【パン作りの失敗】一次発酵でパン生地が膨らまない!原因と対策は?

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あれ?レシピ通りの時間がたったのに膨らまない。。

パン作りの大切な工程の「一次発酵」。

労力をかけて捏ね上げたパン生地を発酵させて、
膨らんでくるのをワクワクしながら待ちますが、、、

発酵して大きくなるはずのパン生地が、まったく変化なし。
なんで??この後どうすれば良いのーーーーΣ(゚д゚lll)

という経験は、私にもありました。

このまま何となく作業を進めるとどうなりますか?
きっと満足のいく出来上がりのパンにはならないはずです。

そう、「一次発酵」を適切に行う事はパン作りにおいてはとっても重要です!

一次発酵とは何か?パン生地が膨らむために必要な【グルテン】と【炭酸ガス】について

結論からいうと、パン生地は、

イーストが作る【炭酸ガス】を
小麦粉の【グルテン膜】が包み込む事で膨らみます。

グルテンと炭酸ガス、それぞれがどのように作られるのかを考えてみましょう。

グルテンはどう作られる?】

小麦粉に含まれるタンパク質(グリアジングルテニン)は水を吸収します。 
*小麦粉=強力粉等 水=材料の水分(水や牛乳等)
       ↓
ここに物理的な力を加える。
*パン作りにおける『捏ね』の作業
       ↓
グルテンという網膜組織ができる!

グルテンは粘りと弾力があり、ゴム風船のように炭酸ガスを包みこんで、
大きく膨らむ事ができます。

捏ね上げた後すぐのグルテンは、伸びが悪く膨らみにくいですが、
一次発酵の段階で生地を寝かせると、グルテンがよく伸びるようになり
パン生地が膨らみます。

【パン酵母の炭酸ガスの発生】

図1:パン生地の内部でのパン酵母の発酵

パン酵母(イースト)は、マルターゼ・インベルターゼ・チマーゼという酵素を自身の体内に持っています。

材料の砂糖(ショ糖)→【インベルターゼ】→ブドウ糖+果糖
小麦粉に含まれるデンプン→麦芽糖→【マルターゼ】→ブドウ糖

この過程で発生したブドウ糖・果糖の単糖を分解してイーストが生きていくためのエネルギーを作ります。
これが発酵というプロセスです。
その時にエネルギーと同時に発生するのが、アルコールと炭酸ガスです。

パン作りでは、この発酵の過程でできた炭酸ガスが膨らむもとになります。

《発酵》  ブドウ糖・果糖→【チマーゼ】→アルコール+炭酸ガス(CO2)

このようにパン生地を捏ねる・発酵させるという過程でできる
①小麦粉から作られるグルテン
②イーストが作る炭酸ガス
がパン生地が膨らむためには必要です。

つまり、、、

一次発酵でパン生地が膨らむためには、
イーストが発酵しやすい環境を作ることが必須という事になります!!

一次発酵でパン生地が膨らまない原因は?パン生地のこね上げ温度に要注意!

イーストはパン生地の中で生きています。

そのイーストが発酵しやすい環境を、
人間が考えて準備してあげればパン生地は膨らんでいきます。

なんだか、大変そう。。

と思うかもしれませんが、
美味しいパンを作るためです!イーストに協力してもらうべく頑張りましょう!!

大前提として、捏ね不足がなくグルテンがしっかりできているパン生地を
発酵させた時に膨らまない原因を考えたいと思います。

①発酵温度が低い

イーストが働きやすい温度は28~35℃。
それよりも低い温度では、イーストが働きにくくなり、発酵が進むのが遅くなります。

発酵器や、オーブンの発酵機能を使って温度を調整しましょう!

②乾燥

パン生地が乾燥してしまうと、表面がバリバリの状態になってしまいます。
表面が乾燥した状態では、パン生地の膨らみを妨げる原因となります。

これは、ボールにラップをする事で防ぐ事ができます。
隙間から乾燥しないようにぴっちりラップをしましょう!

③副材料(バター、砂糖、卵、乳製品等)が多すぎる

先ほども書きましたが、イーストは生きている細菌です!
浸透圧』という言葉を、勉強したことがあると思います。

浸透圧とは??

