【パンの焼き時間の考え方】パンの生焼けを防ぐには?/具材をアレンジするときに知っておきたいこと

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お気に入りのパンのレシピをアレンジしたい!
パン作りに慣れてくると、自分自身で具材を変えたりと楽しみが増えてきます。

私も、パン作りを始めて数年が経った頃から、
パン生地のレシピはそのままにして、
具材のアレンジなどをしていたかなと思います。

が、、、
具材を変えただけなのに、失敗してしまった。。

これもあるあるだと思います。

パン作りは、パン生地にばかりに目がいきがちです。
しかし、私の経験でも具材関連の失敗はものすごく多いです。

なぜ?

その答えは、パンが膨らむためにはその柱となる『グルテン』が主役になるからだと思います。
グルテンに悪影響がでるような、具材の使い方をしてしまうと
パンは膨らまなくなります。

やはり、具材の使い方にもポイントがたくさんあるのです。

このブログでは、具材の量とオーブンでの焼き時間をポイントにします。
そして、パンの焼き時間の考え方についてお伝えしていきます。

上の写真はレッスンの基礎コースのメニューのショコラクグロフです。
このクグロフをアレンジした時の実例とともにお話していきたいと思います。

パンが膨らまない?混ぜ込む具材の量に要注意!

具材たっぷりのパンって贅沢な感じで憧れますよね。
ドライフルーツやナッツ、チョコレートなど、
パンの具材にも色々なものがあります。

これ↓

私が実際に失敗したパンなのです。

この写真のパン生地は同じものです。
違うのは具材の量のみ。
右側の膨らみの悪いパンには2倍の具材を練りこんでいます。

なぜ、こんなことがおきるのでしょうか?

図1

パン生地を支えるグルテンはゴム風船のように、
イーストが発生する炭酸ガスを包みこんで膨らみます。

グルテンは細かい網目状になっていて、図1では網戸に例えています。

グルテンの網目構造が細かくで密な状態であるほど、
炭酸ガスを包みこんで大きく膨らむことができるわけです。

さて、ここにグルテンを作らない異物が入りました。
例えば、レーズンやチョコチップなどの具材ですね。
小麦の外皮などが含まれる全粒粉も、この異物と同じと考えてよいです。

この異物は、グルテンの網目にボコボコと穴を開けます。
図1でいうと、ボールが異物です。
網戸にボールがバシバシと投げつけられて穴だらけになってしまいます。

こんなボロボロの網。
たくさんのガスを包み込んで、大きく膨らむことができると思いますか?

実際に具材を増やせば増やすほど、パンの膨らみが悪くなります。

特に、こねあがりに具材を混ぜ込む場合には、その影響は顕著です。

なぜなら、グルテンが弱いパン生地は一次発酵でも膨らむことができないからです。

一次発酵で膨らみの悪いパン生地は、オーブンの中でも大きく膨らむことができません。

一次発酵でパン生地が膨らむときにイーストが発生する炭酸ガスで、
パン生地の中のグルテン膜は刺激されて強くなります。

一次発酵の工程で、パン生地が膨らむための基礎体力をグルテン膜が蓄えることが大切です。
つまり、一次発酵でパン生地が十分に膨らんでいるという事は、グルテンが強化されているということになるのです。

グルテン膜はパン生地を支える骨格になります。
一次発酵で発酵不足になると、膨らむための強さもつきませんし、
やわらかくよく伸びるための柔軟さも不十分ということになってしまうのです。

結果、パン生地は膨らみません。

パン生地のこね上げた最後の段階で具材を混ぜることも多いですが、
この時の具材の量は要注意です。

一方で、成形の時に具材を巻き込む際には、許容範囲が広くなります。
これもワンポイントですよ。

パン作りの具材の量については、こちらのブログに記載しています。
ぜひ参考にしてくださいね。
【失敗談!】パンに混ぜ込む具材の割合は?欲張りすぎると膨らまない!?
【これって失敗!?】全粒粉のパンが膨らまない理由とは?

【パンの焼き時間考え方①】膨らみの良いパン生地は火通りが良い!

ずっしり重いパウンドケーキの焼き時間は、
ふわふわのスポンジケーキよりも、倍近くも長くなります(サイズ・配合にもよります)。

ギュッと生地が詰まっているパウンドケーキ生地は、とても火通りが悪いのです。

逆に、スポンジケーキはふわっふわです。

空気をたくさん含んでいて食感も軽いですよね。
もともとの生地はドロドロとして、液体のようになっていますが、
オーブンにいれると早い段階からぷわーっと膨らんできます。

スポンジケーキのように膨らみが良く、気泡を包む膜が薄いものは火通りが良いのです。

この原理はパン作りでも同じことが言えます。

例えば、バターロールのように油脂が入って伸びやすいパン生地は
オーブンの中で、比較的早い段階から大きく膨らみます。
このようなパン生地は火通りが良く、比較的低温で短時間で焼き上げることが多いです。

一方で、バケットなどのハード系のパンはどうでしょうか?

これらのパンは、内相の気泡を包む膜がとても厚く、
配合にも油脂などが含まれていないため、パン生地も伸びやかに膨らむことができません。
そのため、高温で焼き時間も長くなります。
ハード系を焼く時には、この他にもたくさん注意点がありますが、長くなりますのでここではこれくらいにしておきたいと思います。

さて、前章ですでにお話していますが、
具材が多いパン生地というのは膨らみが悪くなります。
パウンドケーキのようにずっしりと重いのです。

具が多くて重いパン生地を持ち上げるのには相当なエネルギーが必要です。

もし、自分でレシピをアレンジしたいと思い時、

具材の量が増えたら、焼き時間を増やす必要があるかもしれない。

という事は必ず考えるべきポイントになります。

【レシピのアレンジ実践編!】成形で巻き込む具材を増やしたい!

