【ドライタイプパン酵母の焼き比べ!】サフ赤イースト/白神こだま酵母の違いとは?

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ドライタイプのパン酵母はインスタントドライイーストだけでないのを知っていますか?

インスタントドライイーストの代表は『サフ インスタントイースト赤』です。

私も赤サフのインスタントドライイーストを愛用していますし、
パン教室のレッスンでもこのパン酵母を使っています。

イースト以外のパン酵母は、種おこしが必要なホシノ酵母や自家製パン種だけ??

実は、ドライタイプのパン酵母はさまざまなものがあります。

今回の検証で使用したのは、下記の2種類のパン酵母です。
①サフ インスタントイースト赤
②白神こだま酵母ドライ


白神こだま酵母は、種おこしが必要なく、気軽にイーストとは違う風味のパンを焼くことができるのが魅力です。

なぜこのブログを書いたかを伝えるために、私のパン作り歴のお話をしますね。

私のパン作りとの出会いは、実は白神こだま酵母です。
自己流でパン作りをしてつまずいていた頃、
たまたまお店で買ったパンの原材料にあった『白神こだま酵母』という文字。

この酵母でパンを習ってみたいなぁと、
通いはじめたのが白神こだま酵母のパン教室でした。

その後、本格的にパン作りを学びはじめた頃に扱っていたのが、
サフのインスタントドライイーストです。

どちらの酵母も私にとっては、とても馴染みなのです。
今はイーストのパン教室でレッスンを行っていますが、
パン酵母にはそれぞれの良さや特徴があります。

このブログでは、ドライタイプのパン酵母の代表として、
◎サフ インスタントドライイースト赤
◎白神こだま酵母ドライ

上記の2つのパン酵母の焼き比べをして、作り方の注意点や味や食感の差を検証していきたいと思います!

白神こだま酵母って天然酵母?

白神こだま酵母は、日本の白神産地で発見された酵母です。


ドライタイプで売られていて、保管もしやすい。
使いたいときに好きな量だけ使える。
気軽に使えて、インスタントドライイーストとは別の味わいのパンが焼けるのが魅力です。

単一の酵母で作られているので、この点ではサフのインスタントイーストと同じですね。

そもそも、サフのインスタントイーストも自然界から見つけ出されたパン酵母ですので、
どちらも『天然』の酵母です。


注意したいのは、家庭でいちから作るレーズン酵母などの自家製パン種には、
パンの発酵の主役となる酵母や乳酸菌などが共存し、深い味わいをだしています。

白神こだま酵母は単一の酵母ですので、これらの『天然酵母』といわれるものと同じではありません。
そのことをしっかりと理解した上でパン酵母を選んでいくと良いかなと思います。

白神こだま酵母のメリット・デメリット

私自身、白神こだま酵母を長い間愛用してきました。
イーストと比べてみると、メリットデメリットがあるのも確かです。

それぞれの良さを活かしたパンを作ることが大切だと思っているので、
私が使用してきた経験から、家庭のパン作りの白神こだま酵母のメリットとデメリットを上げていきたいと思います。

メリット①甘い菓子パンもシンプルな食事パンも幅広く焼ける

パン作りに詳しい方はご存知かと思います。
インスタントドライイーストはパン生地の砂糖の割合によって、
イーストを使い分ける必要があります。

*くわしくはこちらを参考にしてくださいね↓
【パンの材料Q&A】砂糖の割合で使い分ける!低糖/高糖生地用インスタントドライイーストとは?

