【大失敗!?】シュトーレンが生焼けになる原因と対策とは

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実際に起こりました。悲しい失敗(;_;)これ↓↓

シュトーレンの生焼け。。
膨らんでいない?ネチャネチャしてます。

まぁショックですよ(;_;)
シュトーレン作りは時間はかかるし、材料費も高い。

あー、やってしまった(泣)という状況です。

でも、、、あきらめるはずがありません。即作り直します。

そして、完成したのがこちら↓↓。

気泡がたくさんあるシュトーレンではなく、ギュッと詰まった感じです。
しっとり感がすきなので(´▽`)
でも、火通りはOK。生焼けではありません。

このブログでは、シュトーレンの大失敗からの大逆転。
成功に至るまでの、私自身の考え方についてご紹介していきたいと思います(^.^)

シュトーレンの生焼けは『焼き時間』だけが原因ではない?

パンの生焼け=焼き時間の不足。
これだけでしょうか?

実際、生焼けで多い原因はオーブンの癖だと思います。
家庭用のオーブンは、温度が上がりにくいものです。
レシピ通りの温度と時間を焼いても、焼き不足という事はよく起こります。

まず、改善ポイント①焼き時間です。

そこで同じ配合と同じ工程で、もう一度生地を作りました。

焼き時間は十分にとりましたよ。
今まで、相当な量のシュトーレンを焼いてきましたが、
それ以上の時間で焼きました。

しかし、、、(゚ロ゚)また生焼け。

まじか。。。と思いますが、むしろ面白い結果になりました。

違う原因を考えていきますよ!!

生焼けになる原因としては、火通りが悪いことが考えられます。

お菓子作りのほうがイメージしやすいと思いますので、例え話をしますね。
一般的なサイズのスポンジケーキの焼き時間は25分位です。
そして、厚焼きクッキーの焼き時間も25分位です。

スポンジケーキのほうが、何倍も大きいのに焼き時間は一緒です。

クッキーのように、生地がギュッと密な状態で詰まっているものは、焼くのに時間がかかります。

同じように、パンでもオーブンに入る前の生地がギュッと詰まっているものは、焼くのに時間がかかります。
反対にパン生地がふんわりと柔らかくて、とても伸びのよい生地になっていると、
オーブンの中での火通りがとても良くなります。

となると、シュトーレンの生焼けの原因は、生地作り自体に問題がありそうです。

パン作りの原点に戻る!パンが膨らまない原因はなに?

シュトーレンは『発酵菓子』という種類のものです。
パンかお菓子か?といえば、お菓子なのだと思います。

では、シュトーレンとパウンドケーキが膨らむのはなぜ?と考えると、
答えは全くちがうものになります。

この写真のようなフルーツケーキも、ドライフルーツの洋酒漬けがたっぷりで美味しいですよね。
シュトーレンとそっくりに見えますが、やはり味も食感も別ものです。

シュトーレンは『発酵』してるから、膨らむわけです。

『発酵』に注目すると、シュトーレンはやはりパンでもあります。
パンが膨らむ理由を、深堀りして考えていきましょう。

パンがふんわりと膨らむためには、下記の2つが必要です。

◎グルテン
◎発酵(イーストがだす炭酸ガス)

パンを風船に例えると、グルテンはゴムの部分です。
うすーく伸ばしても切れないしなやかな強さがあります。それがグルテンの特徴です。

そして、イーストは細菌です。発酵活動をして、炭酸ガスをたくさん作ります。
この炭酸ガスが、ゴム風船の中に空気を送り込むのです。

『グルテン』と『発酵』。

この2つのバランスがちょうど良いときに、パンは大きくふんわりと膨らんでいくのですね。

結論から言うと、今回のシュトーレンが生焼けになってしまった原因は、
発酵不足に原因があります。

パン生地のグルテンは、捏ねる段階でしっかりできていましたので、
失敗の原因は『捏ね不足』ではないだろうと検討はついていました。

少しのイーストで作る旨みたっぷり熟成シュトーレンに挑戦!