細胞膜で囲まれているイーストに、砂糖がたくさん入った水をかけます。
          ↓
すると、、細胞膜を通ってイーストの中の水分が、
砂糖の濃度の高い外側に抜けていってしまいます。。

これは苦しい。イーストが可哀想に思えてきます゚(´;ω;`))

例えば、
・胡瓜に塩をかけると水分が出てくる
・ナメクジに塩をかけると小さくなる

このようなものが浸透圧の結果起こる現象としてイメージしやすいと思います。

つまり、、

砂糖やバター、乳製品などの副材料が多いパン生地の中では、
イーストの働きが悪くなり、発酵が進みにくくなってしまいます。

市販のインスタントドライイーストには低糖用、高糖用のように
パン生地に配合される砂糖の量で適したイーストもあります。

簡単にいうと、高糖用のイーストは浸透圧に対して耐えられる力を持っているため、
砂糖の配合が多いパン生地でもよく働いて、発酵が進みやすくなります。
パン生地の配合によっては、イーストの種類を使い分けることも必要になります。

③こね上げ温度

私は一次発酵でパン生地が膨らまない理由で最も多いのが、
こね上げ温度ではないかと思います。

なぜ?

こね上げ温度が2℃違うだけでも発酵時間は5~10分違うと言われます。

もし目標のこね上げ温度よりも10℃も低い温度になってしまったら?

発酵器の温度を35℃にしたとしても、
パン生地の温度がイーストが働きやすい温度に達するまでには長い時間がかかります。

その結果、適正な一次発酵に達するまでの時間は、
もとのレシピよりも相当長くなってしまいます。

しかし、家庭の環境でこね上げ温度を一定にする事はとても難しいです。
気温が違えば、材料や作業台の温度も違います。
手ごねの場合、手が温かいとこね上げ温度は高くなります。


家庭で即実践できる事で、レシピ通りのこね上げ温度にするために

調整するのは仕込み水の温度です!!

*仕込み水:材料の水や牛乳などの水分

例えば、夏場の室温が高い日は冷水を、
冬場の気温が低い日は40℃近いお湯を使う。
というようにその日の気温を考えながら仕込み水の温度を調整します。

目標は±2℃の範囲にこね上げ温度が収まるようにする事です!!
(例:目標のこね上げ温度26℃の場合→24℃~28℃)

これは経験が必要になるので『難しい。。』と思うかもしれませんね。

でも、一度失敗すれば、次は改善できます。
なぜか、、それは失敗した原因が自分で理解できているからです。
パン作りにおいては、失敗の理由を知っている事が大切です!

一度で諦めなければ、必ず次はもっと美味しいパンが焼けます。


私も、、発酵不足と過発酵を経験したの事は何回もあります。
失敗が悔しくて、すぐに作り直したこともしばしば、、(笑)


とはいっても、失敗はしたくないですよね。

もしこね上げ温度がレシピ通りの目標の温度よりも高く/低くなってしまったら、
どうすれば良いでしょうか?

一次発酵でパン生地が膨らまない/レシピの時間は目安にして、目と指(フィンガーテスト)で発酵時間を考えよう!

こね上げ温度はパン作りの工程において、とても大切です。

こね上げ温度の測り方は、温度計を捏ねたパン生地の中心に差し込んで温度を測ります。


①こね上げ温度が低くなった時の対策

発酵器の温度を高くする

生地の温度が発酵が進む温度に上がるまで、発酵器の温度を高くします。

ただし、温度を大幅に高くすると発酵のスピードが早くなりすぎる事があります。
私の経験上ではレシピの発酵温度+3℃までが適当ではないかと思います。

パン生地の温度が上がり、発酵が進むようになったら、
レシピ通りの発酵温度に下げると良いと思います。

それでも、こね上げ温度が低くなると発酵時間が長くなる可能性は多いにあります!

その場合は、レシピの時間は目安として、自分の目と指で適正な発酵を見極めましょう。

パン生地の大きさ

パン生地が一次発酵で膨らむと、2倍ほどの大きさになります。
(適正な発酵具合はレシピにより異なる)

コツとしては、同じ小麦粉の量の場合にいつも同じ大きさの容器を使う事です。

例えば、材料の小麦粉の量が200gの時は直径○○cmのボールを使う。

いつも同じ容器を使うと、
適正な発酵の時にパン生地の大きさがどれくらいになるかが経験から分かってきます。

こちらのブログ記事も参考にしてみてくださいね(^^)
【発酵不足と過発酵を防ぐ!】パン作りの一次発酵にタッパーを使うのがおすすめな訳

フィンガーテスト

発酵の具合を確かめるために行うのが、フィンガーテストです。
人差し指に強力粉をつけて第二関節まで、パン生地に優しくまっすぐ差込みます。
そして、その指をそっと抜きます。

