【パン作りの豆知識】バターの代用にサラダ油を使って良いのか?

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バターって常温に戻して使わないとで面倒。

サラダ油は安いし、パンを作る時に水と一緒に入れても大丈夫?

一度はこの考えが思い浮かんだ事がある人も多いと思います。

私もその一人です。
パン作りに関しては、いつも「なぜ?」は沸き起こってきます。

ふゆき
ふゆき

パン作りにサラダ油はNGなの????

私もずっと疑問に思ってきたテーマです。

そして、実際にサラダ油でパンを焼いてみました。
その検証結果と製パン理論をわかりやすくお話していきたいと思います。

【パンの材料】油脂には固形油脂(バター等)と液状油脂(サラダ油等)がある

油脂を分類すると、大きく2つに分けられます。

1、固形油脂⇒常温(25℃)で固形を保つ
  バター、マーガリン、ショートニングなど

2、液状油脂⇒常温(25℃)で液状を保つ
  サラダ油、オリーブオイルなど

常温で固まっているか、液体になっているか。

見た目の違いなので、わかりやすいですね。

【検証】固形油脂(バター)or液状油脂(サラダ油)でパンを焼いて比較!膨らみ?味?食感は?

【配合(ベーカーズ%)】

強力粉 150g(100%)
インスタントドライイースト 1.5g(1%)
塩 3g(2%)
砂糖 5g(3%)
水 96g(65%)
油脂 30g(20%)

室温 23℃ 湿度 30%

機械捏ねで10分

ふゆき
ふゆき

ここからは、サラダ油のパンとバターのパンを焼き比べていきましょう。

固形油脂のバターと液状油脂のサラダ油を使用して比較しました。

一般的に、バターはしばらく捏ねて、グルテンの生成ができてから入れていきます。
しかし、サラダ油ではそれが難しいですよね。

そのため、今回の検証では
バターとサラダ油のどちらも他の材料と一緒に、捏ねはじめから入れています。

*油脂を先入れor後入れでパンの仕上がりに影響があるかについては、このブログ記事に詳しく記載しています♪
【比較/検証!】パン作りのバターは後入れ?最初から?味や膨らみに影響するのか試しました!


油脂としてサラダ油かバターのどちらかをいれる。
それ以外の条件は同じです。

さて、どうなるでしょうか??ワクワクしますね。

①捏ね

バターを入れたパン生地(捏ね上がり)
サラダ油を入れたパン生地(捏ね上がり)

捏ねる条件が同じになるように、どちらも機械で10分間捏ねました。

ふゆき
ふゆき

サラダ油を入れたパン生地は表面のキメが粗く、なめらかさがありませんね。

②一次発酵

バターを入れたパン生地(一次発酵後)
サラダ油を入れたパン生地(一次発酵後)

一次発酵は、通常のパンと同じように完了。

ふゆき
ふゆき

サラダ油を入れたパン生地の表面はザラザラと荒れていますね。
張りがなく横広がりにだれています。
やはり、何かありそうな予感がします。

③成形

バターを入れたパン生地(成形後)
サラダ油を入れたパン生地(成形後)
ふゆき
ふゆき

実際に成形してみると、
サラダ油をいれたパンはすごくやわらかい。。
ダレていて扱いにくいのです。

バター入りのパン生地とは全く違いました。
この違いには驚きです。

どちらも、表面をやさしく張らせて、丸パンの成形を行いました。

分割は1個70g。誤差2gまでにしています。

④最終発酵

バターを入れたパン生地(最終発酵後)
サラダ油を入れたパン生地(最終発酵後)

最終発酵は通常のパンと同じように完了!
サラダ油を入れたパン生地は、だれて張りがありませんね。
いざ、オーブンへ。

⑤焼成

バターを入れたパン生地(焼成後)
サラダ油を入れたパン生地(焼成後)

190℃で13分。どちらも同じ温度・時間で焼いています。
美味しそうに焼きあがりましたね。

焼き上がりの断面を比較します。

ふゆき
ふゆき

サラダ油入りのパンは、膨らみが悪いですね。

これは、明らかに違いました。
断面を見ても、サラダ油を入れたパン生地は横にだれています。
気泡の形も縦に伸びずに、横広がりで、目が詰まっています。

味・食感は?

