家庭で作るパンはすぐ固くなってしまう。そんなのあたり前。
本当にそう思いますか?
パン屋さんのパンはどうでしょうか。
翌朝のために食パンを買います。
もちろん焼いた当日のやわらかさにはかないませんが、翌日もしっとりしていますよね。
添加物を用いでいないパンだとしても、しっとりふわふわです。
どんな作り方をしているのだろう?
とっても気になりますよね。
正解はひとつではないはずです。
パン作りの方法は無限にあります。
しっとりさせる知恵袋も職人さんそれぞれがもっているものだと思います。
手作りパンをしっとり長持ちさせる方法のひとつとして『中種法』というものがあります。
聞きなれないパン作りの用語かもしれませんね。
イーストを用いて比較的手軽にできる製法でもあります。
パン作りに慣れてきたら、ぜひ挑戦したい方法ですね。
このブログでは、中種法の効果についてくわしくお話していきたいと思います。
ではいきましょう!
中種法とストレート法のちがいとは?
イーストで作るパン作りで2つ代表的な製法は?
と聞かれたら『ストレート法』と『中種法』になると思います。
ストレート法というのは、捏ねる作業が1回だけでパンを作る方法です(図1)。
中種法はパン作りでいう、発酵種法というもののひとつの手法になります。
発酵種法というのは、全ての材料を混ぜ合わせる前に
『発酵種』というものを作ります。
発酵種は、小麦粉と水などをあらかじめ発酵させておいたものです。
あとで、さらに小麦粉や他の副材料(砂糖、バターなど)を混ぜ合わせてパン生地を作ります。
中種法では、中種を作る作業で1回目の捏ね。
そして、他の材料を合わせたあとに2回目の捏ねる作業があります。
ストレート法については、こちらのブログでくわしく解説しています!
【豆知識】パン作りのストレート法とは?メリット/デメリットを詳しく解説
パン作りの中種の材料とは?
中種の材料は主に3つです。
小麦粉・水・イースト
これらを混ぜ合わせて作ります。
通常は、あまり捏ねません。
私の場合は、中種の材料がムラなく混ざったところで終わりにしています。
そして、中種法ではパンの配合の小麦粉のうち50%以上の小麦粉を中種に使います。
家庭用のパンの配合で考えてみましょう。
強力粉200gのパンのレシピがあったとしますね。
中種に強力粉100g(全使用量の50%)分を使います。
実際に中種をつくったものがこちらです↓↓
これを発酵させると中種の完成です。
発酵して気泡がブクブクとできている様子がわかりますね。
この中種をパン作りの膨らませるもとにしていきます。
中種に塩が入らないのはなぜ?
ちなみに、、、パン作りの基本材料は4つですよね。
小麦粉・水・イースト、そして塩です。
一方で一般的に中種には塩をいれていません。これはなぜでしょうか?
ポイントを2つ考えていきますね。
①塩なしでグーンとのびるグルテンをつくる
塩が入ると、パン生地は引き締まってしなやかになります。
プリッと弾力が出る感じですね。
中種には塩をいれません。
すると、もちろん弾力はでませんよね。
しかし、中種を作る時に、伸びの良いグルテンを作ることができます。
伸びの良いグルテンは、パンの膨らみを大きくしてふんわりとボリュームのあるパンが焼きあがるのです。
②塩なしはイーストの発酵が早い!
塩にはイーストのアルコール発酵を遅くする働きがあります。
そのため、中種ではイーストは超快適にのびのびと発酵することできます。
他の材料と混ぜ合わせる前に、あらかじめイーストの働きに安定感を持たせておきます。
すると、全ての材料を捏ねて仕上がったパン生地も安定して発酵してくれるようになります。
ただし、、、
中種の仕上がりの良し悪しが、発酵に関わってくる。という事にもなります。
パン作りは常に『発酵の見極め』が大切ということになりますね。
パン作りにおける塩の役割についてはこちらのブログを参考にしてくださいね(^^)
【検証!】塩なしパン VS 塩ありパン /パン作りでの塩の効果とは?
