菓子パンやお惣菜パン、ホテルブレッドにブリオッシュ。
パンを食べると卵の風味が広がって、、とっても美味しいですよね(^^)
卵が入っているパンのイメージはどんなものでしょうか?
◎ふんわりしてる
◎卵色で黄色っぽい
◎甘い感じ
◎優しい味
◎食パンよりさくっとした食感
何となく、懐かしいような優しい味の印象がありますよね。
実際に卵を配合したパンと卵なしのパンを焼いて、
食感や味、膨らみにどんな影響があるのかを検証してみました。
このブログでは、以下の事を詳しく解説していきたいと思います。
◎卵なし、卵入りのパンの検証/比較
◎パンの卵の配合量を変えると食感と味はどう変わるのか
◎翌日のパンの硬さの比較
◎パンに卵を入れた時の効果とは
【検証①】卵なしのパンと卵入りのパンの焼き比べ/食パンに卵を配合するとどうなるか?
【①卵なしパン】
強力粉 150g
インスタントドライイースト 1.2g
塩 3g
砂糖 6g
水 102g
バター 6g
【②卵入りパン】
強力粉 150g
インスタントドライイースト 1.2g
塩 3g
砂糖 6g
全卵 30g
水 75g
バター 6g
②卵入りパンは小麦粉100gに対して20gの全卵をいれました。
(ベーカーズパーセントで20%)
卵の配合量が増えると、パンの水分量が増えてしまうため②卵入りのパンは水分の量を減らして調整しました。
捏ねは機械捏ねで約12分。同じ時間捏ねました。
捏ね上げ温度も約26度で同じになりました。
このまま一次発酵させていきますよ!
捏ね上げた生地を比較してみましょう。
①卵なしパンは白っぽい色をしていますが、②卵入りパンは黄色っぽい卵色です。
パン生地の色は予想以上に違いますね。
【一次発酵後】
卵なしパンと卵入パンで、パン生地の状態に大きく変化はありません。
発酵時間もほぼ同じで、艶や張りにも大きな差はありません。
【成形・最終発酵】
今回は食パンに卵を配合したときの焼き比べをしたかったので、
パウンド型に入れてミニ食パンにしてみました。3つの山形食パンです。
発酵の具合はほぼ同じです。
型と同じ位の高さまで発酵しています。
パン生地の色は違いますが、生地の張り具合や状態は見た目では区別がつきません。
【焼成】
180度のオーブンで25分焼きました。
美味しそうなパンが焼き上がりましたよ~
では、焼き上がりのパンを比較していきましょう!
【比較①】卵はパンの膨らみに影響するのか
①卵なしパンと②卵入りパンを比較すると、まず明らかに違うのが焼きいろです。
卵入りのパンは焼き色が濃いのがわかります。
生のパン生地の時点でも、卵入りのパンは黄色っぽい色をしていましたね。
香りの香ばしさも、卵いりのパンの法が強く感じました。
膨らみ具合はどうでしょうか?
食パンの一番高い部分をきって、断面を見てみましょう。
②卵入りの食パンのほうが、少しボリュームが出ていますね。
内相(クラム)の気泡を見ても、膨らみ具合の差がでています。
①卵なしパンはキメが細かい、小さい気泡になっている。
②卵入パンは全体的にキメが整っているが、気泡の大きさは大きいのが分かる。
今回の検証では、膨らみ具合の差はそれほど大きいものではありませんでした。
若干、②卵入りパンの方が膨らみが良いかなという印象です。
内相(クラム)の色も、②卵入りのパンは黄色い卵色をしています。
では、味・食感はどうでしょうか?
①卵なしパンは、もっちりと引きのある食感で、しっとりしている。
小麦の風味を強く感じる。
パンの耳の部分(クラフト)もみっちりと噛みごたえのある食感。
②卵入りパンは、さくっと軽い歯切れの良い食感。①よりも柔らかくソフトである。
卵の風味と優しい風味を強く感じる。
パンの耳(クラフト)の部分も、さくっと歯切れの良い食感で香ばしい。
【卵の効果】パンが軽くソフトになり、歯切れの良い食感になる
ここまでの検証結果から、パン作りにおけるパンの効果について考えていきましょう。
今回の検証では卵を溶きほぐした、全卵を使用しました。
卵には卵白と卵黄が含まれていますよね。
卵白と卵黄は全く違う性質があります。
まずは、卵黄の働きについて考えていきましょう。
卵黄は、脂質を多く含んでいます。
そして、最も特徴的なのが、『レシチン』などの乳化剤を持っていることです。
乳化というのは、本来混ざらない水と油が均一に混ざり合うことです。
例えば、マヨネーズの中で卵黄が乳化剤として働いています。
卵黄がレシチンという乳化剤を含むために、卵黄を配合したパン生地伸びが良くなります。
その結果として、よく膨らんでボリュームのある焼き上がりのパンになります。
また、卵黄入りのパンはしっとりときめが細かくなるのが特徴です。
一方で、卵白はどうでしょうか?