しかし、白神こだま酵母は砂糖の多い配合のパンもしっかり膨らみます。
耐糖性があるのです。

上に載せたのは、コーヒーのパンなのですが、結構お砂糖たっぷりです。
こだま酵母だとこのような菓子パンも作ることができるのです。

イーストを使い分けるのって、正直なところ面倒です。
パン生地の砂糖の配合が多いレシピにも対応できる白神こだま酵母はとても使いやすいです。

メリット②しっとり感が長持ち

白神こだま酵母の最大の魅力だと思うのが『トレハロース』です。

トレハロースは、糖類のひとつです。
保水性が高く、パンの仕上がりがしっとりします。

これは本当です。
こだま酵母で作るパンはしっとりもちもち。
翌日も固くなりません。

このレーズンパンは、こだま酵母のレシピだと有名かな?と思います。
砂糖不使用でレーズンをこねる段階から練りこみます。

こだま酵母自身がもつ、トレハロースの甘味とレーズンの自然の甘味が美味しい。
こだま酵母だからこそできる、素晴らしいレシピだと思います。

メリット/デメリット①パンのボリュームがでない

これは、デメリットでもありメリットでもあるところかなと思います。
いわゆるふわふわ~軽い食感のパンは、こだま酵母の得意分野ではありません。

逆に言えば、こだま酵母のパンはギュッと旨みがつまっていて、もちもちしっとり。
作りたい食感によって、パン酵母を使い分けるのもおもしろいと思いますよ。

メリット/デメリット②酵母特有の香りが強い

これもデメリットでありメリットでもありますね。
こだまの香りは独特です。

焼きあがったパンにも、こだま酵母の香りが強く残ります。

表現しがたいですが、、ぬかっぽい感じ?ですかね。
私はこだま酵母で作ったパン生地の香りでわかります。
すごく特徴的な風味です。

これは、すきなひとはとても好き。苦手な人はムリ、、という好みが分かれるところだと思います。

私はこだま酵母の香りは好きですよ。
こだま酵母にしかだせない旨みと香りのパンが焼けます。

日本で見つかった酵母なので、体に馴染むのですかね?
そのあたりはホシノ酵母と似ている気もします(^.^)

白神こだま酵母のパン作りで失敗しないコツとは?

こだま酵母はドライタイプで、使い方はほぼインスタントドライイーストと同じです。

特に注意したいのは2点です。

①配合量の基本は小麦粉の2パーセント
②発酵温度は30℃

①のこだま酵母の配合量から考えていきましょう。

こだま酵母は発酵力の強いパン酵母として見出されたものです。
しかし、イーストのようにガンガンと炭酸ガスを発生してくれるわけではありません。

こだま酵母を使うパン作りでは、標準で3時間以上かかると思います。

この場合、小麦粉に対して約2%のこだま酵母を使用します。
例えば、強力粉200gのレシピでは、こだま酵母を4g使用します。

この後紹介する食パンでも、2%のこだま酵母使いました。
冬場、室温18~20℃。
パン生地の温度はどうしても低くなってしまいます。

今回の焼き上げまでの時間は、約4時間半でしたよ。

もともと酵母独特の風味が強いのが白神こだま酵母です。
時短で作りたいからといって、これ以上酵母の量を増やしてしまうと、
酵母の風味が強くなりすぎるのではないかと思います。

逆に、使用量を減らすとどうなるのか?
長時間発酵させるのも試してみたいところですね。

②の発酵温度についてお話しますね。

こだま酵母の一次発酵の温度は30℃です。
最終(二次)発酵も30℃~35℃です。
(私は二次発酵も30℃だと習いましたが、本によっては35℃の記載もありました。)

申し訳ないことになぜ30℃なのか?というところまでくわしく解説できません。

ただ、私が通っていたこだま酵母のパン教室でも、
発酵温度『30℃』は決まりごとのようになっていました。

イーストと比較してみます。
イーストのパン作りでは、一次発酵は低めの30℃で行いじっくり発酵させる。
その後の二次発酵(最終発酵)では、生地温度をあげてイーストを活性化させるために35~40℃で発酵させることがあります。(パン生地の種類によって発酵温度は違いますよ)

こだま酵母は『30℃』が基本です。
きっと、酵母自身の特性や経験則のようなものがあるのだと思います。

【比較/作業編】こだま酵母と赤サフインスタントイーストで食パンを作る!