『中種の効果①』パンがしっとり長持ちする
ストレート法に比べて、ひと手間かける中種法。
メリットがなければ、行う気力もわきません。
ここからは、中種法の効果について考えていきたいと思います。
中種法でつくるパンはしっとりしています。
これは本当。
食べてみるとよくわかります。
このしっとり感の秘密は『水和』という現象が関係しています。
パン作りでいう水和というのは、
小麦粉の粒の芯の部分まで、材料の水分が染み込んでいくことを言います。
小麦粉の奥まで浸透した水分は、オーブンの中にいれても蒸発しません。
もちろん、水分に満たされたパン生地はしっとり。
そして、焼きあがったパンを翌日まで置いてもしっとり感は続きます。
メリットばかりの水和ですか、
パン生地の水和を十分に行わせるためには時間が必要です。
つまり、短時間でつくるパンでは水和の効果が弱くなってしまいます。
手間をかける中種だからこそのしっとり感。
試す価値ありです(^^)
水和についてはこちらのブログを参考にしてくださいね♪
【パン作りの豆知識】水和とは?パン生地のしっとり感が長持ちする!
【中種の効果②】ふんわり膨らむ!ボリュームたっぷりのパンになる
ストレート法に比べて、中種法では全発酵時間が長くなります。
中種を作る時間だけ、パン生地は発酵と熟成が進んでいくことになりますね。
パン生地は寝かせることで、よく伸びる生地に変化します。
実際に写真を見てみるとよくわかると思います。
上の写真は捏ねないパンをつくった時のものです。
材料を混ぜた後の生地はボソボソと繋がりの悪い状態です。
このパン生地を30分間お休みさせます。
すると、全く別もののように生地がつながってきます。
これと同じように、十分に寝かせ、発酵した生地が中種です。
中種法の場合、小麦粉の50%以上が中種の割合になります。
他の材料と中種を捏ね合わせる段階で、
すでに半分以上のパン生地がすでによく伸びるグルテンを持っていることになります。
中種のパン生地を作ってみると実感出来ると思います。
ストレート法と比べて、捏ね始めてからパン生地がつながってくるまでの時間が非常に早い!
そして、中種作りで1回+パン生地作りで2回目の捏ねる作業を行います。
そのため、パン生地のグルテンはより強くなります。⇒弾力UP
さらに、グルテンは伸びが良いのです。⇒伸展性UP
弾力がありつつ、しなやかに伸びるパン生地は、
ゴム風船のように大きく膨らみます。
中種法で作るパン生地はふわふわに仕上がる秘密。
納得していただけていたら嬉しいです(^.^)
捏ねないパンのメカニズム。パン生地を寝かせて作る科学にご興味がある方はこちらのブログを参考にしてくださいね(´▽`)
【パン作りのなぜ?】捏ねないパンが膨らむ原理とは?グルテンが出来る仕組みを考える!
こねないパンで作る究極カンパーニュ!冷蔵発酵&低温熟成でうまみを引き出す
◎まとめ◎ストレート法からステップアップ!イーストで作る中種法でしっとりふわふわのパンに挑戦してみませんか?
イーストで作るパンはすぐ固くなる?
そんなギモンをお持ちの方はとても多いはずです。
イーストで作るパンだから、固くなるのではありません。
多くは作り方や配合に問題があることがほとんどです。
しっとり感を長持ちさせるために必要なのは『時間』です。
中種法もパン生地を熟成させる時間で、パンの水分を逃さずにしっとり焼き上げることができます。
そして、パン生地をふわふわと大きく膨らませるためには柔軟で強いグルテンも大切です。
あらかじめ作っておいた中種の効果で、
グルテンの伸びの良さと弾力の強さをより高めることができます。
中種法のメリットを考えてきましたが、
やはりデメリットもありますね。
『手間がかかる』こと。
それはどうしても避けられません。
ただ、中種を寝かせる時間を上手く使って他の仕事をこなすこともできますよね(^.^)
パン作りは付きっきりで見守る必要はありません。
たまにパン生地を気にしてあげれば大丈夫です。
中種法と聞くと、難しそう、、、と足が遠のいてしまう。
そんな方も、ぜひチャレンジしてみてください。
きっと、今までとは違う新しい発見があるはずです。
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参考資料
科学でわかるパンの「なぜ?」
パンの「こつ」の科学
パンづくりのメカニズムとアルゴリズム
パンづくりの失敗と疑問とスッキリ解決する本