合だったらふんわりしたパンになるのか。
私のが実際に作って比べたパンをみながら、お話していきたいと思います。
ライ麦パンが膨らまない理由
ライ麦粉と小麦粉の違いは何でしょうか?
それにはパンが膨らむために欠かせない『グルテン』が関わります。
パン作りで使う粉といえば強力粉です。
それは、強力粉が弾力のあるグルテンを作ることができるからです。
もう少し細かく見ていくと、、
小麦粉には2種類のタンパク質が含まれています。
◎グルテニン
◎グリアジン
そして、このふたつのタンパク質と水が出会うとグルテンが作られます。
グルテンはパンが膨らむための骨格になってパンを支えます。
そのため、弾力の強いグルテンを作る強力粉がパン作りに使われるわけですね。
一方で、ライ麦粉は?
ライ麦粉は小麦粉のようなグルテンを作ることができません。
ライ麦粉が持っているのはグリアジンと似ているセカリンいう粘りをもつタンパク質。
小麦粉のグルテニンと同じグループのグリテリンというタンパク質も持ちますが、
小麦粉のグルテニンとは性質が異なります。
グルテニンを持たないライ麦だけで作ったパン生地は、
こねてもつながりが悪くボソボソとしています。
小麦粉のように弾力のあるグルテンをつくることのできないライ麦粉。
ライ麦パンがどっしりと膨らみが悪いわけがわかりますね。
詳しくはこちらのブログを参考にしてくださいね。
ライ麦にグルテンはできる?できない?
【ライ麦50%+強力粉50%】どっしり膨らみが悪い
実際にライ麦粉と強力粉の割合を変えて、パンをつくってみました。
ライ麦粉と強力粉が半分ずつ。
ぎゅっと詰まっていて膨らんでいませんね。
工程途中のパン生地の写真を撮り忘れてしまったのですが、、
パン生地はボソボソ。
そして、一次発酵も最終発酵もあまり膨らみませんでした。
成形中もパン生地が切れやすく、とてもパン生地の扱いが難しいという印象です。
【ライ麦30%+強力粉70%】膨らむけどふわふわパンにはならない
ライ麦粉の割合をどんどん減らしていきます。
ライ麦粉30%です。
まあまあ膨らみましたね。
でも、、、
まったく窯伸びしていません。
むしろ、最終発酵後のパン生地よりも小さくなっています。
ライ麦30%のパン生地はこのようにベタベタとしています↓↓
できるだけ強いグルテン膜を作るために中種法で作っています。
そのため、グルテン膜は張っているのですが。
ライ麦粉30%+強力粉70%。
今回の検証ではふわふわによく膨らむパンは難しいという結果です。
配合や工程によっても違いますが、
ふわふわとやわらかいパンにするにはライ麦粉30%よりも減らした方が良さそうですね。
【ライ麦粉10%+強力粉90%】ふわふわパンが完成!
さらにグーンとライ麦粉を減らしていきます。
窯伸びもばっちり。
きめ細かくて、断面も美しいですね。
下の写真のようにグルテン膜もきれいにできました↓↓
成形中のパン生地もベタベタ感が強いという印象はありません。
ほぼ、強力粉のみでつくったパン生地と同様に作業ができます。
ライ麦粉10%と聞くととても少ないように思いますね。
実際に食べてみると、ほんのりライ麦の香りがしてとても食べやすいです。
もっちりとやわらかい食感の中に
ふわっと香るライ麦粉の風味がとてもおいしいなぁと感じました。
ライ麦でふわふわ!究極にやわらかい角食パン
私の中で、角食パンのナンバー1パン屋さんは江古田にある『パーラー江古田』の食パンです。
https://parlour.base.shop/
パーラー江古田はハード系のパンが有名で、
クラスト(皮)はバリっと噛み応えがあるものが多いパン屋さんです。
その中で、ひと際しっとりもちもちで絹食感なのが『全粒粉の角食パン』。
これが、いわゆる生食パンとはまーーったく違う!
酵母の旨みと、ほんのり香るバターや砂糖の甘みも絶品。
地味深い味なのに、食べやすくてもっちりふわふわ。
毎日食べたくなるようなおいしさに脱帽しました。
良い意味でパーラー江古田のパンっぽくない。
そんな感じです。
そして全粒粉のパンなのですが、あまり全粒粉の主張は強くないのもおどろきでした。
奥の方に全粒粉の旨みだけがのこる感じなのです。
あまりに感動したので熱弁してしまいましたが、、
私が目指す角食パン↓
◎ほんのり雑穀の風味。
◎酸味も感じる食べ飽きない奥深さ。
◎バターや乳製品の香りもする。
◎絹のようにきめ細かくて、もちもちしっとり。
これをイーストの冷蔵発酵(長時間発酵)で作ろうというのが目標です。
自家製酵母のように乳酸菌の酸味や旨みをだすのが難しいのがインスタントドライイーストです。
その分、食べやすく失敗が少ないというメリットもあります。
そして、完成したのがこちらの角食パンです。
手に入りやすい全粒粉で、口当たりがなめらかなものを見つけるのが難しかったこと。
私がもともとライ麦の風味が好きで、ライ麦の保水性も利用したかったので、
全粒粉ではなくライ麦粉を使用することにしました。
写真だとしっとり感が伝わりにくいので、
インスタグラムのリール動画をご覧ください。
https://www.instagram.com/p/Cv3zIUogsk0
乳酸菌の酸味をだすためにヨーグルトを使用。
ライ麦とヨーグルトを入れた時の膨らみの悪さを中種法で打破しました!
ヨーグルトの効果についてはこちらのブログで紹介しています。
しっとり。味わい深い。パンにヨーグルトをいれる効果とは?
これはおいしい。
毎日食べたい。
イーストでここまで深い味だだせるなんて。
自画自賛になっていますが、本当に皆さんにも作ってほしい。
おすすめ度Maxです。
この角食パンのレッスンは基礎コース卒業後。
アドバンスコースでレッスンしています。
基本的なパンほどこだわりたい。
味のごまかしがきかないですからね。
まずは基礎コースで、捏ね具合と発酵の見極めを習得していただいています。
基本の生地を学んでから、発酵種やシンプルな食事パンにこだわる。
そうすると、パン作りの面白さと難しさがわかってきます。
イーストでも自家製酵母でもパン作りの本質的なところは同じだと思います。
自分がどんなパンが作りたいのか。
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西東京市パン教室アトリエエピス 井手芙雪(いでふゆき)
参考文献
科学でわかるパンの「なぜ?」
パンづくりの失敗と疑問をスッキリ解決する本
独立行政法人農畜産業振興機構ホームページ
内海成、鬼頭誠.種子たんぱく質.化学と生物,1987 年 25 巻 1 号 p. 60-67
岡田早苗.パン生地発酵と乳酸菌.日本乳酸菌学会誌,9 巻 (1998-1999) 2 号