今回使用したレシピはこちらです。

・強力粉 150g
・インスタントドライイースト 0.9g(0.8%)
  又は白神こだま酵母ドライ 3g(2%)
・塩 3g
・砂糖 5g
・水 105~108g
・バター 5g

冬場で室温18~20℃。焼き上げまでの時間はどちらも4~5時間です。

比較のポイント①一次発酵の見極め

白神こだま酵母⇒約2.5倍に膨らむまで

一次発酵後(こだま酵母)

赤サフイースト⇒約2~2.3倍に膨らむまで

一次発酵後(イースト)

微妙な差ですが、こだま酵母では一次発酵で約2.5倍に膨らむまで十分発酵させます。
これが、こだま酵母でふんわりした食感を出すための大切なポイントです。

白神こだま酵母の取扱説明書の注意事項にも『2.5倍になるまで』と書いてあります。
ここは絶対守ってほしいポイントなのだとよくわかりますね。

イーストの場合、今回の配合と発酵温度では2.5倍以上になると過発酵気味になると思います。
イーストでは2倍を超えて2.2倍くらいに膨らんだところで、ツヤツヤに発酵していました。

成形や二次発酵、焼成はできる限り同じ条件で行いました。

二次発酵後(こだま酵母)
二次発酵後(イースト)

【比較/味・食感編】白神こだま酵母とインスタントドライイーストで作る食パンは別もの!!

焼きあがった食パンの断面です↓↓

同じ配合で同じ小麦粉なのに、断面の色まで違いますね!

◎白神こだま酵母
・すこし茶色っぽい内相
・気泡が小さく、ギュッと詰まっている

◎赤サフイースト
・白っぽい内相
・気泡が縦に伸びて、触った感じも軽い

こだま酵母
赤サフイースト

味/食感は?

◎白神こだま酵母
・こだま酵母独特の風味が鼻に抜ける。
・酵母の香りが強いため、小麦粉の味はダイレクトに感じない。
・もちもちとしてしっとり。重めの食感。

こだま酵母は風味がとても強い酵母です。
せっかくこだま酵母を使うなら、その風味を味わうようなパンを作りたいと私は思います。

酵母の香りをダイレクトに楽しみたいなら、シンプルな配合のパンも良いですね。
私は、こだま酵母で作る菓子パンがとても好きです。

こだま酵母は耐糖性があるので、甘い菓子パン生地も得意です。
もっちりしっとりした甘いパン生地に、
ふんわり香るこだま酵母の風味が奥深さをだしてとても美味しいですよ。

◎赤サフ インスタントイースト
・最も食べ慣れた感じのパンの風味。
・クセがない。
・小麦粉の香ばしい風味が強い。少量のバターの香りもする。
・軽くふんわりした食感。

今回、イーストの量を小麦粉に対して0.8%としています。
(小麦粉100gに0インスタントドライイースト0.8g)
一般的な家庭用のレシピでは、イーストの量は1%~1.5%だと思いますので、
イースト量は控えめにしています。

また、ストレート法で作っているため、小麦粉やバターなどの材料の風味をつよく感じます。

*ストレート法についてはこちらのブログを参考にしてください(^^)
【豆知識】パン作りのストレート法とは?メリット/デメリットを詳しく解説

イーストを使ったパンの最大の注意点は、
イースト量が増えれば、イースト臭の強いパンが焼きあがることです。

酵母のクセのない材料の風味を活かしたパン作りをしたいなら、
少量のイーストで作るパン作りはおすすめです。

【比較/翌日のパン】こだま酵母のトレハロースの威力でしっとり長持ち

パンは焼きたてだけを食べるものではありません。
前日にパンを焼いて朝食に食べたい。と思うのは私だけではないはずです。

こだま酵母で作った食パンとイーストで作ったパン。
翌日もやわらかさをキープできるのでしょうか?

