全粒粉のパンは味わいが濃くて大好き!!
そのような方も多いのではないかと思います。
パン作りをはじめて、だんだんと慣れてきたし。
強力粉のパン以外のパンに挑戦してみたいな。
私もそう思ったひとりです。
でも、何となく難しいイメージ。失敗しそうで踏み切れない。
全粒粉のパンをつくってみたけど、膨らみが悪い。
その理由について詳しくお話していきたいと思います。
【基礎知識①】パンが膨らまない理由はグルテンにあり!
パンが膨らまない。
この理由を考える前に、
パンがなぜ膨らむかを考えていきましょう。
その方が、ぐーんとわかりやすくなります。
パンが膨らむというのは、膨らます空気みたいなものとそれを包み込む膜が必要になります。
イメージしやすいのは『ゴム風船』。
パン生地でいうと、
◎膨らませる空気みたいなもの⇒イースト(パン酵母)が発生する炭酸ガス
◎空気を包み込む膜⇒グルテン膜
シンプルにこのように考えることができます。
ここで注目するのは『グルテン膜』です。
パン作りをはじめると、よーく聞くパン用語ですよね。
捏ねるとグルテンができる。
そのようなイメージがあると思います。
小麦粉に水を加えて捏ねる(物理的な力を加える)とグルテンができます。
図1にグルテンが作られる様子を模式図で示しました。
小麦粉にもともとグルテンが存在するのではなく、グリアジンとグルテニンというタンパク質があります。
この2つのタンパク質が水と出会い、捏ねるという作業によってグルテン膜となっていくのですね。
材料をまぜた時はボソボソとしていた生地は、
こねるとツルっと張りがでてよく伸びるようになります。
これはグルテン膜がパン生地全体に広がっていくからなのですね。
つまり、パンが大きく膨らむためには、
『強いグルテン膜』がパン生地中に広がっている事が必要という事になります。
【基礎知識②】全粒粉とは何か?
全粒粉って見たことがありますか?
全粒粉入りのパンでも良いです。
特徴は、茶色っぽい色と粗い粒が見える事です。
全粒粉(ぜんりゅうふん)というのは、そのまま読むと『全ての粒を粉にしたもの』です。
ライ麦などにも全粒粉はありますが、
単に『全粒粉』というのは小麦から作られているものを指しています。
さて、この粗い粒と茶色っぽい色の正体は何でしょうか?
図2に、小麦粒の構造の模式図を示しました。
小麦粉と全粒粉の違いについては、こちらのブログに記載しています(^^)
【パンの材料Q&A】全粒粉と強力粉(小麦粉)の違いは?/パン用と菓子用の見分け方も解説します!
ここでは、全粒粉の粗い粒と茶色の正体だけに絞って考えていきましょう。
全粒粉は小麦粒を丸ごと粉にしたものです。
一方で、強力粉などの白い小麦粉は『胚乳』の部分だけを粉にしています。
という事は、全粒粉には本来小麦粉になる胚乳の部分の他にも、
『外皮』と『胚芽』が含まれていますね。
胚乳のみで作られる小麦粉(強力粉など)は白色をしていますので、
全粒粉の粗い粒と茶色と正体は、外皮と胚芽と考えられますね!
全粒粉はグルテンのつながりを弱くする!?
だんだんと核心の部分に近づいてきました(^^)
先ほど、パン生地が膨らむためには気泡を支える膜となる『グルテン膜』が必要というお話をしました。
グルテン膜は複雑に絡み合った網目状の構造をしています。
網戸をイメージしてみましょう!(図3)
グルテン膜は網戸のように、密な網目になっています。
そこに、ボールが飛んできました。
ボーン(゚ロ゚)穴が開きます。
何回もボールが飛んでくると、、、穴の数はどんどん増えていきます。
全粒粉には、粗い粒がたくさん含まれています。
この粗い粒は、網戸に穴をボコボコあけるボールと同じです。
パン生地が膨らむためにはゴム風船のように、強いグルテン膜が必要です。
全粒粉が配合されたパン生地では、この粗い粒がグルテン膜に中に散らばっている状態。
穴だらけの網戸と同じイメージです。
すると、せっかくイーストが出した炭酸ガスは穴から抜けてしまい、、、
パンが膨らまない(膨らみにくい)。
という状況を作り出してしまいます。
この現象は全粒粉に限った事ではありません。
皆さんは具材たっぷりのパンがお好きですか?
チョコチップやレーズンなどのドライフルーツ。胡桃やナッツも美味しいですよね。
これらの具材は網戸に穴をあけるボールと同じなのです。
つまり、具材を入れすぎるとパンは膨らみにくくなります。
具材とパンと膨らみについては、こちらのブログに詳しく記載しています。よかったら参考にしてみてくださいね(^^)
【失敗談!】パンに混ぜ込む具材の割合は?欲張りすぎると膨らまない!?
全粒粉のパン生地が膨らまないのは失敗なのか?
全粒粉のパンが膨らみにくい原因について詳しく考えてきました。
理由をかんがえると
全粒粉のパンが膨らまないのは、当たり前ということになります。
全粒粉のパンが膨らみが悪くても、失敗ではないのですね。
例えば、いつもの食パンと同じ粉量で、一部を全粒粉に変えたらあまり膨らまなかったという事があります。
その理由はこのブログでお話した通りに、
全粒粉の粗い粒がパン生地のグルテン膜に穴をあけてしまうからです。
失敗ではないので、落ち込むことはないですよ。
ただし、全粒粉を配合する量には気をつけておきましょう。
網戸の例のように、穴をあけるボールの数が多ければ多いほど膨らみにくくなります。
全粒粉の風味が好きだから、、と全粒粉100%の食パンを焼こうとするとふんわりしたパンは焼けません。
パンの膨らみが良い=おいしいというわけではないので、完成したものがおいしければ問題ありません。
通常、全粒粉の配合が多いパンを作りたい場合は、
膨らみが良くなるように製法などを工夫して行います。
◎全粒粉の風味をどれくらい出したいか?
◎膨らみ具合はどれくらいが良いか?
これらのポイントを押さえて、自分の好みの量を使うのが良いのではないかと思います。
『全粒粉自体使うのがはじめて』という方は、
粉の全体量に対して全粒粉の配合が10~20%位のレシピからはじめてみると作りやすいと思います。
例:強力粉180gと全粒粉20g
何となくハードルが高そうな全粒粉ですが、一度使ってみるとその美味しさに感動します♪
特徴をしって使うと、それほど難しく感じる事はないと思います!
ぜひ、全粒粉のパンにも挑戦してみてくださいね(*^_^*)
皆さんのパン作りの手助けになれば嬉しいです♪
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参考文献
科学でわかるパンの「なぜ?」
パンづくりの失敗と疑問をスッキリ解決する本