ここまでのお話で、シュトーレンの失敗の原因について考えていきました。

今年から少しのイーストで作るシュトーレンのレシピを試作していまして、
その試行錯誤の最中のことがらです。

シュトーレンのレシピでは、イーストをかなり大量に入れているものが多いです。

シュトーレンはバターや砂糖なども多い生地です。
そのため、イーストにとっては、とても生きづらく発酵活動をしにくい環境にあります。

イーストは細菌ですから、浸透圧が高い場所では弱ってしまうのですね。
ナメクジに塩をかけると小さくなるのと同じです。

さらに、シュトーレンは具材もたっぷり。生地自体も重いので、膨らみが悪い。

そのため、短時間で作ったり、膨らみをよくするためには、
イースト量を増やす必要があります。

イースト量がすくないとシュトーレンは作れないの?
このギモンは私の中にずっと眠っていました。

でも、よく考えてみると自家製パン種やホシノ酵母でもシュトーレンは作ることができます。

自家製パン種、例えばレーズン酵母に含まれる酵母の量は、イーストに比べればほんの少ない量でしかありません。

酵母数が少なくても、発酵をじっくりとればシュトーレンもパンも焼きあがりますよね。

だったら、イーストでもできるはず!
と試作を繰り返していました。

今のところ、イーストの量は0.5%(小麦粉100gに対してイースト0.5g)が、
膨らみや作りやすさの点でバランスが良いかという結論です。

家庭用のレシピでは、イーストを2%以上(小麦粉100gに対して2g以上)使うものも多いので、それに比べるとほんの少しのイースト量になると考えています。

日々、色々を試行錯誤していきますので、イースト量は変わっていくと思います。

イーストが少ない方が良いの?という質問もよくあります。
私自身は、結果的に美味しいパンやシュトーレンになれば良いと思うので、
イーストの量は他の材料とのバランスがとれているものが良いのではないかと思います。

ただ、イースト量を控えめにしてじっくり発酵をとったシュトーレンは、
短時間でつくったものとは比べ物にならないほどのしっとり感とうまみがあります。

まさに『熟成』という感じです。

シュトーレン作りは1年に1回のクリスマスの準備です。

急がずじっくりと、うまみが熟成していく時間を楽しむ。
そんな贅沢な時間をシュトーレン作りにするのも、良いのかなと最近は思うようになりました(^^)

シュトーレンは中種作りから!しっかり膨らむ骨格作り

私のシュトーレン作りは『中種』作りからはじまります。

中種というのは、パン作りの材料の中の一部分を、前もって発酵させた生地の事を言います。

このひと手間で、シュトーレンの完成度が全く変わります。
中種を作るメリットはとても多くあります。

ここでは、ポイントをしぼってお話していきますね。

中種のメリット①伸びの良い生地を作る

シュトーレン大失敗の原因として『伸びが悪く膨らみの悪い生地』というものがありましたね。

中種は、生地の一部をあらかじめ寝かせておくことで、
柔らかく伸びの良い生地を作る役割があります。

捏ねた直後
寝かせた後

上の写真は、へら捏ねのパン生地をつくった時の写真です。
ヘラで混ぜ合わせた生地はボソボソとしていますが、
30分寝かせると、ビヨーンとゴムのようによくのびる生地になります。