結論から言うと、どちらも翌日もやわらかさを保っていました。
どちらがよりしっとりしているかといえば、こだま酵母です。

↑↑イーストのパン教室の講師なのに、正直すぎる気もします(笑)
逆に考えれば、イーストで作るパンをしっとり長持ちさせるには工夫が必要ということでもあります。

その理由を深堀していきましょう。

まず、こだま酵母です。
こだま酵母の最大の特徴は『トレハロース』という、保水性の高い糖類を持っていることです。

実はトレハロースというのは、製菓材料店でも買うことができます。
お菓子やパンにトレハロースを配合すると、とてもしっとりします。
そして、しっとり感が長持ち。
お菓子やパンを日持ちさせたい場合に、トレハロースを使用することがあります。
市販のものにも、よく使われているので注目してみると面白いですよ。

こだま酵母で作るパンは、トレハロースの力もあって
しっとりとした食感です。
そして、翌日もしっとり感をキープします。

ストレート法で3~4時間で作れるパンで、
翌日もしっとり長持ちのパンが焼けるのはこだま酵母も大きなメリットだと思います。

イーストで翌日もしっとり長持ちのパンを作りたい!

イーストで作るパンがすぐ固くなると感じるあなたへ。

原因は配合と作り方にあります。

このブログで紹介したイーストの食パンは、翌日もしっとり感をキープしています。
その理由を考えてみますね。

①一次発酵をじっくり時間をかけて行う(約1時間半~2時間)
②イーストの使用量を控えめにする
③パン生地の水分量を調整する(少なすぎるものはNG!)

これはイーストに限らず、パン作りでは原則になります↓↓

じっくり時間をかけて作ったパンはしっとり長持ち。

なぜか?
それは、小麦粉の芯の部分まで、材料の水分が十分にしみわたるからです。

これは『水和』という現象です。

詳しくは、こちらのブログを参考にしてください。
【パン作りの豆知識】水和とは?パン生地のしっとり感が長持ちする!

小麦粉と材料の水分が混ざり合ってから焼き上げるまでの時間が短いパン生地は、
水和が十分に行われていません。
その結果として、固くパサパサになりやすくなってしまうのです。

水和に必要なのは十分な時間です。

レーズン酵母などの自家製パン種で作るパン生地が、何日もしっとり感をキープできるのは、元種という小麦粉と酵母液をまぜたものを何日もかけて繋いでいるからなのです。

もともと、予備発酵などを行わないイーストでのパン作りです。
ストレート法で数時間で作るパン生地の『水和』が不十分なのはあたり前です。

それなら、時間をかけて発酵させていくしかありません。
私は、イーストでパンを作る場合、
最低でも3時間半以上はかけてパン作りをします。

また、じっくり発酵させるためには
イースト量は控えめにしないと過発酵になってしまいますね。

多くてもイーストの使用量は1%までとするのが、私のパン作りの基準です。

私はレッスンでも、自身のパン作りでも赤サフのインスタントイーストを使用します。

繰り返しになりますが、イーストのパンをしっとり長持ちさせるためには、
長時間の発酵を行うことが必要です。

家庭では『冷蔵発酵』、冷蔵庫で一晩じっくりパン生地を発酵させる方法があります。

少量のイーストでじっくり発酵させたパンは、
イースト臭はほとんどしません。
小麦粉の甘みが引き出されて、バターなどの副材料の香りも華やかに感じます。

酵母の味を楽しむというよりは、小麦粉や材料の風味をダイレクトに楽しむことのできるパン作りです。

レッスンでは、イーストの量を控えつつ、家庭での作りやすさとのバランスを考えたパン作りをお伝えしています。
自己流では見えない、冷蔵発酵法のコツや理論を科学的に深堀していきます。

市販のパン酵母だけでも、さまざまな種類のものがあります。
酵母が主役のパン作りです。
酵母が違えば、もちろんパンの味も変わります。

色々なパン酵母を楽しむのも、家庭でのパン作りの醍醐味だと思います(^^)

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参考資料
白神こだま酵母でパンを焼く
ふんわり自然派、からだにやさしい白神こだま酵母パン
科学でわかるパンの「なぜ?」