フィンガーテスト

指を差し込んでできた穴の状態をよーく見てください。

A:一次発酵前
B:発酵不足
C:適正な発酵

A一次発酵前のパン生地と比較すると、BとCのどちらのパン生地も大きく膨らんでいますね。

B発酵不足のパン生地をフィンガーテストしてみます。
できた穴を見ると、指を差し込んだ時の穴の太さよりも小さくなり、
キュッとパン生地が上側に押し戻されてきます。

C適正な発酵の場合は、差し込んだ指の跡が、少し押し戻されるか、ほぼそのまま残って穴が出来ていますね。
また、この時にパン生地はしぼむことがなく適度な張りがあります。

このように、フィンガーテストを行うことで適正な発酵の具合を
目と指の感覚で知ることができます。

パン生地は生きています。
自分自身の五感をフル活用してパン生地と向き合いましょう!
何回も練習すれば、必ずパン生地を仲良くなれますよ(*^_^*)

一次発酵で過発酵になった場合のパン生地については、こちらのブログに詳しく記載しています。良かったら参考にしてみてくださいね(^^)
【検証】一次発酵で過発酵になったパンを焼いてみると、、、/過発酵について詳しく解説
【初心者さん必見】夏場のパン作りは過発酵に要注意!

②こね上げ温度が高くなってしまった時の対策

正直なところ、、これは厄介です。

一次発酵はある程度長い時間をかけて行う事で、
パンの風味や良い香りを引き出す役割があります。

こね上げ温度が高くなると、発酵が一気に進んでしまうため、
パンの旨みや香りを引き出す事が難しくなってしまいます。

また、イーストが一気に炭酸ガスを出して膨らむため、パン生地が無理に引き伸ばされて傷んでしまいます。この結果、パンの膨らみが悪くなる可能性もあります。

対策としては、発酵器を使わずに低い温度の場所で発酵させて、
出来るだけレシピと同じ時間まで発酵させるようにします。

また、パン生地の様子をよく見て、一次発酵を早めに終わりにする事もあります。
ベストではありませんが、過発酵の状態は避けたいので仕方がありません。

◎まとめ◎一次発酵でパン生地が膨らまない時は、温度/湿度と配合を見直してイーストが働きやすい環境を作ろう!

一次発酵でパン生地が膨らまない原因と対策を、主にイーストの働きに注目して考えてみました!

①発酵器の温度を28℃~35℃にする(レシピに記載があればそれに従う)
②乾燥を避ける
③副材料(砂糖・バター・乳製品など)が多すぎていないか配合を見直す
④こね上げ温度がレシピ通りになるように、仕込み水の温度を調整する

イーストは温度と乾燥にとても敏感です。

それは、イーストという細菌が生きていくためには
適度な温度と湿度が保たれる事が必須条件であるためです。

パン作りでは、イーストの働きを最大限に引き出すことで
風味豊かな美味しいパンが完成します!

ここは、イーストに快適に発酵してもらうように、作り手の人間が頑張りましょう!!

一次発酵は、主に2つの役割があります。

Ⅰ、イーストに炭酸ガスを発生させてパン生地を膨らます
Ⅱ、パン生地の中でアルコールや有機酸が作られ、パンの美味しさの要素である風味や香りを生み出す。

このふたつの役割を担う一次発酵は、パン作りにおいてはとても重要な工程です。

一次発酵の時点で、発酵不足や過発酵がある場合は、
期待していたような仕上がりのパンとはまるで違うものになってしまう可能性が高いです。

レシピ通りの時間で一次発酵させたのに、パン生地がふくらまない。
そんな時は、もう一度パン生地を見て、触ってみてください。

もっと発酵させて欲しいとパン生地が言っていたら、
発酵時間を延長させて、適正な発酵の状態まで時間をかけて待ちましょう。

自分の五感はとても大切です。そして知識も。
レシピの発酵時間は目安です。
経験を重ねていけば自分の感覚は磨かれていきます。
失敗をしても、その原因をしっていれば必ず改善できます!

私も皆さんのパン作りの手助けができるように、
自分自身の失敗の経験を共有させていただけたら嬉しいです。

パン作りの上達に向けててがんばりましょう!

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西東京市パン教室アトリエエピス 井手芙雪(いでふゆき)

参考文献
パン作りの疑問に答える パンの「コツ」の科学 
パン作りの失敗と疑問をスッキリ解決する本
科学でわかるパンの「なぜ?」
荻山和也のパン作りの教科書
BREADーパンを愛する人の製パン技術理論と本格レシピー
NEW 調理と理論
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