卵白は加熱するとプリプリに固まります。ゆで卵をイメージしていただくとわかりやすいと思います。
パン生地の中でオーブンで焼かれた卵白も同じように焼き固まります。
そのため、膨らんだパン生地の骨格が強くなり、しぼみにくくなるのです。
また、卵白に含まれるタンパク質が固まることで、歯切れの良い食感になります。
ゆで卵の白身がパキっと折れるイメージですよね。
ただし、卵白の配合量が多すぎると硬い食感になってしまうので注意が必要です。
卵黄と卵白、それぞれに特徴がありますよね。
卵黄はパンの膨らみをよくして、しっとりきめ細かくなります。
一方で、卵白は歯切れの良い食感になるが、入れすぎると硬くパサっとしてしまいます。
全卵はというと、、、
卵黄と卵白の中間位のイメージと捉えて、問題ないと思います。
ただし、全卵を入れすぎると単純に卵白の量が増えます。
卵白の量は多すぎると、硬い食感になりますので、配合量には十分注意が必要です。
こちらのブログも参考にしてくださいね(^^)
【パンの材料Q&A】パン作りで卵黄を入れる効果とは?乳化剤としてのレシチンの働き
【パンの材料Q&A】パン作りに卵白だけを使うことはあるの?/卵白の効果について
【検証②】パンの卵の配合量を変えるとどうなるのか?
先ほどの卵なしパンと、卵入りパンの検証では、味と食感には大きく違いがありました。
しかし、パンの膨らみがそれほどの違いがありませんでした。
1回の検証なので、他の要因が影響している可能性もありますが、
気になったので、卵の配合を変えたものをすぐに焼いて比較しましたので、ご紹介します。
検証①と卵と水以外の配合と条件は同じです。
卵の量は、15g(小麦粉100gに対して全卵を10g)です。ベーカーズパーセントで10%の配合量です。
水の量は89gに調整しました。
上の写真の左側から、卵なし(左)・卵10%(真ん中)・卵20%(右)の配合で焼いたパンです。
膨らみを比較すると、卵の量を変えてもあまり変化がないように思います。
若干真ん中の10%の配合量のものの膨らみが良いかなと思いますが、誤差レベルかなとも思います。
卵入りの2つは、似ている断面をしているのもよくわかりますね。
見た目は今回の検証では、大きな変化はありませんでした。
何回か繰り返していくと、違いがでることがあるかもしれません。
ただ、卵の配合量が増えれば増えるほど膨らみが良くなるわけではないのだろうという事を予想できました。
卵の量は10%ですので、卵なし(0%)と卵入り(20%)のちょうど間になります。
食感や味も、上記のふたつの間くらいのイメージでした。
しっとりふんわりして、ほどよく歯切れも良い感じです。
私の中では、この配合がもっとも好きな食感でした。
シンプルな食パンのイメージは①の卵なしパンですが、ソフトな食感を求めるなら少し卵を配合するのも良いのではないかと思います。
【検証③】卵入りのパンは翌日になると硬くなってしまうのか?
さて、検証②の3つの食パンを翌日まで保存して、食べ比べてみました。
パンに卵黄を配合すると前述の乳化剤の効果で、時間が経ってもパンが硬くなりにくいという特徴があります。
①卵なしパンは、翌日もしっとりしています。3つの中ではもっとも、硬さを感じませんでした。
②卵入り10%のパンは、ソフトで歯切れの良い食感を保っています。しかし、①に比べると空気感があるので、少しパサっとした印象があります。
③卵入り20%のパンは、3つの中ではもっとも硬くパサっとした印象がありました。卵の優しい風味というよりは、食感の硬さの方が目立つイメージです。
3種類を比較してみると、①の卵なしのパンが翌日も変わらずおいしく食べられるなと思いました。
今回は温めずに冷たいまま食べていますので、温めて食べるとふんわり柔らかい食感が戻ってきます。
卵の量を増やしすぎると、翌日のパンが硬くなる可能性も考えられますね。
これも、卵白が増えることで食感がパサつきがちになってしまう事に起因していると思います。
◎まとめ◎卵にはパンをふんわりソフトにする効果がある
実際に卵なしパンと卵入りパンを焼いて、食感や味、膨らみの違いを比較検証しました。
見た目の膨らみは大きく違うという程ではなかったのですが、
食感や味は全く違うものになりましたね。
卵は少ない量でも、パンの食感に与える影響は大きいです。
そして、味も変わりますね。
卵の風味が具材と相性が良いと、とっても美味しいパンが焼きあがります。
卵入りのパンのソフトな食感と風味は、なんとも安心する味のパンになりますよね。
ただし、入れすぎは注意です。
適度な量を効果的に使う。それが大切なのだと思います(^^)
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参考資料
科学でわかるパンの「なぜ?」
パンづくりのメカニズムとアルゴリズム