◎バター入りのパン

香りも後味もバターの風味を強く感じます。

ふゆき
ふゆき

粉よりもバターの香りが勝ちます。
食感はふんわりと、とてもやわらかいです。

◎サラダ油を入れたパン

小麦粉の風味をダイレクトに感じます。

ふゆき
ふゆき

サラダ油は無味無臭なので、素材の味わいが勝ちますね。

食感は少し弾力があり、もっちりとしています。

だた、固いという印象はなく、クラム(内相)の歯切れも良いです。

意外にも、サラダ入りのパンも美味しいです。

【製パン理論】バターにはあって、サラダ油にはない『可塑性』とは?

ふゆき
ふゆき

パン作りでは、絶対に必要な知識です。
バターがもつ『可塑性(カソセイ)』についてお話していきます。

油脂の可塑性とは?

ある温度の範囲で、粘土のように自由に形を変えられる性質の事です。

バターを室温に置いておくと、指がすっと入るくらいのやわらかさになりますよね。
まさしく、その状態のことです。

では、バターでいう温度の範囲は何℃くらいなのでしょうか?

バターが可塑性をもつ温度⇒13℃~18℃

意外と低い温度ですよね。

そして、一旦溶けてしまったバターはこの【可塑性】を失ってしまうので、注意が必要です。

この可塑性。
何がそれほどに大切なのでしょうか?

ふゆき
ふゆき

可塑性をもつ油脂をパンに入れると、
パンがよく膨らみます。
すると、ふんわりとやわらかいパンになるのです。

さて、その理由を深堀りしていきましょう。

パン生地の中のグルテンは捏ねることで、パン生地の中で複雑に絡み合ってつながります。
そして網目状に広がっていきます。

ここに可塑性を持ったバターを入れて、更に捏ねます。

この時、生地を引き伸ばし、グルテン膜が伸ばされると同時に、バターも自由に形を変えて伸びます。

これが、繰り返されると、、、ついには、

バターが薄い膜状に形を変えて、グルテンをコーティングします。

中華麺に油をコーティングすると、くっつかなくなりますよね。

そのイメージと同じです。

油同士はよーく滑ります。

バターは、潤滑油となってグルテン同士がくっつくのを防ぎます。

ちょっと待ってよ!グルテンが絡み合って弾力があるから、パンは膨らむんじゃないの?

例えば、分厚くて固ーいゴムで風船を作っても膨らみませんよね。
大きく膨らむためには、弾力とともに『伸びの良さ』も必要です。

バターが潤滑油となって過度なグルテンの絡み合いを押さえる事で、よく伸びるパン生地になります!

そして、発酵でパン生地は膨らみますが、その時もグルテンは引き伸ばされますね。

この時も同じように、グルテンをコーティングしているバターの膜も一緒に形を変えて伸びます。

ここが大切です↓

可塑性を持つバターは、粘土のように形を自由に変えることができます。
そのため発酵でパン生地と一緒に引き伸ばされても、そのままの形を保つことができるのです。

つまり、パン生地がだれずに、膨らみを維持する事ができます。

またまた、先ほどのゴム風船の例え話をします。

ビヨビヨに伸びきったゴムでゴム風船を作っても、すぐに壊れてしまいますよね。

大きく膨らむためには、

適度な弾力と張り、そして伸びの良さが必要です!

その性質の発揮できるのが、『可塑性』を持つバターという事になります。

液状油脂のサラダ油をパン生地に入れるとどうなるの?

可塑性のあるバターをパン生地に入れると、膨らみがよくなる事はわかりました。

では、サラダ油のような可塑性のない油脂をパンにいれると結局どうなるのでしょうか?

結論から言うと、バターを入れたパンよりも

パンの膨らみが悪くなります。

なぜか?

サラダ油などの液状油脂は、パン生地にすばやく浸透し、均一に散らばります。

油脂を入れるわけですから、潤滑油として働いてパン生地の伸びは良くなります。

しかし、可塑性をもたないという事は、、、
発酵中に膨らむパン生地の中で、形を保つことができません。

生地を支える保形性がないと、膨らんでもパン生地は横に広がってだれてしまいます。

先ほどと同じことを言いますね。

パン生地が大きく膨らむたためには、

適度な弾力と張り、そして伸びの良さが必要です!

