クッキーやパウンドケーキなど、焼き菓子のレシピによく書いてある
『バターを室温に戻す』
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きっと一度はこのような経験がありますよね!
↓
あっ(^_^;)バターを冷蔵庫から出しておくのを忘れてしまった。。
レンジで温めちゃお。
『チン』
バターの周りが溶けてしまったーーΣ(゚д゚lll)
この周りが溶けたバターでクッキーを作ったら、どうなるのでしょうか?
(経過)
レンジで溶けちゃったバター。。
いいや、このままクッキー作ってしまおう!
↓
バターの溶けた部分も全て、ボールで混ぜてみると、、
綺麗にまざった!!少し柔らかいけど、意外といけるかもヾ(*´∀`*)ノ
↓
後の作業は全く問題なし!
↓
見た目も良い感じに焼けた(^-^)
↓
食べてみると、、『バキっ』(゚ロ゚)
固くて、口溶けも悪い。。
↓
せっかく時間をかけて作ったのに。納得できるクッキーじゃない(T ^ T)
こんな結果になります(^_^;)
実際に検証してみましたので紹介したいと思います!
【検証】レンジで一部が溶けたバターを使って作ったクッキーの食感は?/室温に置いたバターで作ったクッキーと比較しました!
【配合】
無塩バター 50g
薄力粉 100g
粉糖 40g
卵 20g
室温17~20℃
バターを以下の①②③の条件にして、クッキーを作りました。
①室温に戻したバター(19℃) 25g+完全に溶かして冷ましたバター(20℃) 25g
②室温に戻したバター(19℃) 50g
③冷蔵庫からだして、電子レンジ500wで1分温めたバター 50g
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③のバターは厚みを薄くしてラップに包み、レンジ500wで1分加熱しました。
半分弱位が溶けてしまっています。
これらのバターをボールに入れて練り混ぜます。
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①溶かしバター25g+室温バター
液体と固体のバターをボールに入れて混ぜると、すぐに柔らかいクリーム状になり均一になりります。
②室温バター50g
泡立て器に抵抗を感じる固さがりますが、練るとなめらかになります。
③電子レンジで温めたバター50g
液体と固体の部分も全てボールにいれます。泡立て器で混ぜるとマヨネーズくらいの固さになりました。
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③を混ぜた後のバターの温度は23℃です。
ここに粉糖→卵の順に入れて、卵を乳化させます。
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①②③の生地全てが、バターと卵が乳化した状態になっています。
③の電子レンジで温めたバターで作った生地は、かなり柔らかい状態になっています。
これに薄力粉を加えて混ぜた後、それぞれの生地をラップに包んで、
冷蔵庫で3時間以上寝かせておきます。
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寝かせた生地をほぐしてから麺棒で4mmの厚みに伸ばしました。
6cmの丸型と菊形で型抜きして170℃のオーブン17~19分焼き上げました。
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出来上がったクッキーの食感はどうでしょうか?
まず、③の電子レンジで温めて溶けてしまったバターを使ったクッキーは、
明らかに固い食感です。
クッキーを手で割ると、バキっと折れます。
歯で噛んでも、軽やかなサクサク感はなく、バキバキと折れるような固さがあります。
②の室温に戻したバターで作ったクッキーは、さくさくと軽い食感です。
①の半分溶かしバターを入れたクッキーは、
②の全て室温のバターを使ったものよりも少し固いかな?という位で
大きな差はありませんでした。ただ、少しクッキーの口溶けの悪さを感じました。
クッキーの断面を比較してみます。
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①と②のクッキーの断面は細かいキメができています。
一方で、③の電子レンジで溶けてしまったバターで作ったクッキーの断面は
キメが粗く、大きい気泡が混ざっている様子がわかります。
【製菓理論】溶けたバターではさくさく感が失われる?/バターが持つ『ショートニング性』について
バターには『ショートニング性』という、
クッキー等をさくさくと脆く砕けるような食感にする性質があります。
クリーム状になったバターは、小麦粉の中のデンプンやタンパク質をフィルム状に包み込みます。
このように油脂で包まれたデンプンやタンパク質は、多くの水分を含む事ができなくなります。
ところで、グルテンの網目組織ができるためには、小麦粉に含まれるタンパク質に水分が加わる事が必須です。
そのため、タンパク質が油脂に包まれて水分を十分に吸収できない状態では、グルテンが出来にくくなります。
デンプンが少ない生地でできたクッキーはさくさく感があり、脆い食感になります。
そして、この『ショートニング性』
バターが溶けると失われてしまします!!
バターの溶けはじめる温度は、28~35℃です。
この温度は、夏場の室温ですよね。
『室温に戻す』と言っても、
夏場と冬場の室温は10℃以上の差があります。
バターを柔らかくするために、
夏場の室温にバターを長時間放置すると、バターを溶かしている事になってしまいます!
また、クッキー生地を伸ばす時等の作業中も注意が必要です。
室温が高い時は、特に作業を手早くする必要があります。
生地の様子をよく確認して、生地が温まってだれる前に冷蔵庫で冷やしましょう!
バターを溶かす=『ショートニング性を失う』
この事を頭の中に入れて、クッキー作りをすると
さくさくと砕けるような食感の美味しいクッキーが完成します(*^_^*)
ただ、冷たいバターは卵を入れた時に分離しやすいです。
今回の検証のようにバターと卵を乳化させて作るクッキーの場合(クレメ法)
一般的にバターの温度は20℃前後が良いとされています。
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冬場は冷たいし、夏場は溶けてしまう。。
バター様は繊細ですね~(^_^;)
今回の検証の結果、②の室温(19℃)のバターを使ったクッキーは、バターのショートニング性が発揮されて、さくさくと脆い食感のクッキーが完成しました。
一方で、③の電子レンジで溶けてしまったバターで作ったものは、バターのショートニング性が失われてしまい、バキっと固い食感になってしまったと考えられます。
では、①の室温(19℃)バターと溶かしバターを半量ずつ混ぜたもので作ったクッキーはどう考えるか、、
これは私の考察ですが、半量のバターのショートニング性が発揮されたために、結果として完成したクッキーは大きく食感を損なわれる事がなかったのではないかと思います。
この結果を考えると、少し溶けただけで多くの部分が20℃前後で保たれているバターを使う場合は、問題なくサクサク感のあるクッキーが完成するのではないかと思います。
◎まとめ◎バターを室温にするためにレンジを使っても良い?温度に敏感なバターは慎重に扱おう!!
バターのショートニング性を発揮するためには、20℃前後が適温です。
冬場の室温は寒すぎますし、
冷蔵庫から出し忘れた冷たいバターを電子レンジで温めても良いでしょうか。
今は、性能の良い電子レンジもあります!
電子レンジを使ってはダメというわけではありません。
ただし、、相手は高級バター様です☆.。.:*・
超超慎重に電子レンジを使いましょう!!
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最後まで読んで頂き、ありがとうございました(^^)/
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参考文献 科学でわかるお菓子の「なぜ?」
NEW調理と理論 第二版