ライ麦にグルテンはできる?できない?

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どっしり重ーいイメージのライ麦パン。

ちょっと苦手だな。。という方も少なくないと思います。

ですが、私は大好き!!なのです。

ドイツパンに代表されるライ麦を配合したパンですが、
皆さんが苦手、、と思うのはどんなところでしょうか?

◎ボソボソしている
◎固い
◎酸っぱい

確かに、ふんわりと膨らんだ小麦粉の食パンなどと比較すると、
食べにくいというイメージがあります。

今回は、ライ麦の特性に注目して

◎ライ麦粉配合のパンが膨らみにくい理由
◎ライ麦にグルテンはできるのか

上記の2点について詳しく解説していきたいと思います!

小麦粉のパンが膨らむのはグルテンができるから!

まず、小麦粉で作るパンが膨らむ理由を考えて、
その後にライ麦配合のパンが膨らまない理由を整理していきたいと思います。

パンが膨らむのはばぜか?

小麦粉にはグルテニンとグリアジンという2つのタンパク質が含まれています。
水を加えて捏ねる(物理的な力を加える)事で、グルテンという網目状の膜ができます。

図1

このグルテン膜はゴム風船のように、プーっと膨らむことができます。

パンをよく捏ねるのは、グルテン膜をパン生地全体に広げるためです。

ふゆき
ふゆき

グルテンができる。
これが小麦粉最大の特徴です。


小麦粉がパンやお菓子、麺類などに利用され、
世界中で栽培されている理由は、ココにあるのです。

ライ麦にはグルテンができない!?タンパク質のセカリンが粘りの原因

前章で、小麦粉にはグルテニンとグリアジンという2つのタンパク質が含まれており、
この2つのタンパク質が水と出会うとグルテンができるというお話をしました。

グルテニングリアジン⇒水を加えて捏ねる⇒グルテン

ライ麦にはどうでしょうか?

穀類であるライ麦は小麦粉と同じようにタンパク質10%程度を含んでいます。

ただし、ライ麦がもつのはセカリンという小麦粉のグリアジンに似たタンパク質(プロラミンのひとつ)です。

ライ麦にもグルテニンと同じグループのグルテリンというタンパク質がありますが、
小麦粉がもつグルテニンとは性質が違います。

ふゆき
ふゆき

ライ麦粉を捏ねてもまとまりが悪いのは、
小麦粉のようなグルテニンを持たないからです。
グルテンを作らないライ麦だけでは、パンがふんわり膨らむ骨格がないということですね。

つまり、ライ麦に水を加えて捏ねるとどうなるか?

セカリン(グリアジンに似ている)⇒水を加えて捏ねる⇒✖グルテンはできない

そして、セカリンは粘りをだすのでライ麦パンの生地はベタベタしているわけです。

そのため、ライ麦だけでパンを作っても、膨らむもととなるグルテン膜が作られません。


ライ麦パンのボリュームが小さく、目の詰まったパンになってしまう理由はグルテンに隠されているのです。

ライ麦粉に強力粉を混ぜたら膨らむのか?

ライ麦には小麦粉のようなグルテンがありません。

ふゆき
ふゆき

そのため、ライ麦のパンを作るときには小麦粉をブレンドして作る事が多いです。

グルテンを多く作ることが出来る強力粉を配合する事で、
ふんわりと膨らむグルテンの骨格を補強しているのですね。

ただ、ドイツパンの中にはライ麦100%で作るパンもあります。
どっしり多い独特の食感になりますが、、、

私は大好きです。食べ慣れると美味しいですよ~(^^)

チーズとワインがあれば最高です(笑)

『サワー種』という発酵種があるのですが、ライ麦粉の配合が多いパンを焼くときに主に使われます。
膨らまないライ麦生地に膨らみをもたせ、独特の食感をだすために一役買うのがサワー種です。

そして、皆さんがイメージするライ麦パンの酸っぱい味。

サワー種はpHが低く、酸性に傾いています。
サワー種には主に乳酸と酢酸が含まれていて、独特の酸っぱい味を生み出しているのです。

◎まとめ◎ライ麦パンは配合次第で、食べやすいパンに変えられる!

日本人には馴染みの薄いのがライ麦のパンだと思います。
独特の目の詰まったパン生地や風味は、好まれにくいのかもしれません。

最初からライ麦粉の配合が多いパンにチャレンジする事はありません。

私自身の経験をお話すると、
私もパン教室に通い始めるまでは、何となくライ麦パンには苦手意識がありました。

でも、パン教室で習ったライ麦が配合されたパン。

それが、とても食べやすく美味しかったのです。

ライ麦の配合は控えめで、バターなども入ったふんわりしたパン生地でした。

初心者ながらに、配合次第でパン生地はかわる。
ここまで違う食感を生み出すことが出来るのだなという発見があったのを思い出します。

それ以来、ライ麦粉が配合されたパン生地を作ることも、ライ麦パンを買う事にも抵抗はなくなりました。

私もレシピを考えるときには、どんな方が作るのかな?食べてくれる人はどんな人かな?
と考えながら、美味しく食べてもらえる配合を作る事を一番に考えています。

ちなみに、我が子はライ麦のパンも全粒粉のパンもよく食べます。
食べ慣れていると平気なのかな?

お教室では、色々なパンの美味しさを紹介していきたいと思っています。
きっと、皆さんにも新しい美味しさの発見がある。そう信じています(*^_^*)

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参考文献
科学でわかるパンの「なぜ?」
パンづくりの失敗と疑問をスッキリ解決する本
おもしろサイエンス 小麦粉の科学
独立行政法人農畜産業振興機構ホームページ
内海成、鬼頭誠.種子たんぱく質.化学と生物,1987 年 25 巻 1 号 p. 60-67
岡田早苗.パン生地発酵と乳酸菌.日本乳酸菌学会誌,9 巻 (1998-1999) 2 号