【検証!】冷蔵発酵(オーバーナイト法)のパン作りで過発酵になったらどうなる?

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冷蔵発酵でつくったパンが膨らまなかった。
ふんわりしていない。

私はパン作りの基本を『発酵をきちんととること』だと思っています。

『捏ね』と『発酵』

このふたつの工程で、パンの美味しさのほとんどが決まる。
そう言っても過言ではないはずです。

冷蔵発酵というのは、長時間低温発酵法のひとつの方法です。

1日目に捏ねたパン生地を、一晩かけて冷蔵庫でじっくり熟成させます。
そして、2日目に成形して焼き上げまで行うというやり方。

冷たい冷蔵庫に入れておけば、パンが過発酵になることはない?

そんなことはありません。
四季の変化のある日本の室温は、一年を通してバラバラです。
寒い日は10℃以下にもなりますし、
夏場は室温30℃をこえる日もしばしばありますよね。

もちろん、冷蔵庫の中の温度も季節を通して変わります。

パン酵母であるイーストは生き物です。
温度が40℃に近い環境にいる方が、元気いっぱいに発酵を進めていきます。

うっかり室温に長く置いたり、、
夏場の冷蔵庫の中で放置していたら、過発酵になってしまった(´;ω;`)

気をつけていても、過発酵になってしまうこともあります。

では、、
冷蔵発酵でつくるパン生地が過発酵になったらどうなる?
◎パン生地の様子は?
◎味は?
◎食感は?
◎焼き上がりの見た目は?

過発酵になること自体は仕方がありません。
私自身、過発酵の経験は数えきれないくらいあります。

失敗しないと成功してもわかりません。
パン作りの経験値①がプラスされただけです。

大切なのは『過発酵になってしまった事がわかる』というところ。

このブログでは、過発酵の経験を次のパン作りにつなげるために、
過発酵になってしまったパンの特徴をお話していきます。

また、ここでは冷蔵発酵をさせたパン生地で検証をおこないますが、
数時間で完成させる【短時間のストレート法】のパン作りでも、
過発酵の考え方は基本的に同じです。

パン作り初心者のころはわからなかった『過発酵』。
経験を積んだ今だからこそ、過発酵について見直してみませんか?

【過発酵の特徴①一次発酵】種落ち&表面がしわしわ~

実際に、過発酵になってしまったパン生地の様子を観察していきましょう!

今回は食パンを作っていきます。

種落ちしたパン生地

冷蔵庫で一晩発酵させたパン生地です。

冷蔵庫の中では発酵不足の状態でした。
そのため、室温(20℃)にタッパーのまま置いて、追加で発酵していました。

そして、放置した結果が上の写真です。

一旦、パン生地は3倍以上に大きく膨らみました。
タッパーの蓋の部分までパン生地が達しているような状態です。
その後、ぷしゅーとしぼんでしまっています。

このように、過発酵になったパン生地がしぼんでしまう現象を『種落ち』と言います。

パン生地の表面はこのようになっています。

種落ちしたパン生地の表面

蓋にくっついた部分が引っ張られているところもありますが、

過発酵になったパン生地の表面はしわしわで、ツヤ感を失っています。

フィンガーテストをしてみます。

過発酵になってしまったパン生地は、弾力が全くありません。
今回の場合はすでにしぼんでいるので、フィンガーテストをしてもただ穴が開くだけ。

張りもないし、ふにゃふにゃと弱々しい生地です。

今回はかなり極端に過発酵の状態にしていますが、
種落ちしていなくても、
過発酵になるとフィンガーテストで少し刺激を与えるだけで
パン生地がプシューとしぼんでしまいます。

適切な発酵がとられているパン生地の表面はこのようにツヤツヤしています。

見た目の違いも明らかなのです。

【過発酵の特徴②二次発酵】生地切れ~パン生地の表面が裂けてしまう

一次発酵で過発酵になってしまった生地を、成形して焼いていきます。

この時点で過発酵と気が付いていない場合。
意外にも、無難に成形できてしまうので、
『過発酵』であることをスルーする可能性もあります。

成形したパン生地を型にいれて二次発酵させます。

決して強めに丸めたわけではありません。
それなのに、上の写真のように生地の表面が裂けていますね。

過発酵になると、パン生地の弾力がなくなります。
パン生地の中にあるグルテンの膜もビヨビヨのゴムのように弱く切れやすくなります。

そのため、この写真のようにパン生地の表面が『生地切れ』を起こしてしまうということになりますね。
パン生地の表面を覆っている膜がとても弱くなっていることがわかります。

