『明日の夕方に焼きたい。』そう思って冷蔵発酵させたパン生地。
翌朝、冷蔵庫をのぞいてみると、、、
あー、、もう発酵完了してしまった(゚ロ゚)これから仕事なのに。
今、パンを焼く時間がない!!
この経験。私は日常茶飯事です。
冷蔵発酵法(長時間低温発酵法、オーバーナイト法)は、パン作りの作業を2日間にわけて行います。
1日目にこねて、冷蔵庫で一次発酵。
2日目に成形・焼き上げるという方法です。
冷蔵庫でも、パン生地は少しずつ発酵していきます。
そのため、自分の都合が良い時間より前に、
発酵が完了してしまうという事も頻繁にあるのです。
そんな時、どうしますか?
これが、今回のブログのテーマです。
時間調整ができるようになると、パン作りが生活の中で無理なくできるようになります(^.^)
これは知っておいて損はない!そんな知識です。
冷蔵発酵で知っておきたい2つの温度
冷蔵発酵は、一次発酵を冷蔵庫の中で行います。
さて、冷蔵庫の温度は何度ですか?
この質問に即答できたら、なかなかのパンマニアです(笑)
冷蔵庫の温度は、季節や各家庭によって違います。
そのため、発酵のスピードもその日その時によって違うのです。
イーストが最も活発に発酵する温度は約40℃です。
40℃だと、発酵が早く進みすぎてしまうので、
一次発酵の温度はそれよりも少し低い温度30~35℃で行うのが一般的になっています。
そして、低い温度になれば、イーストの発酵活動は元気を失っていきます。
そして、4℃より低い温度では、イーストの発酵活動は休止してしまうのです。
冷蔵発酵では、この『4℃』が大切です。
つまり、4℃よりも冷蔵庫の温度が低い時は発酵は次第にストップしてしまいます。
冷蔵発酵の温度については、こちらのブログでくわしく解説しています(^.^)
【野菜室vs冷蔵庫どちらが良い?】パン作りの冷蔵発酵を行う場所でお悩みの方へ
パン作りのパンチの役割とは?
パン作り経験がある方に質問です。パンチを行ったことがありますか?
私の経験をお話すると、私がはじめてパンチを行ったのはパン作りをはじめて約3年後です。
つまり、、パンチをしなくてもパンは焼けます。
『それなら、しなくて良いでしょ。』と思うのも無理はありません。
しかし!パンチの技術を知っていると、パン作りの可能性は100倍にも広がります。
パンチの役割はいくつかありますが、ここでは重要なポイントをひとつだけお話していきますね。
パンチの役割については、こちらのブログでくわしく説明していますので、良かったら参考にしてください(^.^)
【検証】きめ細かい食パンを作りたい!『パンチ』の効果と意味について解説
さて、『パンチ』というとバシバシとパン生地をパンチする工程のように聞こえますよね。
パンチは一次発酵の途中で行います。
発酵した生地はとても柔らかく、傷みやすくなっています。
そのため、いくら『パンチ』といっても、むやみに力をいれて行うものではないのです。
実際には、パン生地を折りたたんだり、丸めなおすという作業のことを『パンチ』と言います。
パンチの大きな役割のひとつが『イーストの活性化』です。
くわしく説明していきますね。
イーストは発酵活動でアルコールと炭酸ガスを発生します。
炭酸ガスはパン生地を膨らませるもとになります。
そして、アルコールはパン生地の中に気体として存在するものと、水に溶けているアルコールの両方があります。
イーストは自身の力でアルコールを発生するわけですが、
面白いことにイーストは高濃度のアルコールには弱いという性格の持ち主です。
つまり発酵が進めば進むほど、イーストの発酵活動は弱まっていくのです。
そこで、登場するのが『パンチ』です。
発酵がある程度進んだ状態でパンチを行います。
すると、パン生地の中で気体として存在していたアルコールは、外気中に飛んでいきます。
また、パン生地の中の水分に溶けていたアルコールは全体に分散していくのです。
パンチを行い、アルコール濃度が低くなったパン生地の中では、
イーストはリフレッシュ。
再び元気いっぱいに発酵活動を行ってくれます。
過発酵を防ぐ!!パン生地が傷んでザラザラはNG
過発酵のパン生地を触ったことがあるでしょうか?
写真は、かなり極端に過発酵させたパン生地です。
見た目にも弱々しいのがわかりますね。
特徴を書き出してみます。
◎表面がザラザラ
◎ツヤがない
◎異常に柔らかい
◎しぼんでしまう
ここまでひどい過発酵になってしまうと、
もうパン生地は膨らむ力を失ってしまいます。
過発酵のパン生地を焼いたのが上の写真です。
弱い膜は気泡を支えきれずに、潰れてしまい大きな穴がぽっかり空いています。
全体にキメが粗く、小さくこじんまりした焼き上がりです。
発酵が適正な状態をすぎて、パン生地が傷んでしまう『過発酵』。
この過発酵をくい止めるのにも、パンチが一役買います。
発酵して膨らみすぎたパン生地を潰して、丸め直します。
過発酵になってしまうと、パン生地は異常に柔らかくなり、弾力を失ってしまうのですが、、
パンチを行いパン生地に力を加えることで、再びプリっと弾力のある状態に戻るのです。
パンチを活用!!パン作りの発酵時間の調整する方法
ここまでのお話をまとめて、冷蔵発酵で具体的にパンチを行うタイミングを考えていきたいと思います。
◎パンチの役割①⇒イーストの活性化
◎パンチの役割②⇒パン生地に弾力を取り戻し、過発酵を防止
パンチを発酵の時間調整に使う目的が見えてきた方は、かなり鋭いですよ(^.^)
パンチを行うと、発酵して膨らんだ生地が一旦リフレッシュします。
『イーストが再活性化し、パン生地の弾力も戻る。』
つまり、パンチ後に発酵を再スタートさせて、発酵時間を延長することができます。
具体的にタイムスケジュールを考えてみます。
【1日目】
朝8時に冷蔵庫(野菜室)で一次発酵スタート。
夜20時に帰宅。パン生地は約2~3倍に膨らんで発酵完了している。
しかし、今からパンを焼く時間はない。
パンチを行い、再び冷蔵庫(野菜室)にいれる。
【2日目】
朝6時 パン生地を冷蔵庫から取り出して、パンを焼き上げる。
上記のように、パンチを行うことで発酵時間を調整することができます。
大切なのは、過発酵になる前にパンチを行う!というところです。
一度でも過発酵の状態になってしまうと、
パンチを行ってもパン生地は適正な状態にはもどりません。
また、具体例では、冷蔵庫よりも温度の高い野菜室に入れていますが、
パンチ後に4℃以下の冷蔵庫に入れると、次第に発酵は休止します。
すると、翌日のパンを焼くタイミングを遅くすることもできますよ。
◎まとめ◎パンチをマスターして、生活の中で無理なくパン作りをしよう!
パン生地をリフレッシュさせて、発酵時間を延長する。
生活の中でパン作りをする時に、発酵の時間を自分で延長することができると、
格段に楽に作業することができます。
そして、パンチを行うタイミングは過発酵になる前です!
発酵が適正になったタイミングで、パンチを行うようにします。
私もよく使う裏ワザ?です(*´∀`*)
良かったら、試してみてくださいね。
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