寝かせるだけで、ここまで変化するのがパン生地なのです。すごい。

このように、中種を予め作っておくことで、生地繋がりを良くしていきます。
その結果として、伸びがよく、大きく膨らむパン生地になっていきます。

パン生地を寝かせるメリットについてはこちらのブログで紹介しています。
こねないパンで作る究極カンパーニュ!冷蔵発酵&低温熟成でうまみを引き出す

中種のメリット②イーストが砂糖に慣れる

中種の材料は小麦粉・イースト・水で作るのが基本です。
シュトーレンの場合は『加糖中種』といって、上記の材料に砂糖をプラスすることがあります。

イーストは細菌なので、浸透圧にとても弱い生き物です。
中種に砂糖を加えておくと、イーストが浸透圧が高いことに少しずつ慣れてくれるのです。

イーストが砂糖の多い環境でも、元気よく発酵してくれるように準備をするのも、
中種のメリットのひとつになります。

中種のメリットの3つ目は、シュトーレンのしっとり感が長持ちすることです。

中種を作ると、小麦粉の中に材料の水分が十分に浸透していきます。
お米を炊くときに、お水に漬けておきますよね。
そして、しっかり浸水したお米で炊いたご飯は、ツヤツヤもっちり。

小麦粉でも同じことが言えます。
時間をかけて寝かせることで小麦粉の芯の部分まで水分が浸透します。
水分がすみずみまで行き渡った生地は、オーブンで焼いても水分が抜けにくく、
焼いたあともしっとり感が長続きするシュトーレンになります。

この現象を『水和』といいます。
水和については、こちらのブログにでくわしく解説しています。ぜひ参考にしてくださいね(´▽`)
【パン作りの豆知識】水和とは?パン生地のしっとり感が長持ちする!

そして、完成した中種がこちらです。

青のテープが発酵前の高さなので、2倍以上の大きさになりましたね。

発酵具合でこんなに膨らみがちがう!?好みの食感のシュトーレンはどちら?

中種と残りの材料を捏ねて、大量の具材をまぜてシュトーレンの生地を作ります。

上の写真のように、まだまだシュトーレンの生地は密が状態で膨らんでいません。

最初の大失敗の生焼け写真は、一次発酵が不足の状態だったために、
パン生地の伸びが悪く、膨らまない火通りの悪い生地になってしまいました。

この生地を室温でじっくり発酵させていきます。

発酵してくると、こんな感じで少しずつ気泡が入ってきます。
まだまだ室温で寝かせておきます。

ここまで、気泡が入って発酵したらOKとします。

この生地を焼いたのが、冒頭のシュトーレンです。断面はこちら↓↓

生地はギュッと詰まっていて、しっとり感の強い食感です。
しっとり好きさんには、たまらない感じだと思います。

そして、一次発酵をさらにとります。
ここまで大きく膨らみました。

この生地で焼いたシュトーレンは、生地に気泡が多くふんわりした食感になります。
断面はこちらです↓↓

軽めの食感が好きな方はこちらの方が好みかと思います。

一次発酵の発酵具合で、完成したシュトーレンの膨らみ方もここまで違います。

一次発酵はめちゃめちゃ大切です。
この工程で、パン生地(シュトーレン)の食感や味わいが決まります。

一次発酵の後に、パンの成形をしますよね。
そのため、気泡が溜まっても抜けちゃうのだから意味ないでしょう。
私もずっとそう思っていました。

しかし、一次発酵の工程はとても大切な意味があります。

実際に、発酵不足や過発酵の経験がある方はよくわかるかなと思います。
一次発酵が適正にならないと、確実に失敗します。

細かい理論はたくさんありますが、
経験的にもイメージしやすい失敗の原因なのかなと思います。

原因がわかれば、対策は見えてきます!

今回の場合のまとめをしていきたいと思います。

◎まとめ◎シュトーレンが生焼け!失敗の原因は一次発酵の発酵不足

一つ一つ考えていきますね。

①失敗⇒シュトーレンが生焼けになった

②原因⇒焼き時間の不足ではない
    捏ね不足ではない
    一次発酵の不足

③検証⇒一次発酵を長くして、生地を十分に発酵させる

④結果⇒一次発酵で十分に膨らませると、完成したシュトーレンもふんわり膨らむ!

理科の実験ノートのようになっていますが、
パン作りもお菓子作りもこの繰り返しです(^_^;)

このシュトーレンはまだまだ開発途中です。

来年のクリスマスのお楽しみレッスンのメニューになる予定です。
さらに試行錯誤しながら、レシピを完成させていきます!

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