【パン作りの材料Q&A】ショートニングの役割とは?/ショートニングを配合する理由についてわかりやすく解説します

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お料理ではあまり馴染みのない『ショートニング』ですが、
パンやお菓子作りの材料としてはしばしば登場してきます。

レシピ本やインターネットで検索したパンのレシピの中にも
ショートニングを使用しているものもあります。

ショートニングにはバターやマーガリンとは違う良い部分があるの?

そのような疑問も湧いてきます。

私もパン教室でしっかりと習うまでは、ショートニングという材料の事は考えないようにしていました(笑)

多くのレシピでは、材料を選ぶときには何かしらの理由があるはずです。

このブログでは、下記の疑問についてお答えできるよう、わかりやすく解説していきます!

◎ショートニングが配合したパンはどのように焼きあがるのか
◎バターやマーガリンとの違いは何か
◎パン作りにおけるショートニングの役割

ショートニングは無味無臭

バターやマーガリンとショートニングが大きく違う点は、まず『味・香り』です。

ご存知のとおり、バターはとっても風味が良い材料ですよね。
トーストにバターを塗って食べるだけで、幸せな気分になるほどです(^^)

『バター風味』という言葉でも表される事があるほど、バターには独特の味と香りがあります。

一方で、ショートニングはどうでしょうか?

ショートニングは通常は白っぽい色をしていて、常温では固形の状態です。

そして、香りもないし味もほとんどありません。

『あぶらだな。』というイメージです。

ショートニングとバターをそれぞれ配合したパンがどんな風味になるかを考えてみましょう。

まず、バターを配合したパンは、やはりバターの風味が活きたコクのある味わいになります。

よく市販のパンの中にも、『バター○○%配合』という風に書かれているものを見かけますね。
バターが配合されたパンは、一般的なイメージとしても高級感のある味になります。

では、ショートニングを配合したパンはどうでしょうか?

先ほどもお話した通りに、ショートニングは無味無臭です。

そのため、ショートニングを配合したパンは油脂以外の素材の味わいが活きた味わいになります。
パン屋さんなどでも、バケット等のようにハード系ではないけれど、あっさりとして小麦粉の風味が美味しいパンが売られていますよね。

これらのパンが全てショートニングを使用しているわけではありませんが、
味と香りの面でもショートングとバターを使い分けることができます。

パン作りでの油脂の役割と分類

パン作りにおいて、材料の油脂の働きはとても大きいものがあります。

まずは、油脂の役割について知ってから、個々のショートニングやバターの特徴を考えていきましょう。

油脂を配合したパンの特徴としては次のようなものがあります。

◎ふんわりと柔らかい食感
◎パンの皮(クラフト)が薄く柔らかい
◎よく膨らんで軽い食感
◎時間が経っても硬くなりにくい

良いことばかり!!というイメージですね。
パンの種類によっては、油脂を配合しないことでそのパン独特の食感や風味を出すことができます。

材料の使い方次第で、色々なパンを作り出すことができるといういのは、
とても面白いですよね。

もうひとつ油脂についての予備知識をご紹介しますね。

油脂には、常温で液体の液状油脂と固体の固形油脂に分類されます。

*液状油脂・・・サラダ油、オリーブオイル等
*固形油脂・・・バター、マーガリン、ショートニング等

固形油脂にはとても興味深い特性があります。

『バターを室温に戻す』というレシピを見ることがよくありますよね。
バター等の固形油脂は、ある温度帯になると粘土のように自由に形を変える事ができるようになります。

難しい言葉で表すと、このような固形油脂の性質を『可塑性(カソセイ)』と言います。

可塑性のあるバターは、冷蔵庫にいれておくとカチカチの固い状態ですが、
少し室温に置いておくと指で押した時に凹むようになります。

この可塑性という性質が、パン作りではとても大切な働きをするのです。

こちらのブログも参考にしてくださいね♪
【パン作りの豆知識】バターの代用にサラダ油を使って良いのか?
『パン作りのバターを室温に戻すのを忘れた!』バターが固い時の対処法/温度の意味について解説します!
【バターの入れ忘れ!?】バターなしのパンがどうなるのかを対処法とともに解説します

ショートニングを配合したパンはふんわり・さっくり

バターやショートニング等の個々の油脂の特徴を考えていきましょう。

先ほどもお話したように、バターは固形油脂であり、可塑性という性質があります。

パン生地を捏ねる時、バターを練りこんでいきます。
すると、バターはパン生地中のグルテン膜に沿って薄い膜状に広がっていきます。

すると、グルテン同士がくっつきにくくなり、滑りやすくなるのです。
グルテンの滑りが良くなるということは、パン生地がよく伸びるようになりますね。

よく伸びるパン生地は、オーブンの中でもよく膨らんでくれるのです。
結果ふんわりとしたパンが焼きあがります。


マーガリンもバターと同様に考える事ができます。

図1 バターとショートニングの性質

一方で、ショートニングは同じ固形油脂なのですが、バターやマーガリンとは違う形でパン生地の中で存在しているのではないかと考えられているようです。

図1に模式図を示しました。

前述のように、バターはパン生地のグルテンをコーティングするように潤滑油を役割をしています。

そして、右側のショートニングの図を見てください。

ショートニングは細かい油滴の状態でパン生地中に分散しています。
バターが薄い膜状になっているのとは違う形をしていますね。

ショートニングは油滴の状態でグルテン膜に分散しています。
そのため、バター等と同じようにパン生地の伸びがよくなります。

ショートニングを配合したパンもよく膨らみ、ボリュームのあるパンに焼きあがります。

また、ショートニングが油滴の状態で分散した状態で、オーブンの中で焼かれる事になります。すると、ショートニングの油滴の周りのグルテンが油を吸って、その部分がもろく焼きあがります。

結果として、
ショートニングを配合したパンは、さっくりと歯切れの良い軽い食感になるのです。

ショートニングを配合したクッキーを食べた事があるでしょうか?
バターを配合したクッキーとは違い、さくさく、、シャクシャクっとした感じの
軽い食感のクッキーになります。

お菓子作りでも、ショートニングの特性を生かしたレシピが色々とあります。
油脂だけでも食感の違いがでる、というのはとても面白いですね。

◎まとめ◎ショートニングの役割をパン作りに活かそう

ショートニングの役割について下記のようなポイントがありました。


①パン生地がよく膨らんでボリュームがでる
②パンが時間が経っても硬くなりにくい
③ショートニングは固形油脂
無味無臭で、小麦粉の風味の活きたパンに焼きあがる
⑤パンがさっくりと歯切れの良い軽い食感になる

①と②は油脂全般に言える役割です。

バターではなく、敢えてショートニングを使うレシピにはどんな理由があるのでしょうか?

味や食感の面で考えると、油脂としてのふんわり感や日持ちの良さを出したい時に、
バターの風味を出さずに小麦粉の味を楽しむパンを焼くことができます。

そして、さっくりとした歯切れの良い食感とあっさりとした風味も、
毎日食べたい食パン等には向いているのではないかと、私は考えています。

ショートニングは、家庭のパン作りではあまり使うことのない材料かもしれませんね。
製菓材料を扱うお店では、少量でパックになっているものも売られています。

パン作りに慣れてきたら、色々な材料を試してみると楽しいと思います(^^)

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参考資料
科学でわかるパンの「なぜ?」
NEW 調理と理論 第二版
パンづくりのメカニズムとアルゴリズム