見た目だけで、オーブンで焼く前から膨らまないだろうなぁと予測できます。
表面のツヤ感も弱いですしね。
いくら二次発酵で膨らませても、一次発酵で過発酵になったパン生地を修復することはできません。

それが、この写真からもよくわかると思います。

【過発酵の特徴③膨らみが悪い】断面の気泡がつぶれて詰まっている

さて、一次発酵で過発酵になったパン生地で食パンが完成しました。

焼きあがりは、意外にも悪くありませんね。
焼き色もまずまず綺麗につきました。

冷めてから、カットして断面を見てみましょう。

過発酵になったパン

上の写真のパンの断面を見て、どう思いますか?
キメが細かい?
そんな風にも見えますね。

では、断面の気泡を良ーく見てください。
縦方向に伸びているものはほとんどありません。
全体的に気泡はつぶされていて、
特に底面に近いところはギュッと密な状態になっています。

過発酵の食パン(上部に空洞)

また、上の写真のように食パンの上部にトンネルのような空洞ができることがあります。
これも過発酵になったパン生地の特徴のひとつです。

表面の焼き色がついている部分だけが、焼き固まって膜になって膨らみます。

しかし、内相のパン生地は膨らむだけに必要なの強いグルテン膜の骨格がないのです。
丸パンなどの小型のパンでも、過発酵になると上部にこのような大きい空洞ができることがあります。

過発酵のひとつの合図として、頭の片隅に置いておいていただけると嬉しいです。

適正な発酵のパン

比較のために、ばっちり窯伸びしたパンの断面を見てみましょう。

底面に近いところの気泡も、しっかり膨らんで縦方向に伸びていますよね。
きめ細かく、上に向かって膨らんでいる気泡の様子が断面からもよくわかります。

見るからに、柔らかそうなパンの断面です。

【過発酵の特徴④味・食感】もそもそした食感で固い!味がうすい

ここからは、実際に食べてみての味と食感をお話していきたいと思います。

まずは、食感です。
ふんわり感がありませんね。

密な状態のパン生地なので、パサパサしているわけではありませんが
柔らかさに欠けていてモソモソとしています。

そして、味です。
旨みがない。
その一言に尽きるかもしれません。

冷蔵発酵で長時間熟成させるパン生地は、小麦の甘味が引き出されるので
香ばしさと優しい甘みを感じるものですが、、、
過発酵になってしまったパンには、そのおいしさを感じることができませんでした。

むしろ、酸味が強い。そんな印象です。
パン生地の発酵では、イーストのアルコール発酵が行われています。

その一方で、空気中や材料の中にいる乳酸菌などによる、乳酸発酵や酢酸発酵も行われています。
過発酵になり、それらの『酸』の味が強くなってしまったのが原因になりますね。

冷蔵発酵(オーバーナイト法)で過発酵をさけるには?

冷蔵発酵をして過発酵になってしまった場合。
これだけは見直してほしい点をピックアップしたいと思います。

特に、パン生地の状態が悪くなるのは以下の2点です。
◎捏ね上げ温度が30℃を超える
◎イーストの量が多い

捏ね上げ温度が高く、過発酵になったパン生地

捏ね上げ温度が高くなると、こねあがったパン生地の表面はザラザラになります。
ダレて張りがなくなります。
この時点でグルテン膜のつながりは断ち切られ、弾力がなくなるイメージです。

そして、ベタベタと扱いにくい状態になってしまいます。
これは、パン生地中の水分が離水してにじみ出るためです。

捏ね上げ温度を上げすぎないこと。
これは過発酵を防ぐためだけではなく、
膨らみの良いふんわりしたパン生地を作るためには絶対に欠かせないことなのです。

夏場と機械捏ね、特にホームベーカリーを使ってこねている場合は
ものすごーく神経を使って気をつけましょう!