アレンジするのは、ココア生地のクグロフです。

このクグロフを、もっと具材たっぷりに変えていきたいと思います。

ブラックココアを加えて、より大人っぽい印象にしましたよ!

もともとのレシピでも具材が多いので、
火通りの良いクグロフ型で焼いていますが、焼き時間は長めになっています。

余談ですが、クグロフといえばマリーアントワネットですよね。
マリーアントワネットが生きていた時代に、発酵力の強いイーストはありませんでした。
フランスのパン屋さんでも、野生の酵母を使っていたわけですね。

野生の酵母は、工場で培養されているイーストに比べて発酵力が不安定です。
発酵菓子のクグロフのような、具材たっぷりの甘いパン生地を
ふんわり持ち上げるのは困難だったはずです。

そして、パン生地にオーブンの熱を効率的に伝えるために生まれたのがクグロフ型です。
クグロフは歴史的にみても、具材の多いレシピには向いているということになりますね。

この写真のように、パンを成形するときに具材を巻き込んでいきます。

ブラックココア(色が黒い)の方が、具材が多いのがよーくわかると思います。

ブラックココアにいれた具材↓
●チョコチップ(パン生地に練りこんである)
●ホワイトチョコチップ
●ブランデー漬けのドライチェリー
●スライスアーモンド
●クリームチーズ

成形して型に入れるとこんな感じになります。

やはり、ブラックココアの方が生地量も多くなりますよね。

これを焼いていきます。

ここで、、、同じ時間焼いてはダメです。
具材の多いブラックココアのパンの方は焼き時間を長くします。

どれくらい?

それは、やってみないとわかりません。
今回の場合は5分刻みで様子をみました。

結果的には、具材の多いブラックココアの方は
『10分』焼き時間が長くなりましたよ。

パンの焼き時間の考え方とは?

パンの焼きあがりの見極めはとても難しいところがあります。

〇見た目の焼き色
〇触った感じの弾力
〇クラストの乾燥の程度
これらは大切な要素ですが、
実際には切ってみないとわからないのが正直なところです。

それよりも、経験値を積んでいく方が効率的なのかなと
私は思います。

例えば、こんな感じに考えます。

●手持ちの食パン型で、生地量〇〇gのパン生地を焼く時は何度で何分焼く。
●天板に直接乗せて焼く時は、分割後の生地量〇〇gのパン生地を何度で何分焼く。

私が考える法則としては、

具材が多い場合は焼き時間が長くなる

適量の油脂が含まれるパン生地は伸びが良いため、火通りがよく短時間で焼ける
(気泡膜が薄く、皮は柔らかく仕上げる)

型に入れる場合は、同じ生地量でも焼き時間が長くなる

◎天板に直接パン生地を置く場合は、細長い成形の方が火通りが良い

ライ麦や全粒粉の配合が多いパン生地は膨らみが悪く、焼き時間が長くなる

ハード系のパンは高温で焼き時間も長くなる(気泡膜が厚く、皮はバリっと仕上げる)

と、、まぁ考えることはたくさんあります(^^;)

あとは、自分が使っているオーブンを何度に設定すればうまく焼けるのかを経験値に重ねていくことです。

私も新しいオーブンを買うときには、同じレシピでも試してみないとわかりません。

何回かやれば、オーブンも味方になりますので大丈夫です。
コツは、1回でやめないこと(笑)ですかね。

◎まとめ◎パンのレシピをアレンジする力は学ぶもの!

パン作りに慣れてきたら、ぜひ色々なレシピをアレンジしてほしいと思います。
自分の好みの味を作るのは、単純に楽しいですしね。

ちなみに、今回アレンジしたブラックココアのクグロフのイメージは、
フランス菓子の『フォレノワール』です。

ドイツのお菓子だと『シュバルツバルター・キルシュトルテ』。
黒い森といわれる、キルシュとサクランボとチョコレートのケーキです。

チョコレートの黒はブラックココア。
ドライチェリーは洋酒漬けに。
真っ白のクリームのなめらかさと甘さは、クリームチーズとホワイトチョコに見立てました。

うむ、、なかなか美味です←自画自賛(*´ω`)

もともとのココアのクグロフのイメージは『ショコラフランボワーズ』です。
こちらは定番で納得の美味しさです。
赤ワインつけのドライクランベリーがきらりとアクセント。

私はお菓子を長く学んでいるので、
甘いパンのレシピを作る時にはお菓子をイメージしていることが非常に多いです。

だから、、すごく楽しいです。
レシピを考えるのは、わくわくします。
大変ですけどね。

今回のテーマは『パンの具材』と『焼き時間』の考え方でした。
レシピをアレンジするには、知っておくべき知識がたくさんあります。

厳しいようですが、
知識ゼロの状態でむやみにレシピをアレンジするのは失敗の確率が高くなります。
そして、何が失敗の原因かもわからずに悩みの連鎖になってしまいます。

↑私が実際にそうでしたので(笑)

パンを作る時、必要な知識はパン生地の事だけではないと私は思っています。
多方面から学んでいくと、幅広いパン作りができるはずです(^O^)/

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参考資料
パンの世界 基本から最前線まで
誰も教えてくれなかったプロに近づくためにパンの教科書
科学でわかるパンの「なぜ?」
パンづくりのメカニズムとアルゴリズム