【入れ忘れに注意!!】パン作りの塩の役割

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パンののレシピの書いてある材料はたくさん。

強力粉・イースト・水・牛乳・バター・砂糖、、、

全部入れたかな??

ちょっと待って!!(笑) 塩、、忘れてませんか?

塩の入れ忘れ。

経験のある方も多いのではないかと思います。

数グラムの塩です。塩味がつかなくても、パンが出来上がれば大丈夫でしょ。 
と思うかもしれません。

でも、パン作りにおける塩の役割は単なる味つけだけではないのです。

今回は、

◎パン作りに欠かせない『塩』の役割について

詳しく解説していきたいと思います(*^_^*)

【塩の役割①】パンに味と風味をつける

一番イメージしやすい塩の役割は味つけだと思います。

パンのレシピを思い出してみましょう!!

例えば、、強力粉250gのパンを焼くとします。
塩の量は一般的なレシピで、約3~5gです。

お料理で使う塩の量を考えてみると、結構多いですよね。
パンを食べているときに、塩味でしょっぱいと感じる事はほとんどないと思いますが、
実際にはしっかりと塩味がついている事がわかります。

お料理でもそうだと思いますが、ひとつまみの塩をいれるとぐんと美味しくなりますよね。

それは塩味を感じるだけではなく、甘味や旨みがとても引き立つようになります。

パンにおいても、お料理と同じ事が言えます。塩味があるからこそ、小麦粉や発酵の旨みが引き立って噛むほどに美味しいパンが焼きあがるのです。

実際に食べてみると、無塩のパンは、びっくりする位に何の味もしません。
これは、本当です。失敗して塩を入れ忘れちゃったら、恐れずに食べてみてください( ´ ▽ ` )ノ

【塩の役割②】グルテンへの影響/弾力があって伸びやすいパン生地を作る

この役割!超大切な部分です!

なぜかというと、

塩がパン生地のグルテンを作るために一役買っているからです。

塩を加えないでパンを焼いたらどうなるかを考えるとイメージしやすいと思います。

塩を加えないで作ったパン生地は、とてもベタついていて成形しても、
張りがなく表面もざらざらと荒れています。

塩を加えないで作ったパンを成形し、最終発酵させた生地の写真を載せますね。
グルテンの繋がりが弱い様子が目に見えてわかります。

塩の配合0%のパン生地(最終発酵後)

実際に塩の配合0%のパンを焼いて検証をした結果を、こちらのブログに記載しています。良かったら参考にしてみてくださいね(*^_^*)
【検証!】塩なしパン VS 塩ありパン /パン作りでの塩の効果とは?

グルテンに関係する塩の役割は、

◎グルテンの弾力が増して、だれやすい生地を引き締めてベタつかない
◎グルテンの伸展性が増して、パン生地の伸びが良くなる

塩は、グルテンの伸びと弾力の両方の性質を強くする役割があるのですね。

なんで??と思って、このメカニズムを色々調べたのですが、、実はあまりよくわかっていないようなのです。

私が現時点で調べた中では次のようなものがありました。

【メカニズム】
塩を加えると、グルテンを作るグリアジンというタンパク質の配置が変わる。すると、グルテン分子間の距離が近くなる。そこで、新たに水素結合や疎水結合という分子間を繋げる相互作用ができて、抗張力*が増す。

*抗張力は引っ張り強さの事。パン作りおいては、生地の弾力と硬さが増すという理解で問題ないと思います。

このメカニズムは、ちょっと難しいので読み流してもらって大丈夫です。
他にわかったことがあれば、追記していきますね。

【塩の役割③】イーストの発酵が遅くなる

えっ??発酵が遅くなるのが、塩の役割なの??

私も最初はそう思いました。

これはすごく大切な事なのですが、発酵は早過ぎるとパン生地が無理に引き伸ばされて、
パン生地が傷んでしまいます。

そのため、発酵はある程度長い時間をかけて行うのが良いとされています。

また、パンは発酵中に旨みや風味のもととなる物質をパン生地の中に蓄えます。


塩を加えずに作ったパンは発酵時間が短くなり、これらの旨みのもととなる物質が十分ではなくなってしまい、パンの風味も劣ってしまう結果となってしまうのです。

塩がイーストのアルコール発酵を抑えるというのは、発酵時間が長くなってしまうため、一見デメリットのように感じますね。

でも、上記のようにパンの発酵時間はある程度以上の長い時間をかけた方が、結果的に焼き上がりのパンが良い状態になります。

イーストに影響する塩の役割は、

イーストのアルコール発酵を押さえて、パン生地の発酵時間を適切にコントロールする

とメリットとして言い換える事ができます。

さてさて、ここでまた『なんで??』となりますよね(笑)

単純に塩を加える事で、浸透圧が生じてイーストの活性が低くなるのかと思うところです。

わかりやすい例を上げると、ナメクジに塩をかけると小さくなってしまうのと同じです。
イーストは細菌ですから、高濃度の塩水に入れられればダメージを受けます。

このメカニズムについては、実はよくわかっていないようなのです。


浸透圧の影響といっても、パンの全ての材料に対して、塩は1%程度です。
これだけでイーストが弱くなるほどの浸透圧になる??という疑問があるようです。

全てを説明できるほどの根拠のある結果が得られていないのが現状なのですね。

【塩の役割④】雑菌の繁殖を抑える

パンは発酵させて作るのですから、イーストなどの細菌が働いてパン生地が完成します。

発酵と腐敗の違いは何か?と考えたとき、答えはとてもわかりやすいです。

◎発酵・・・人間にとって有益なもの(ヨーグルト、お酒、チーズなど)

◎腐敗・・・人間にとって有害なもの(腐って食べられなくなる)

塩は、パン作りにおいて有用でない雑菌を抑える働きがあります。
長時間発酵させる場合などは、この事も念頭にいれておく必要があるようです。

◎まとめ◎ほんの少しでも大きな役割!塩はパン作りでは欠かせない大切な材料

パン作りにおける塩の役割について4つの項目がありました。

①パンに味と風味を与える
②グルテンに影響して、パン生地の弾力と伸びが良くなる
③イーストのアルコール発酵を抑えて、発酵時間を適切にコントロールする
④雑菌の繁殖を抑える

シンプルなバケットのレシピでも

材料は、小麦粉・イースト・水 そして です。

小麦粉と水とイーストがないとパンが作れないのはわかりますね。

砂糖でもバターでもなく、塩がここに入ってくるのは、

塩がパン作りにおいてどれだけ重要な役割があるかが想像出来ると思います。

人類が生きていくためにも欠かせない塩。色々な場面で重要な役割がありますね。
学ぶほどに面白い。パン作りは奥深いです( ´ ▽ ` )ノ

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参考文献
科学でわかるパンの「なぜ?」
パンづくりのメカニズムとアルゴリズム
NEW 調理と理論
おもしろサイエンス 小麦粉の科学
パン作りの疑問に答える パン「こつ」の科学