パンにはたくさんの材料があります。
◎甘さ控えめが良いから砂糖を減らしたい。
◎カロリーが気になるからバターを減らしたい。
◎塩分を控えたいから塩の量を減らしたい
自分で作るからこそ、お料理のように味付けを変えたいという思いが湧き上がってくるものです。
ただ、少し考えて欲しい。
いえ、思いとどまってじっくり考えて欲しい。
お菓子とパン作りでは、材料の量をアレンジしてしまうと、
失敗するの可能性が大きくなります!
今回はパン作りでの塩に注目して、
◎どの範囲の割合であれば失敗せずに作る事ができるか
レシピの配合の考え方も踏まえて解説していきたいと思います。
お菓子作りで砂糖の分量を変えたら、、を検証したブログ生地はこちらです♪
【検証】お菓子の砂糖を減らすのは良いのか?~スポンジ生地編~
【塩の役割】味つけだけではない!塩はパンに欠かせない材料
塩の役割についてはこの2つのブログ生地に詳しく記載しています。良かったら参考にしてくださいね(^^)
【入れ忘れに注意!!】パン作りの塩の役割
【検証!】塩なしパン VS 塩ありパン /パン作りでの塩の効果とは?
ここでは要点を絞って、ポイントをお話しますね。
【塩の役割①】グルテンの生成を促進する
塩を加えないでパンを作ると、弾力が弱くベタつく扱いにくいパン生地になります。
塩はパン生地のグルテンに影響し、パン生地の弾力を高めて、さらに伸びもよくするという大切な役割があります。
【塩の役割②】イーストのアルコール発酵を抑制し、発酵時間を適切に遅らせる
塩を加えないでパンを作ると、どんどん発酵が進んでしまい発酵時間が短縮します。
発酵時間が極端に短くなると、パン生地は無理に引き伸ばされて傷んでしまいます。
また、発酵時間に貯まるはずの旨みや風味のもととなる物質も少なくなります。
結果、発酵時間の短いパン生地は良い状態に仕上がらない事があるのです。
塩を加えると、発酵時間が適度に長くなり、オーブンへ入れたときによく膨らむ、風味の良いパンに仕上がるという事なのですね。
また、塩にはパン生地の雑菌の繁殖を抑える働きがあります。
これも念頭に入れて、レシピを考える必要はありそうですね。
【塩の役割③】パンに味と風味をつける=美味しくなる!!
美味しくなる!!と断言して書くか迷いましたが、わかりやすくするために記載しました。
お料理を想像しても、塩味の大切さは皆が知るところだと思います。
塩を加えないでパンを作ると、本当に味がしません。
素材の美味しさを味わうためにも、塩は必要な調味料です。
パンの適切な塩の割合はどれくらい?
塩の役割を理解すると、塩味だけを考えて塩を増やしたり、減らしたりしてはダメだという事がわかります。
では、一般的なパン作りではどれくらいの割合で塩を入れるものなのでしょうか?
ベーカーズパーセントという言葉を聞いたことがありますか。
パンの材料の小麦粉の量を100%として、他の材料の%を表したものです。
例えば、強力粉250gの食パンのレシピがあったとします。
塩のり配合量は2.5gだとしたら、、、
2.5÷250=1 塩のベーカーズパーセントは1% となります。
ベーカーズパーセントで表すと、
塩の配合量は1~2%が適切。
と言われているそうです。
グルテンへの影響やイーストの発酵の抑制など、塩には様々な効果があります。
そして、塩の量は0.3%違うだけでも、味わいにはっきりと影響してくるそうです。
人間の味覚はすごい。
また、使う塩の種類によっても塩気が違いますね。
私の経験をお話すると、私が通っていたパン教室はいくつかありますが、それぞれで塩の配合量は違っていました。レシピにもよりますが、、
ひとつのパン教室では基本的に1.5%。
他のパン教室では2%が基本でした。
1.5%位の塩気だと、全体的に優しい風味。2%の配合では、ぐんとパンの味わいが引き立つように感じます。
どちらのパンも美味しいです。
結果的には好みになるのかなと思います。
パンのレシピの塩の割合を変えて良いのか?
『塩の量を減らして良いですか?』という質問に対してどう回答するか、、、
これに関しては、人それぞれに正解が違うと思います。
今回は私の意見としてお読みいただければと思います。
まず、塩の量が一般的な配合量の範囲内で収まっている場合です。
例えば、ベーカーズパーセントで2%のものを1.2%に減らすという場合です。
グルテンの張りがなくなる可能性もありますが、パンとしては完成するはずです。
ただ、味の面では塩味が減るだけではなく、他のバターや小麦粉などの風味も感じにくくなると思います。
なので、もとのレシピとは違う食感と味になることを念頭において、
自分好みの味を探すために試してみても良いと思います。
結局はやってみないとわからない。という事になってしまいますね。
もし、塩気が自分自身にとって強い、塩辛いなと思ったときは、
ベーカーズパーセントで0.2%~減らしてみて様子をみるのが良いと思います。
(小麦粉200gのレシピで、塩0.4gです)
最後に大切な事なのですが、パンのレシピは具材が入ることがありますよね。
カスタードクリームやあんこの甘いもの。
チーズやウインナーなどの惣菜系。
これらの具材とのバランスも考えて、パン生地の塩の量を考える必要があります。
例えば、具材たっぷりのカレーパンのパン生地がとても塩気の強いものだったら、
全体が塩辛くなる事も考えられます。
カレーと一緒に食べるごはんに塩をかけたりしませんよね。
普段の食事でも、主食と副菜などの塩気には強弱があると思います。
パンを食べるときも、全体のバランスはとっても大切。
このことは覚えておいて損はないと思います!!
◎まとめ◎パン作りの塩の割合には基本がある!増減は慎重に行おう
パンのレシピの塩の割合について、塩の効果を考えながらお話してきました。
家庭で作るパンのレシピでいうと、小数点以下の塩の量が違うだけで、
味にも変化がでてきます。
塩の量は小数点以下まで正確に測りましょう!!
最後の最後ですが、塩の計量を正確に行う事の大切さもわかっていただけたら、
このブログ記事がみなさんのお役に立つことができたのかなと思います。
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参考文献
科学でわかる パンの「なぜ?」
パンづくりのメカニズムとアルゴリズム
パン「こつ」の科学
NEW 調理と理論 第二版
おもしろサイエンス 小麦粉の科学