パンに塗るのもお料理にも、使うのは普通(有塩)のバター。
という方も多いと思います。
パン作りを始めたばかりの頃。
レシピに書いてある材料の『バター』。
お菓子作りって無塩バターを使うよね。
まだパン作りは始めたばかりだし、どれくらいの頻度で焼くかわからないしな。
無塩バターが余ると勿体無い。。
パンを作る時にも無塩バターを使った方が良いの??
調味料もそうですが、せっかく買った材料が結局使われずに余ってしまう。
私もよくやってしまいます(^_^;)
特に始めたばかりのパン作り。
できるだけお金をかけずに、手持ちの材料で作りたいという気持ちもよくわかります。
今回のブログのテーマは、
◎パン作りに使うバターは無塩バターと有塩バターのどちらが良いのか
◎レシピの無塩バターを有塩バターに代用しても良いのか
上記のテーマについてわかりやすく解説していきたいと思います(^^)
有塩バターに含まれる塩の量
有塩バターというのは、その名の通りにバターの製造の過程で塩を加えているバターの事をいいます。
一方で、無塩バターは塩を加えていないバターです。
余談ですが、塩を意図的に加えていないだけで、全くの無塩ではないとの理由から、
今は『食塩不使用バター』と表記するようになっているそうですよ。
有塩バターにはどれくらいの量の塩を加えているのか?
答え:1~2%
一般的な有塩バターは、1~2%の塩を含んでいます。
100gのバターに1~2gです。
確かに、有塩バターは無塩バターと比較すると、味の濃さを感じますよね。
トースト塗る程度のバターであっても、塩味をはっきりを感じます。
有塩バターを使うと、パンの塩の量はどれくらい変わるのか?
有塩バターに含まれる塩の量は1~2%です。⇒約1.5%とします。
例えば、食パン1斤のレシピで10gのバターを配合したものがあったとします。
10gの1.5%なので、バターに含まれる塩の量は0.15gですね。
同様に考えていくと、下記のようになります。
◎10gのバター・・・塩の量0.15g
◎20gのバター・・・塩の量0.3g
◎30gのバター・・・塩の量0.45g
パンの無塩バターを有塩バターに代用すると味は変わるのか?
有塩バターには塩が含まれるため、
無塩バターのレシピを有塩バターに代用したら、全体の塩の量は多くなります。
先ほどお話した例を上げると、食パン一斤(小麦粉の量250g)のレシピでバターは10g。
バターに含まれる塩の量は0.15gです。
今回のブログで参考にさせていただいた図書:科学でわかるパンの「なぜ?」によると、
粉量250gのパンのレシピで、塩の量が0.75g違うと、はっきりと味の差を感じることができるというのと同様の記載がありました。(ベーカーズパーセント*で0.3%)
*ベーカーズパーセント:レシピの小麦粉の量に対する他の材料の割合。
(小麦粉100gに2gの塩⇒ベーカーズパーセントは2%)
これは私の経験のお話です。
私が学んでいたパン教室では、元パン職人の方が講師をしていました。
その時に何回も言っていたのが、
塩の計量の誤差は±0.2g以上違ってはダメ!!
それくらいに、塩の量はパンの味にも仕上がりにも影響があるという事なのだと思います。
実際に、無塩バターを有塩バターに変えた時に味に変化があるかどうかは、やってみないとわからないというのが結論ですが、
塩の量は小数点以下のとても少ない量であっても、パン全体の味わいに影響があるという事です。
そして、バターの量が増えれば増えるほど、味への影響は大きくなります。
ただ、もともと塩分が控えめのレシピもあります。
有塩バターに変えてみたら、そっちの方が好みだったという事もあると思います。
一般的なパンのレシピでは、小麦粉100gに対して1~2gの塩を配合します。
有塩バターの塩の量を計算して足しても、このグラムの範囲内に収まるようであれば、
すごく塩辛いというパンにはならないのではないかと思います。
パンに含まれる塩の割合についてはこちらのブログに詳しく記載しています(^^)良かったら参考にしてくださいね☆彡
【塩の量は減らしても良い?】パン作りの材料・塩の割合はどれくらい?
有塩バターに含まれる塩の量だけ、塩の配合を減らしたら良い?
有塩バターには塩が含まれます。
だったら、有塩バターに含まれる塩の量だけ、レシピの塩の量を減らせば良いじゃないか!
そう思うのも自然の事だと思います。
しかし、パン作りにおける塩の役割は単に味つけをするだけではないのです。
塩には、パン生地を引き締めてだれにくくする。
また、パン生地の伸びを良くするという役割があります。
そのため、塩の配合量が0%のパンや、塩分控えめのパンは、
パン生地の膨らみが悪くなる、キメが粗くなるなどの味以外の影響もでてきます。
通常、バターはパン生地を捏ね始めて、ある程度弾力が出てきてから加える事が多いです。
パンを捏ねる時、パン生地中には『グルテン』という網目状の膜ができてきます。
このグルテンは捏ねれば捏ねるほど、より密になっていきます。
塩はグルテンに影響して、グルテンの弾力を強くします。
そして、グルテンの伸びも良くするという役割があります。
バターは捏ねる工程の後の方に加えるものですから、バターに塩が入っていたとしても
その分の塩にグルテンを強める効果は期待できないのです。
そのため、有塩バターに含まれる塩の量だけレシピの塩の量を減らしたとしたら、
同じ食感や膨らみのパンを作ることはできないという事になります。
パン作りにおける塩の役割についてはこちらのブログに詳しく記載しています(^^)
【入れ忘れに注意!!】パン作りの塩の役割
【検証!】塩なしパン VS 塩ありパン /パン作りでの塩の効果とは?
◎まとめ◎パン作りには無塩バターを使う方が良い/バターの配合量が多いレシピで有塩バターを使うのは注意して!
パンに有塩バターを使う事ができるのかという疑問に対して、
塩の役割に注目してお話しました。
ポイントは2つです。
①塩の量は少量でも、パン全体の味に影響する
②塩の役割は味つけだけではない。パン生地を引き締めたり、伸びを良くする。
これらの事を踏まえて、私の考えをお話したいと思います。
パンに有塩バターを使いたい場合、バターの配合量がベーカーズパーセントで10%位までなら明らかに失敗してしまう程の変化にはならないのではないかと思います。
例えば、小麦粉250gのパンでバターの量は25gです。
有塩バターを使う場合、バター中の塩分は1.5%として0.375gとなります。
塩分が強くなる、膨らみが多少変わるという可能性も考えられますが、
塩味に関しても許容範囲の変化に収まるのではないかと思います。
膨らみや食感に関しては、影響するのは塩の効果だけではありません。
もともと、パン作りはいつもいつも同じ条件で、同じパンを焼くこと自体が難しいです。
捏ね具合や発酵の具合によっても膨らみに影響がでてきます。
本当は無塩バターを使って欲しいですよ。
味や工程が安定して作れますからね。
ですが、パン作りを始めたばかりの頃にあれもこれもと無理する必要はありません。
有塩バターを使うとこんな変化があるかもしれない。
その事をキチンと理解した上で、試しに代用してみる。
意外と大丈夫だったな。
という結論がでれば、代用しても良いのではないかと思います。
ただ、レシピ通りのパンにはなりませんよ。
それは大前提として、無塩バターを有塩バターに変えてくださいね。
皆さんのパン作りの手助けになれば嬉しいです(^^)
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参考文献
科学でわかるパンの「なぜ?」
パン作りのメカニズムとアルゴリズム
科学でわかるお菓子の「なぜ?」