いくら潤滑油の役割をして伸びだけが良くても、それだけではダメなのです。

弾力と伸展性のバランス。

このバランスがちょうど良く決まった時に、よーく膨らむパンになるのです。

可塑性

これが、弾力と伸びの良さのバランスを絶妙に保つ、大切な性質と言えると思います。

【翌日のパンの変化】サラダ油とバターのどちらをいれるかで違いはあるのか?

バターをパンに配合するメリットのひとつ。
時間が経ってもパンが固くなりにくい事があります。

それは、サラダ油を入れたパンでも同じなのでしょうか?

前日の朝焼いたパンを、翌日の朝食に食べてみました。

◎バターを入れたパン

ふわふわで、ソフトな食感を保っています。

◎サラダ油を入れたパン

ぱさぱさしている事ではないですが、
もともと膨らみが悪いので、前日に食べた時よりも固いという印象は強くなります。

翌日までソフトな食感を保つという点では、バターの方が優っていると思いました。

ただ、サラダ油を入れたパンも、油脂を入れないパンに比べれば、
クラム(内相)とクラフト(皮)の両方で、やわらかい食感が長持ちしていると思います。

パン作りで使う油脂の違い!可塑性に注目すると、バターの代用にできるのは何?

パンの膨らみを良くして、ソフトな食感を目指す場合。

バターの持つ可塑性が必要です!

油脂の形状による分類を思い出してみましょう。

1、固形油脂⇒常温(25℃)で固形を保つ
  バター、マーガリン、ショートニング

⇒可塑性あり

2、液状油脂⇒常温(25℃)で液状を保つ
  サラダ油、オリーブオイルなど

⇒可塑性なし

このブログの結論としては、サラダ油はバターの代用にはならないということになります。

ふゆき
ふゆき

でも、パン作りにサラダ油を使ってはダメというわけではありませんね。
実際にサラダ油で作ったパンを食べてみて、
私は美味しいと思いました。

小麦の味わいがしっかり感じられて、それでいて歯切れのよい食感。
膨らみはバターに劣りますが、逆にもちっとした食感が味わいを濃くしてくれます。

油脂なしのパンとは、違う。
それでいて、バターを入れたパンとも違う。

パン生地がだれやすく、作業性が悪いのが難点ですが、

配合の量を工夫すれば、バターなどの固形油脂とは使い分けができるのではないかと思います(^。^)

そして、同じ可塑性を持つものとして考えると、

バターの代用として使えるのは
マーガリンとショートニングです。

ふゆき
ふゆき

マーガリンは、子供の頃に食べたパンのような懐かしい風味。
ショートニングは、無味無臭。
風味の違いを上手く使うと、自分好みのパンになりますよ!

こちらのブログも参考にしてくださいね(*^_^*)
【パンの材料Q&A】ショートニングの代用にバターを使っても良いのか?/バターに変換する時の水分量ついて解説します
【家にバターがない!】パン作りのバターをマーガリンに代用しても良い?
【パン作りの困った!を解決】ショートニングをオリーブオイル・サラダ油に代用しても良いのか?

◎まとめ◎バター・サラダ油だけではない!パン作りに使う油脂の種類はたくさんある!

パン作りで使う油脂について、

◎固形油脂(バター・マーガリン・ショートニング)

◎液状油脂(サラダ油・オリーブオイル

の2つに分けて考えました!

それぞれが持つ風味。

そして、可塑性の有無。

出来上がるパンの味や香り、食感のイメージを持つと、
自分の作りたいパンに近づいていくはずです♪

皆さんのパン作りの手助けになれば嬉しいです\(^^)/

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日々のパンとお菓子作りの記録はこちらのブログに記載しています(^^)

西東京市パン教室アトリエエピス 井手 芙雪(いで ふゆき)

参考文献
NEW 調理と理論 第二版
科学でわかるパンの「なぜ?」
パンつくりのメカニズムとアルゴリズム
科学でわかるお菓子の「なぜ?」