次に、イーストの量についてです。

発酵時間とイーストの量の関係を考えてみます。
これは、とってもシンプルです。

イースト量が多い⇒発酵が速い。

発酵が速いことのメリットは、『時短がかなう』ことだと思います。
忙しい毎日の中での家庭のパン作りです。
作りやすいことは、とっても大切です。

ではデメリットは?
発酵が速すぎるために、ムリに引きのばされて膨らんだパン生地が傷んでしまう事です。

発酵スピードが速すぎて表面がザラザラに。

少し難しい話になりますが、
パン生地は力を加えると弾力がでてプリプリします。
一方で、パン生地を休ませると柔らかく伸びやすくなります。

パン作りの『発酵』の工程では、私たち人間は何もしていませんよね。
休ませることで、パン生地はだんだんと伸びやすく柔らかい状態にかわっていきます。

しかし、発酵のスピードが速すぎると一気にパン生地が膨らみます。
すると、『パン生地が柔らかくなるのが追いつかない』のです。

結果として、無理に引き伸ばされたパン生地が傷んでしまうのです。
傷んで弱々しいパン生地は、膨らみが悪くなります。
これも過発酵と同じことです。

家庭用のパン作りのレシピの中には、
作業時間を時短にするためにイースト量が非常に多いものがあります。

私も実際にイースト量2%程度のものを試したことがあります。
発酵温度も高めで、短時間で一気にパン生地が膨らんでいきました。
発酵中のパン生地の状態は、決して良いものとはいえませんでした。

焼く前から、膨らまないだろうなぁとわかる感じです。

そして、出来上がったパンの膨らみは悪く、目が詰まっています。
イースト独特の香りも強くなります。
イーストが行うアルコール発酵も盛んになりますから、アルコール臭も強くなりますね。

冷蔵発酵を行う時のイースト量は皆さんも迷うところだと思います。
長時間発酵を行うことが前提の冷蔵発酵です。

じっくり熟成させることで、小麦粉に含まれるデンプンを分解し甘みを引き出していきます。
イーストにもゆっくり発酵を行ってほしいところですね。

そのため、冷蔵発酵では発酵器で発酵させるレシピよりもイースト量は控えめです。

反対にイースト量が多すぎると、いくら冷蔵庫の中であっても過発酵になりやすくなります。

イースト量は、発酵時間と発酵温度のバランスで決めていきます。
そのバランスが整った時によく膨らむパン生地になるはずです。

多すぎも少なすぎもダメ。
パンの配合や、どんな食感のパンを作りたいかでも変わります。
私もレシピ作りの中では、イースト量は一番悩むところです。

めっちゃ難しいです。試作の回数が増える原因です(笑)

冷蔵発酵も常温発酵も過発酵には要注意!!

過発酵のパンはおいしくない。
確かにそうですね。

ベストな発酵状態にするのは、経験と知識が必要です。
どんなに経験が長い人でも難しいところだと思います。

冷蔵発酵はゆっくりと発酵がすすみます。
私も冷蔵発酵での過発酵を何回も経験したことがありますが、
数時間で完成する常温発酵で過発酵になったパンよりもおいしく食べられますよ。

↑私の経験上の話です。

その理由を考察してみますと、、、

◎そもそものイースト量が少ないこと

イースト臭とアルコール臭が抑えられて、
その他の乳酸発酵などによる発酵の香りが強くなります。
そのため、全体的な香りはそれほどイヤな印象はありません。

◎ゆっくり発酵させるため、パン生地の伸びが良いこと

パン生地は休ませる時間が長いと、伸びやすく柔らかくなります。
30℃の発酵器に入れる場合の発酵時間は長くても数時間だけですが、
冷蔵発酵では発酵時間は12時間くらいになります。

その間にパン生地の伸展性は非常に良くなります。
発酵後に大きく膨らむだけの余力が多くなりますね。

多少の発酵の誤差を受け入れてくれる柔軟さがでてくるというわけです。

ただし、、冷蔵発酵でも発酵器を使う常温発酵でも
一度過発酵になってしまえば、ふんわり感のある軽い食感にはなりません。

せっかく手間をかけてパン作りをするなら、
発酵の見極めはベストを目指したいですよね。

過発酵についてはこちらのブログも参考にしてくださいね。

◎ちょっとマニアックかな。捏ね上げ温度が高くなるとこうなります。
過発酵を科学的に知りたい方へ。
【検証】一次発酵で過発酵になったパンを焼いてみると、、、/過発酵について詳しく解説!

◎水温に要注意です。
【初心者さん必見】夏場のパン作りは過発酵に要注意!

◎二次発酵での過発酵は、一次発酵の場合と大分違います。
【検証】二次発酵(最終発酵)が不足/過発酵になったパンを焼くと、、、

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参考資料
パンづくりのメカニズムとアルゴリズム
科学でわかるパンの「なぜ?」